ソニーの新譜でルイージSKDのアルプス交響曲。正確に言うと新譜ではなく2007年の秋口にリリースされていたものの国内盤だ。どういう訳か新譜コーナーの試聴機にこれが出ていて、あれ?今頃国内盤リリースとは随分遅いなあ、と思いながらSACDコーナーに回ったら2007年リリースの古い輸入盤が普通に陳列してあった。輸入盤マルチバイが効くこちらの方を迷わずゲット。店頭だと値段が千円近く安い。なお、国内盤・輸入盤共にSACDハイブリッドだ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2613953
・R.シュトラウス:『アルプス交響曲』Op.64
・R.シュトラウス:『4つの最後の歌』AV.150
アニヤ・ハルテロス(ソプラノ)
シュターツカペレ・ドレスデン
ファビオ・ルイージ(指揮)
演奏としてはちょっと綺麗にまとめ過ぎというか手練手管が勝り過ぎたか、とも感じられる中規模スケールの出来映えだと思う。ただ、爽やかだし破綻はないし、ちょっと早足、甘美な溜めを殆ど挟まないクールなアルプス交響曲もありかな? という演奏。ルイージは元々こういったクールな解釈でアゴーギクに頼らないタイプの指揮者なのでその特徴がそのまま出ている感じだ。
SKDは生前のR.シュトラウスと縁の深い古い楽団で、このアルプス交響曲も作曲者自身の指揮によりここで初演された。その昔の時代の血筋を引いている正統派(?)の演奏なのかどうかは今となっては知るよしもなく、それらの逸話にはあまり拘らずに聴きたいものだ。
昨今のアルプス交響曲だとヤンソンスRCOの極彩色で派手目な録音
http://musicarena.exblog.jp/10251733 がエネルギッシュな印象と共に記憶に残るが、それと比べるとスタティックで理知的な印象。やはりSKDの弦は一級品で非常に美しくしっとりしているし、木管も金管も巧く、荒れたところは全くない。
カップリングの「4つの最後の歌」は初めて聴いた。R.シュトラウスはオペラの作曲家としても有名だったわけだが、なるほどその理由の一端が分かる様な佳曲。かなり前衛的な和声に乗せて歌われる詩は韻を踏むようにオケからくっきりと浮き出す。
(録音評)
Sony Classical、88697141972、2007年6月21〜23日、Lukaskirche Dresdenでの録音、SACDハイブリッド。どのレイヤーも音質は良好でSONY BMG系統としてはかなり優秀な部類に入り、高域部のくすみや混濁は皆無、透過度の高い録音だ。
一点だけ残念なのは低域の一番美味しい40〜80Hzが少し後退している点だ。1st-Vnが10プルトという大規模弦楽5部のうちVcとCbの挺数が少なく聞こえるし、ティンパニも一組に聞こえる。爽やかですっきりとした調音にしたかったのかも知れないが個人的にはここを凹ませずに厚手に録って欲しかった。しかし、下がバッサリ切り取られているかというとそうではなくノーカットでティンパニやグランカッサの衝撃音がちゃんと捉えられている。
(あとがき)
この音場感はどこかで聴いたことがある・・、と思ってライナーを見たら録音はTritonus Musikproduktion GmbHの仕事で、プロデューサー:Andreas Neubronner、録音エンジニア:Stephan SchellmannのコンビはMTT/SFSOの録音を担当しているコンビだ。2006年にはMTT/SFSO・マラ7でグラミー賞にも輝いているエンジニア。要はソニーも録音制作はアウトソーシングしているということ。昨日のハープもDGの制作ではなかったし、今やメジャー・レーベルはそういう趨勢にあるということなのだろうか。
アルプス交響曲は叙情的な標題音楽で、幾つかの動機により構成されている。夜の動機、山の動機、山登りの動機、そして一番登場回数が多いのが雄大で爽やかな太陽の動機だ。下降音階が5組で構成されるこの動機だが、これと殆ど同じ旋律が現れる曲がある。それはショスタコ7番の1楽章、展開部に出てくる第2主題だ(但し和声は短調)。ショスタコ7が作曲されたのはアルプス交響曲よりずっと後なのでショスタコが拝借した可能性は高いと個人的には思っている。それにしては堂々とした「引用」だが。
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