(続き)
ダイを2枚並べて疎結合するCore2 Quadよりも、4つのコアが最初から1枚のダイに収まっているi7の方が低次キャッシュ共有やコア間セマフォ通信速度、バスのアービトレーション能力が稼げるためパフォーマンス的には圧倒的に有利なはずだ。
1〜2次キャッシュは従来通りそれぞれのコアが内部で専有するが新設の3次キャッシュはダイで一組、そして全コアが共有するという形態だ。その3次キャッシュからは3本のメモリバスを同時並行に出していて3重インターリーブ(=トリプルチャネルDDR3と呼ぶ)を掛けていて、DIMMを各チャネルに3つ実装した場合には3チャネルでの合計帯域幅は約25.6GB/sに達するという。
NelalemのなかでもBloomfieldと呼ばれるハイエンドデスクトップ向けのこの石は事実、主メモリに関しては従来からのFSB(フロントサイドバス)経由を廃し、ノースブリッジに代わってプロセッサが直接管理を行う手法に変更しており、これはAMDが現行メインストリームのAthlon 64に採用している方式に酷似している。また近い将来リリースが発表されているメインストリーム向けLynnfield、エントリ向けHavendaleではGPU(グラボ)もプロセッサに内蔵されて直接管理へと移行する計画らしい。
そして、メモリ管理とチップセット・プロセッサ間通信は従来のFSBに代わってQPI(Quick Path Interconnect)というテクノロジを実装している。このため今まではFSB動作周波数で大体の内部処理速度が推し量れたのであるが、これからはQPI=nn GT/sという単位が用いられるようだ。GT/sとはギガ・トランスファー/秒ということで秒あたりの転送回数のこと。これはGb/sとほぼ等価であって双方向転送の帯域幅を示す。因みに今回ゲットしたCore i7 940は4.8GT/sというスペックだ。尚、QPIはマルチ・プロセッサ構成時にはプロセッサ間通信にも用いられる未来型のバスとも言える。
(i7については以上に概説したが、さらなる詳細はインテルのサイトやその他IT系マガジンのサイトを参照のこと)
このように見てみると、現在のインテル・プロセッサのアーキテクチャは連綿と進化を続けてきたIBMメインフレームのプロセッサ構造に酷似して来ている。独自に進化を続けてきた様に見えるIAプロセッサだが、インストラクションセットを除けば実は汎用機プロセッサの後を追っていると言えるのだ。今回導入されたQPIテクノロジもSYSTEM/390アーキ(現在ではIBM Zシリーズと呼ぶ)におけるダイナミックサブチャネル、EMIF、PR/SMがもつCF(カップリング・ファシリティ)に類似の手法と言えよう。
IBMメインフレームの世界でも言えることであるが、プロセッサの性能はクロック周波数、即ちMIPS(Million Instructions Per Second)値だけでは正しく実態を反映せず、スループットを示す総合的な指標を用いるのが適切だろう。スループットは内部処理速度で表され、これはIBMメインフレームではITR(Internal Transaction Ratio)、そして今回のCore i7はQPI速度がそれに当たると言える。
PCを高スループットにするとは、即ち、
(1)プロセッサ自体の内部処理速度を上げると言うこと
(2)メモリとの帯域幅を拡大すると言うこと
(3)ディスクサブシステムとの帯域幅/入出力量を拡大するということ
(4)GPU(グラボ)との帯域幅を確保すると言うこと
これらを総合的に勘案してそれぞれを高めることにより初めて達成されるのである。
以上を考え、そして次の個人的要件を考慮すると、自ずと新しいPCの全体に求めることが明確になってくる。
(1)パラレルSCSIに決別しSAS(またはSATA混用)運用へ切り替えていく
(2)高画質DVDやBlu-Rayをある程度ストレスない状態で楽しみたい
(3)永らく悩んできた音楽CD保管にディスクを活用し、PCトラポ化を目指したい
ということで、まず選んだのがマザボだが、これはfoxconnのRenaissanceとした。LGA1366対応ボードはまだ数が少ないのであまり広い選択肢はない。だいたいどの製品もトリプルチャネルDDR3をサポートしているが中にはデュアルまでしか対応していないものもあるようだ。
写真の下にオレンジ色と黒のメモリソケットがそれぞれ3本見えていて、赤い方がプライマリ(Slot 0)、黒い方がセカンダリ(Slot 1)だ。
その中からRenaissanceを選んだ理由はMarvell社製のSASコントローラ88SE6320をオンボードで搭載していること。この石を搭載したワークステーション仕様のマザボではASUS P6T deluxというのもあるが非常に高価で、安いRenaissanceに自然と手が伸びた。
写真左側に見える赤いコネクタがオンボードのSASのコネクタ(オス)で、これはSATAと兼用が可能だ。写真右がオンボードのMarvell 88SE6320 SASコントローラ。
(続く)
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