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2020年01月11日09:32

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「強健術」案内128

今回は、『体格改造法』に発表された「濶頸筋(かっけい)筋鍛錬術」(首の筋肉の鍛錬術)を見ていきます。

濶頸筋鍛錬術
◎氣合(殊に腹力)を以て頸の筋肉を鍛える法

(イ)上膊三頭筋の運動の時のように左側面に向かって、自然体を執ります。
(ロ)左足踵を浮かし、腰を沈めて重心を右脚に落とし、左股を高く上げて身体を内方にかはし、左足先を緊張させて、左脚を深く右脚真後に踏み込みます。左足爪先は正しくもとの背面に向きます。
(ハ)と同時に右脚は足裏を上に向けて地を摺り、真直ぐに右側方に伸ばします。(始め室の一方を正面と見做し、それに対して左側面とか、右真後ろとか背面とか、右側方とか云っているのですから惑わされない様に希望します)。
(ニ)上体は一層柔軟にして前に屈め、右側方に伸ばした右側の膝が着き、股が着く瞬間。
(ホ)右腕を力を入れずに伸ばして、右掌と右腕全体とは、右足爪先の直ぐ前の床をトッと打ちます。これだけ正しく出来ますと、身体は弾機にかかった様に、
(ヘ)左脚がピュウと跳ね上がり、身体は自然と激しく左に転回します。
(ト)其の時両脚とも伸ばし右脚ではペタリと床を打ち、右脚は、踵と爪先(殊に拇指)に力を入れて、グウと真直ぐに上げ、腹筋に大緊張を与えます。
(チ)其の時左腕は伸ばして力を入れず。ピシャリと体側の床を叩きます。右手は力を入れず。もとのままで背後の床に着けておきます。
(リ)右脚を上げ、左腕で地を打った時、頸をギュッと右肩の方へ充分捻って上に振り向け、眼光をキッと右足爪先に注ぎます。首を確り擡げて、顋を胸につける様にしますと、濶頸筋は強い緊張を致します。
(ヌ)上体は力を抜いて、やや前に屈めております。
(ル)右脚の膝を折りて地に着け、左腕に力を入れて弾機のように働かし、腰を前方に曲げて身体を起こし、両膝をグイと伸ばして軽く立ち上がります。
(ヲ)身体を起こすと同時に、キッと視線を原角度に復します。
(ワ)以上で右濶頸筋運動一回の型です。左右交互回数合わせて四回。
(備考)脚を踏み込んで体を倒し、眼を爪先に注ぐまで、スラスラと調子よく行って隙の出来ない様にしたいものです。惰性でスウと起き上がって眼をきめるまで、氣合の抜けない様にしたいものです
▲倒した時の体は、真横になって居て、胸部の正面と床とは垂直になる様にしませぬと、頸の力は弛みます。(体格改造法 P.152〜156)

倒れたる時は、投げ付けられて、負けた時の心持となり、紛々たる競争心や栄誉心を捨てて、恬淡虚無の心胸となる。而かも『倒されし竹はそのまま起きかへり倒せし雪は跡形もなし』の気概を失うべからず。古人曰はずや、『負けるは勝』と。此の時の心こそ、邪気なくして、安楽至極、無始無終の聖境に在る思いあらしむ。(体格改造法 P.198〜199)
本運動法は(Machdden. The Virile powers of Superb manhood)中の 一節にヒントを得てこれにSandowの腹筋運動法、及び柔道の型を参酌し、更に予が独特の法則を加味したるものなり。(体格改造法 P.199)
足裏が地面と平行になるようにすれば、上げたる足の爪先へは、自ら力は入り来る。この脚力は腹力の維持のため―而して腹力は頚部筋肉緊張を確りさせるため…然れども。(体格改造法 P.199)
最初腹直筋を緊張せしむるは他方の脚を打ち付けたる時、自然に出来るものにて、腹にの、殊更に力を入れしにはあらざることを注意せよ。(体格改造法 P.199)
かくの如く備考をつらね、やれ垂直の水平のと云えば、頗る煩雑らしくなり、説明上好ましからずと雖も、要するに確りやるには、どうしても姿勢を正しくせざるべからず。(体格改造法 P.199)

この型は、前々作『心身強健術』では座った状態から始めましたが、今回は、立った状態から身体を倒して起き上がる形に発展しています。

説明文では、そのやり方がやや分かりづらいのですが、両脚をやや開いて立った状態から、右足を軸にして時計回りに回って、右脚後方に左足を踏込ます。次に左脚を軸にして、腰を沈めて右脚を左足踵後ろを通過させて伸ばします。同時に、左膝を曲げて右体側と右手を床につけます。ここまでは、立った状態から、床に身体を横にする段階です。

身体が床に着いた時に、柔道の受け身のように右手で床を打ち、軸にしていた左脚を上に伸ばします。右手で床を打った勢いと左脚の重みで身体を床の上で回転させて右体側を上にして、今度は左手で床を打ち、右脚が跳ね上がります。

この時、身体を床に対して垂直にして、首を右肩につけるように緊張させて首の筋肉を緊張させます。この首を緊張させる運動が本運動になります。また、この時脚を上げていますので、それにより自然に腹筋は緊張します。本運動が終わりましたら、上げていた右脚の膝を折って床につけ、床につけていた左手で身体を起こして立った状態に復帰します。

この型の動きは、本運動に入るまでが複雑で分かりづらい所があります。これは、立った状態から初めて、立った状態へ復帰する工夫と、身体を回転させことによって生まれる「利動力」を最大限に引き出そうとしたためと考えられます。

この運動法は文章だけではイメージがつかみづらく複雑ですので、難しいと感じた場合は前々著『心身強健術』で紹介されていた座った状態から始める方法でやるのも一つの方法かと思います。

(写真は、「濶頸筋鍛錬術」を行う春充)

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