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2021年02月10日12:32

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開けてはいけない箱のふた（その②）

ＮＨＫドラマ「カンパニー」は完結してからまとめて見ようと番宣番組ごとまとめてフォルダに格納しているが、マイミクさんの感想「小林さんの演技も上手い」が気になってチラ見してしまった。といっても早送りで該当場面を探しかけただけだが、練習しているダンサーの後ろ姿が映った時、「この動きは小林さん？」と思ったら正解だった。

以前、ネットで「黒鳥」のヴァリを集めた投稿を眺めていた時も、顔もわからない引いた場面にもかかわらず「ニーナさん？」と思ったら当たったことがある。やはり上手い人たちの動きは個性的でもあるのだろう。

車の運転は好きなのに、シミュレーション・アプリには手を出してこなかった。マウスやキーボードで操作しても面白くないし、かといってバケットシート付きのプラットフォームはモニタなどの周辺機器を含めると給付金では足りず、そもそも置き場所に困る。（笑）

ただしグランツーリスモなどはプロのレーサーも練習に使うくらい出来が良いとも聞くので、昨年相棒をメンテに出したショップでレーシング・シミュレーターを見つけた時は気になって仕方がなく、先日、ついに手を出してしまった。

アプリ自体はプレステでも遊べる３０００円程度のものなので、ＣＧはグランツーリスモほど精緻ではなさそうだが、試したプロレーサーによれば実車とほとんど同じタイムが出るという。またシミュレーターのプロショップが手がけたシステムは、振動機能付きのプラットフォームに大型多面モニタなどを組みあわせた本格的なもので、総額２６０万円也。

受付をすませると、全面ガラス張りの広い個室に案内される。コロナ禍真っ最中にもかかわらず手を出してしまったのは、室内にシミュレーターは１台しかなく、使用中は他者の入室が禁止さるという環境に引かれてだった。換気は当然、使用後は丁寧に消毒もしてくれる。

タイトなバケットシートに収まると、係員がいろいろ設定をしてくれる。車を選び、ＭＴかＡＴをチョイス、走りたいサーキットを決める。ＡＢＳやトラクション・コントロールのＯＮ／ＯＦＦ、レコードラインの表示の有無、タイヤの摩耗もＯＮ／ＯＦＦ選べる。

とりあえず最初の車は相棒の親戚とし（同じ車は無かった）、コースもいちばんお世話になった筑波サーキット。シフトはＭＴ、ＡＢＳ類はＯＮ、ただしタイヤの摩耗は無し。

周囲のスピーカーからは排気音やタイヤのスキール音が流れ、ゼブラに足（タイヤ）を乗せれば振動がフレームを揺らすギミックまで付いている。速度やエンジンの回転数なども画面の下方に表示され、ステアリングの重さや反応速度も実車とほぼ同じらしい。最近のデジタルゲームは良く出来ている。

さすがに前後左右上下のＧはないので、車の挙動に関する情報は画面から得るしかなく、コツを掴むまではスピンしたり緩衝材に激突もしたが、慣れ親しんだ車／サーキットということもあって後半はそれなりに楽しめた。タイヤのグリップ状態がまったくわからないのにも戸惑ったが、Ｇで首が辛くなることもないので何時間でも遊んでいられる。（ただし１回最長３０分）

自己ベストは１分３秒。以前、相棒には５秒の記録があると記したが、それはプロレーサーが転がしての話で、私の腕では６秒台がやっと。ということは、仮想の車はサーキット専用のスリックタイヤを履き、ライト・チューニングして馬力やブレーキも強化してある設定なのだろう。

待っている人はいなかったので、他の車も試してみることにした。

２台目はトヨタ・ヤリスのＷＲＣワークスカー（ミッションは当然ＡＴ）。ただしアプリのデータはまだ更新されていないようで、２０１７年モデルだった。スタート前に選んだ車の全体像が表示されるが、後部窓には復帰したトヨタに初の栄冠をもたらしたラトバラさんの名前が記されていた。芸が細かい。

走り出すと、ステアリングの感触やエンジンの出力特性などが明らかに異なる。デジタル・ゲーム、ほんとに凄いな。ＡＴのパドル・シフトやブレーキのフィーリングに慣れるまではスピンやコースアウトもしたが、最終的には１秒台を出せた。運転手は同じだから、車への習熟度を差し引いても、車のパフォーマンスはさほど変わらないことになる。うちのジジイ、やはりヘンだぞ。

シミュレーターの存在はあまり知られていないのか、相変わらず待っている人はいないので、もっと高性能の車も試してみることにした。

３台目は、スーパーＧＴのホンダＮＳＸ、ＧＴ５００車両。最初はやはりぐるぐる回ったり壁に激突したが、ベスト・ラップは一気に１分切りの５４秒。GT５００を筑波で走らせた記録は見当たらなかったが、格下３００には５０秒という数字があった。５００は３００よりキロ１．９秒速いらしいから、５００は４６秒くらいだろうか。乗ったこともない車を初めて転がしてプロレーサーの８秒落ちならまあいいか。

どうせならもっと速い車、Ｆ１にも挑戦してみようと思ったら、こちらはレトロなマシンしかなかった。古すぎて知らないモデルばかりが並ぶ中、唯一名前に聞き覚えあったのが、３０年前にアイルトン・セナが乗っていたというマクラーレン・ホンダのＭＰ４／６だった。

タイムは・・・５０秒。Ｆ１、ぱねえ。（笑）

Ｆ１と他の車を比べた時、驚いた点はいろいろあったが、最も印象的だったのは旋回性能。筑波の最終コーナー、親戚ジジイとヤリスＷＲＣは１４０キロを超えるとタイヤのグリップが横Ｇに負けてしまい、ＧＴ５００も１５０キロ台だったが、うちのジジイよりさらに年寄りのＭＰ４／６は１６０キロ台でも平気だった。あの極太スリックタイヤと巨大ウイングによるダウンフォースの恩恵なのだろう。

長距離ドライブやサーキット場、カート場へ行くのもためらわれる今、ひとり個室で遊べるレーシング・シミュレーターは、３０分２５００円とコスパも良く、ほかにも試してみたい車種やサーキット・コースもあるので、また遊んでみようと思う。

・・・もしかして、また開けてはいけない箱のふたを開けてしまったのだろうか。（笑）