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2023年07月11日08:12

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未解決事件を解く鍵はあるのか・その2【20年目となる五霞町女子高生事件】

中盤ではこの難解な犯人像について考察を試みたい。

■遺留品の謎が手掛かりになる可能性■

ここまで御覧になってどう思われただろうか。県警が把握した通話記録によれば、21時過ぎに電話して来た人物が何らかの事情を知っている可能性は極めて高い。だからこそ、携帯電話が遺留品として出ていないのだろう。

その他、当時の報道で余り重視されていないが、無くなった物として腕時計がある。それも一瞥した限り、ロレックスのようだ。外してバッグの中に入れた可能性も十分あるが、金目の物として目を付けたとすれば、出て来ないのも頷ける話だ。

ただ偽物も多数あるのがロレックスの腕時計だ。もし本物であれば、犯人が質屋に持っていき、売ろうとしたことは十分想定出来る為、そのあたりのお客を洗ってみれば出て来るかもしれない。

もうひとつ。これは多くの人が疑義を呈している靴下だ。

彼女の遺体は靴が見つからず、靴下を履いていたが、全く靴下が汚れていなかった。このことから、どこか別の場所で殺害され、遺棄された可能性が高くなる。この場合、部屋に限らない。L型の高級ミニバンの車内で殺害された場合も十分あり得る。

第一発見者の年配の方が7月8日の朝には用水路に何もなかったと述べている事から、遺棄されたのは7月8日の夜か9日の夜明け前。五霞町は人口1万人弱の長閑な水郷の町だ。道の駅の食堂では川魚をおいしく頂けるので、個人的にはよく立ち寄っている。そのような長閑な町ゆえ、油断もあったかもしれない。

では2003(平成15)年7月6日21時10分ごろ彼女を呼び出したのはいかなる人物なのだろうか。

■犯人像(1)交友関係があった場合■

さてこちらの事件を扱った多くの動画、ブログでは麻衣さんに同情するどころか、美化して投稿している方が多い。

確かに日本人の国民性として、亡くなった人に鞭は打たないという慣習めいたものもある。これは恐らく古代から続く「怨霊信仰」が影響していると考えられる。

実際、未だに週刊誌などでは例えば皆さまがお住まい近くの川で若いOLさんの水死体が上がれば、間違いなく「美女の水死体」などと書き立てるだろう。本来であれば、水ぶくれになっているかもしれないし、日数が経っていれば腐敗し、魚に齧られているかもしれない。でも週刊誌は敢えて「美女の水死体」と書くのだ。

だが個人的にはここからは一線を画し、事実に基づいて、敢えて少し辛口になる。

こういった事件は二度と起きて欲しくないという多くの人の共通の願いを優先したいからだ。

先ず麻衣さんは中学3年生の時、3学期だけでなく、卒業式まで欠席し、「仲間内で卒業式をやろう」と10人で飲食を共にして集まった事もしたという。彼女は通信制の高校に進学したが、高校側によると、最初のオリエンテーションを兼ねたホームルームに彼女は出席しなかったので、どのような生徒か把握していないという。

学校の監督責任を問う声も当時はあったが、これでは問いようがないだろう。勿論学校側から連絡はしているはずである。

同情心が行き過ぎて、被害者を必要以上に美化しているとも読み取れるコメントが多い中、実際の佐藤麻衣さんとは屋台で手伝うような人の好さもある一方、好悪が普通の学生以上に激しいのは間違いない。このような子のようだ。

彼女は通信制の高校に入学している為、高校に入ってからの生身の人間同士の交友関係はほぼ無い。何しろ初回のホームルームすら無断で欠席した程だ。ほぼ無い為、高校の同級生を呼び出したとは考えにくい。という事は呼び出したのは中学時代の同級生ということになる。

ここで着目しているのは呼び出したのは同級生とは限らないが、交友のある人という事だ。

実際、高校一年生の15歳、16歳では普通免許はまだ取得出来ない。約束通りこの件の人物は彼女を谷塚駅付近で彼女をクルマに乗せた。この人物は中学時代の先輩、または同級生の友だちの兄または姉という事になるだろう。

しかしながら当然警察も交友関係は洗っていると考えられるので、警察や家族が知り得ない交友関係があるのかもしれない。

■犯人像(2) 交友関係がない場合■

21時10分頃、麻衣さんが呼び出されたのは事実だろう。通話記録とカキ氷屋の屋台の女性の証言からも明らかである。

その後確かにコンビニの前で飲み物を飲みながらしゃがみ込んだ姿が目撃され、茨城県警も2022年、件のコンビニで今更の感はあるものの、防犯カメラに映った彼女の姿を公開した。

ただここでどうだろうか。場合によっては電話の相手は別件で、彼女は単に暇をつぶしていた可能性もある。目撃者はそう見えたのであって、現実に会話した訳ではないのだ。草加市に住んでいた知り合いによれば、20年は土日祭日の夜になると、駅ロータリーにクルマがズラリと並び、ナンパが盛んだったらしい。


東武線谷塚駅東口の地図▼

浅間神社と至近のローソンは右下にあり、ロータリー付近には無い。




上記のグーグルマップを見ると、確かに浅間神社前にはローソンがある。但し、駅ロータリー付近ではない。駅に近いところだと、駅東(南口にも見える)口を降り、数十メートル線路伝いに歩かないとコンビニに辿り着けない。ここはファミリーマート谷塚駅東口店である。

茨城県警が公開したコンビニの正確な位置が知りたい。勿論20年も経つので、そのコンビニは廃業している可能性はあるが、実在する店舗であれば、県道49号を挟み、斜め前にローソン谷塚一丁目店がある。しかしこちらは確かに神社からは至近だが、ロータリーからは遠い。少なくともロータリーから見えるほど近くはない。

我々はこの証言について、些かバイアスを以って観ているのではないか。

2000年代、土日祭日の夜、谷塚駅東口ロータリーではナンパが多かった。→麻衣さんがいたのはそのコンビニではないか。→しかしコンビニはロータリー付近では実在せず、別の場所だった。ところが県警が頻りに調査しているのは依然としてロータリー付近の防犯カメラ。だとすれば・・・。

これでは幾ら調べても出て来る訳がない。

何しろ、捜査しているのが埼玉県警ではなく、茨城県警である。埼玉県警と比較し、地理に詳しくない場合だって十分ある。

こちらのシナリオは麻衣さんが21時10分、友だちと会話したが、そろそろ帰ろうと思い、駅に向かう途中、コンビニに立ち寄り、暇をつぶしていた。そこへ通り縋りのナンパ男が彼女を連れ込んだ。これがもし、友だちから呼び出され、友だちと会う前に麻衣さんが拉致されたのであれば、この友だちが通報しないはずがないからだ。

・・・後はご想像にお任せする。

この2つのシナリオが限られた公開情報から蓋然性の追及を試みた回答である。だいぶ長くなってしまいましたが、犯人像が2つ、絞り込めたので、次回は犯行動機の考察を試みたいと思います。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。

(続く)

写真:東武線谷塚駅前・・・コンビニエンスストアは2023年7月現在、駅ロータリーには見当たらない。
遺留品と当時の服装・・・左上の衣服以外、全て未だに見つかっていない。

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