明治はプラン通りの試合をした。想定したとおりだ。
早稲田のモールに絡んでボールを奪った明治はバックスで前進し最後は明治の高速ウイングの石田君が華麗なステップで早稲田のDFを交わしてトライ。開始5分のことだった。
スクラムで圧倒しFW陣が相手の反則を誘う。そしてタッチキックで陣地を奪う。明治のそのゲームプランがうまくいっていることを早稲田は感じたのかもしれない。早稲田は10分、相手陣内10メートルラインを少し過ぎたあたりで得た反則にショットを選んだ。とにかく明治に離されることなく射程圏内をキープしたいという思いだったのではないだろうか。7−3・・・・
その後も明治は早稲田陣内で試合を進めた。しかし飛ばしパスが乱れたところで早稲田のウイング小泉君が脚にひっかけそれをつかんだスクラムハーフの1年生宮尾君が50メートル以上を快走しゴール下にトライ。ゴールも決めて10−7とした。
明治は前半37分にPGのチャンスを得たが広瀬君がはずした。角度的にはほとんど正面だったが蹴った瞬間南側スタンドから大きなため息が漏れた。ゴルフのような言い方をすればダフッたキックだった。
それでも明治は後半には立て直してくると思った。プランは間違ってはいない。最後の決め手の問題だ。
明治のキックオフで始まった後半は早稲田が自陣からキック。それをFB雲山君からパスを受けた石田君は得意のステップを活かして突破を試みた。だが、タックルした早稲田はモール状態にして押さえつけ倒れさせない。モールインプレイアブルの反則を誘ってマイボール。早稲田は最初のトライこそ石田君に取られたがそのプレー以外は石田君のゲインをほとんど許していない。
後半の明治のプレーに耐え続ける早稲田。ボールポゼッションはほとんどが明治だ。しかし22メートルラインを越えてからは明治のゲインを許さない。
もう一度言う。明治はプラン通りの試合を進めていた。だが、思った以上に早稲田のDFは集中していた。プラン通り進んでも得点にはならない。22メートルラインを越えても2度のオブストラクションを犯したことがその焦りを証明していた。
そして残り時間も10分を切ったところで早稲田はゴール近くでのラインアウト。このボールを明治にスティールされ一気に途中出場の児玉君のゲインもあり22メートルラインまで押し戻され再び防戦一方。明治は一気に逆転を狙っただろう。しかし集中力のある早稲田DFの前にノックオン。そのボールを拾い上げた早稲田は一気に攻め込む。もちろんアドバンテージだ。なんでもできる早稲田はオフロードパスをつないで左エンドぎりぎりにトライ。この時点で15−7としてゴールが決まらなくとも1トライでの明治の逆転はなくなった。
結果としてゴールも決まり明治は最後の一本をかけて戦ったがむなしくボールを奪われて試合は終わった。
明治はゲームプランを実行し試合を支配しながら結局は1トライ。早稲田の2トライはともにターンオーバーを起点とするカウンターだった。
しかし、本当はこれが早稲田のゲームプランだったのかもしれない。相手にやりたいことをやらせる。しかし最後は譲らない。この集中したDF陣の力が明治のミスを誘った。
スクラムで圧倒し相手のミスを誘う明治。DF陣の粘り強い守備で相手の焦りを誘う早稲田。守りのゲームプランが勝った試合だった。
2021年12月5日 関東大学ラグビー対抗戦グループ 第11週(於 秩父宮ラグビー場)
早稲田17−7明治
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