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2020年05月26日11:45

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今日の本棚563♪



「<完本>初ものがたり」

宮部みゆき
PHP研究所(PHP文芸文庫)


本所深川一帯をあずかり「回向院の旦那」と呼ばれる岡っ引きの茂七親分のところには、日々難事件が持ち込まれる。
九話が収録された連作短編集。

もうこのシリーズは本当に本当に大好きでして。
何度も何度も読み返している一冊です。
こちらは先に出た単行本や文庫版に、更に三話が加えられた完本となっています。

タイトル通り捕物帖と、江戸ならではの旬の初物が組み合わされ、事件の顛末に絡み合う食の描写がまた魅力的。
丑三つ時までやっている謎めいた稲荷寿司の屋台の存在は、羨ましいことこの上ない!
ううう…これ読むと毎回、稲荷寿司他諸々の献立が食べたくて仕方なくなっちゃうんですよね…。
また回向院界隈という場所が、茂七親分の人柄ともよく合っていて…あの周辺を散策するのは本当にわくわくしてしまいます。

最も印象的なのは、個人的には「白魚の目」
こういうリアルで残酷な事件を丁寧に描き出すのが、著者は本当に上手い。
茂七親分の怒りと悲しみが、読んでいるこちらにもひしひしと伝わってきます。

このシリーズ、本に纏まっているのはこの一冊だけなのですが。
茂七親分は他の短編やシリーズに、ちらりとカメオ出演することがあります。
著者の中でも存在が定着しているキャラクターなのだなぁと、嬉しくなることしきり。
不意の再会ににやにやしながら、著者の新作を心待ちにするのです。
解説は末國善己氏。



(古)
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