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2022年07月03日03:51

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僕は“ドリームランド”という名の遊園地に痛い思い出しかないけど、この映画の理想郷としてのドリームランドは、格別に痛切でした。マイルス・ジョリス・ペイラフェット監督「ドリームランド」(2019)。

奈良にあったドリームランドについては、何回か子供心を裏切られた恨みつらみを書きました。ディズニーランドの日本版と言いつつ、その規模や内容に雲泥の差があり、ようやく行けたら園内にペンペン草が生えていて、僕は愕然としたものです。それは僕の大きな幼児体験であり、パチもんへの明確な怒りとなって現存しています。

この映画は、2021年の4月に公開していたようですが、コロナ禍でもあり僕の行動範囲の劇場では上映しなかったのか、全く記憶にありません。さらにimdbの得点が5.8と低く、満点と最低点に4%の票が集まっているあたり、宣伝力不足がミエミエなのでした。そういう場合は正常分布曲線の平均値を信頼するのが無難ですから、良い子は手を出さないのが正解です。

しかし僕は、ヒロインがマーゴット・ロビーだという部分に反応しました。「スキャンダル」のような大作ではありませんが、マーゴット・ロビーが出ているのなら“被害”は少ないはず。そう判断して見始めました。そしたら大恐慌時代に少女だったフィービー(ダービー・キャンプ)が、異父兄ユージーン(フィン・コール)への思いを語るという映画でした。

雨の少ないテキサスに入植したフィービーの一家は、父親の家出により生活が立ち行かず、母親オリヴィア(ケリー・コンドン)は保安官補のジョージ(トラビス・フィンメル)と再婚してフイービーをもうけます。ところが干ばつで農作物が被害を受けるその地域に、銀行ギャングがやってくる、という展開。ユージーンが納屋に潜むアリソン(マーゴット・ロビー)を見つけ、手助けします。

幼いフィービーを画面に出し、成人したフィービー(ローラ・カーク)がナレーションを担当します。ローラ・カークって「ゴーン・ガール」で唾つけた女優さんですが、声だけ聞かされても顔が思い出せるはずがない。これも製作に噛んだハーレイ・クイーンの策略じゃないかと疑っています。←そんなミミッチイことはしないか?

ということで、そこそこ好感を持って見続けていたら、1時間10分あたりで6分半にわたるワンカット描写がありました。マーゴット・ロビーがシャワーを浴びながらユージーンを誘うシーンです。思春期の坊やがハーレイ・クインの誘いを無視できるはずがない。僕には残念ながらそういう体験はないけれど、脳内ハーレムは小学生時代から構築していたもので、ユージーンの気持は痛いほどわかります。

つまり、この長回しワンカットを評価するかどうかで、この映画に対する考え方が真逆になると思うわけです。マーゴット・ロビーの露出度が足らんと思う人には✕で、そんなん気にせーへんという人(僕のこと)には○ですね。こんな初体験が出来たなら、それこそ死んでもいいとさえ思いますだ。←じっさまに叱られてもかまへんかまへん。

ということで「ハムナプトラ」と同程度の大規模な砂嵐が別作品のCGを使いまわしていたとしても、あるいはこの時代の農夫たちの惨状が「怒りの葡萄」ほどには描かれてなくても、僕にはユージーンの心の痛みが痛切に響き、そんな異父兄に対する愛情を詳しく語るフィービーを愛しく思うのでした。そう感じない方も多いと思うから、まぁそっとしておいてやってつかぁさい(何弁や?)。

しかしまぁなんですねぇ、コロナ禍で新作封切りを先送りしているメジャー配給会社が多い中、インデペンデントの配給会社さんも大変ですね。劇場公開が決まっても、僕みたいに情報を探そうともしない輩が多いもので。とりわけアメリカ映画でかなりの作品がビデオスルーとなっている気がします。

最近はサンダンス映画祭もいい作品を出さないな、なんて思っていたけど実はこれ、全部僕の勉強不足やんか。フランス映画にもいろいろ見るべき作品があるし、そのあたりはスター・チャンネルに頼るしかないのかも。←なにしろ東北新社だから、たくさん買い付けて公開できない“秀作”が豊富ですねん(笑)。

というような業界痛を気取ったチャチは置いといて、こういう作品に出会えると録画した甲斐があります。てなこと言いながら、年末になるとすっかり忘れていて、ベストテンの候補にすらしないかも。すべて揮発性メモリーの仕業ですから、あしからずご了承下さい。
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