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2009年03月19日09:51

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【音楽】Passionate Arias@Vesselina Kasarova, Giuliano Carella/MRO

RCA Red Seal(SONY BMG)の新譜で、まさに一昨日、サントリーでのカルメン主演公演を終えたばかりのカサロヴァの名アリア集。オペラは滅多に聴かないが、たまには王道を行く歌曲もいいものだ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3516677

ヴェッセリーナ・カサロヴァ〜情熱のオペラ・アリア集

ヴェルディ:
・歌劇『トロヴァトーレ』より『炎が爆ぜる』(アズチェーナ、第2幕)
・歌劇『ドン・カルロ』より『ああ、死の贈り物よ』(エボーリ、第4幕)
・歌劇『ドン・カルロ』より『美しいサラセンの』(エボーリ、テバルド、女官たち、第2幕)
チャイコフスキー:
・歌劇『オルレアンの乙女(ジャンヌ・ダルク)』より
マスカーニ:
・歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より『ママも知る通り』(サントゥッツア)
チレア:
・歌劇『アドリアーナ・ルクヴルール』より『甘い喜び、甘い責め苦を』(公妃、第2幕)
ビゼー:
・歌劇『カルメン』よりハバネラ『恋ってのは野性の強い小鳥でね』(カルメン、合唱、第1幕)
・歌劇『カルメン』よりセギディーリャ『セビーリャのとりでの近く』(カルメン、第1幕)
・歌劇『カルメン』より第2幕への間奏曲
・歌劇『カルメン』よりジプシーの歌『振鈴の棒が』(カルメン、フラスキータ、メルセデス、合唱、第2幕)
・歌劇『カルメン』より二重唱『やっぱり、カルメン、お前か』〜『あなたのために踊って差し上げましょう』(ドン・ホセ、カルメン、第2幕)
サン=サーンス:
・歌劇『サムソンとデリラ』よりダゴンの巫女たちの踊り
・歌劇『サムソンとデリラ』より『春が来れば、恋する心に希望が燃えて』(デリラ、第1幕)
・歌劇『サムソンとデリラ』より『あなたの声にわたしの心も開かれてゆく』(デリラ、第2幕)

 ヴェッセリーナ・カサロヴァ(メゾ・ソプラノ)
 ミュンヘン放送管弦楽団
 ジュリアーノ・カレッラ(指揮)

ヴェルディのドン・カルロやビゼーのカルメンからの抜粋は一度は耳にしたことがある馴染みのあるメロディー。特にカルメン・ハバネラ〜のアリアは学校の音楽の時間に取り上げられたことが多く、特にポピュラーなものだ。

カサロヴァはバルトリらと並んで三大メゾと言われる通り、確かに巧いし声量もある。聴いていると途中からこの肉声が楽器ではないかと思わされるほどに正確な音程で旋律を刻む。器楽と違うのは言葉が含まれるという点だけで、その言葉にしても日本語ではないので呪文と同じだ。

聴いたことのない曲が多いが、耳に慣れた曲を断片的に拾ってみてもこの人の歌い方は変わっている。一言で言うとドスが効いている。そして、メゾとは言われるが、殆どファルセットに近い発声法で歌われる高域はコロラトゥーラに近い高さまで楽々出る一方、本当の地声はアルト音域といってよい低く太い声質なのだ。それが影響して広帯域のスケールを歌う時には別人と二人でデュエットしているような錯覚に陥る。低い方はアルトとと言うよりブリリアント・テナーという風情なのだ。

サン=サーンスのオペラ、というか歌曲は初めて聴いたが、これが割とオペラ然としていなくて良かった。サン=サーンスの声楽作品は研究の余地がある。

(録音評)
RCA Red Seal(SONY BMG)、88697283502、通常CD。収録はちょっと古くて2007年10月22-26日、ミュンヘン,バイエルン放送局第1スタジオとある。このCDは日本で先行リリースのようで、カサロヴァのblog http://vesselinakasarova.blogspot.com/ によれば向こうでは4月17日リリースらしい。

録音はBMGとBR(バイエルン国営放送)のコラボで、音質は地味ながら優秀だ。今どき珍しいスタジオ録音で、背景は極めてデッドで静か、控えめに鳴るオケの残響も少なめだ。カサロヴァの独唱はモノラルマイクで録られていて音像はびくともせず中央に定位したままだ。ひょっとしたらアフレコかも知れないと思って聴き進めたが、カルメンのドン・ホセと共に登場する場面ではボーカル・マイクから漏れた熱唱するカサノヴァの声をオケの左右のアンビエント・マイクが時間差を伴って拾っており、このシーンは同時収録と分かる。近頃のソニー系列にありがちな暗めの調音ではあるが、その他の要点はきっちり押さえられていて良い仕上がりと言える。

(あとがき)
ソニーはいっときの映画/音楽メディア買収合戦の時に著名フィルム配給会社やレーベルをいっぱい買った。音楽についていえば永らくCBSレコードの国内セカンドソースを務めてきたわけだが、念願かなってこれを統合し、そして昨今、名門BMGをも手中にした。しかし、過去の名録音ライブラリの体系立ては不透明で品揃えも少なく、新しいアーティスト発掘もはかばかしくないし、なんとも決め手を欠く状態だ。といってもユニバーサル、EMIなどとともに大手レーベル・グループの一角を成すのは事実であり、日本で唯一のクラシック・レーベル連合体としてもうちょっと何とかならないものかと思うわけだが、まぁ、この経済危機で本業の存続すら危ぶまれる中、実入りの少ない音楽産業は投資対象にはならないのかも知れない。
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