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2020年08月30日23:19

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旧きよきものを新しき器に

千聰(ちそう)といえば老舗の多い京都の中でも
1555年創業という由緒ある京友禅の会社です。

その本社ビルが8月オープンしました。
手掛けたのは建築家の田根剛。
ギャラリーもあるとのことで覗いてきました。

落ち着いたこっくりとした色合いの正面。
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型押しというのでしょうか、なんとも凝った壁面です。
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店内に入るとずらりと並びに並んだ胡蝶蘭のむせ返るような香り。
ギャラリーは2階です。

千聰本店グランドオープン記念企画
白〜はじまりの色〜
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ギャラリーの前室には白にまつわる展示。

もちろんまずは花嫁衣装の白無垢。
綿帽子、まるぐけの帯締や懐剣・筥迫などの小物。

繭15種類。
糸車に紡がれた糸。
白生地見本の山。

白いもの。
磁器と石、真綿と絹、すり鉢に茶碗。

44ヵ国語で「白」と書かれたカード。
開かれた辞書。どこの国にも白いという言葉はあるのですね。

盛り塩。神社の御幣。
儀式を行う人々の白装束。

興味深かったのは千聰社長が贈られた白足袋に添えられた手紙。
千聰では昔、丁稚に白足袋をはかせていた時代があった。それはすぐ汚れる白足袋をはくことで、身綺麗にすること、美しいものを商品としていることの自覚と誇りを教えるためだった…という内容。

さてギャラリーは3つのテーマで展開されていました。

【白の美しさ】
・白羽二重地宝尽産着
・白綸子地立木薔薇模様小袖(19世紀初)
・白綸子地垣菊文字文様小袖(18世紀中)
・白麻地御所解文様帷子(19世紀初)
・白麻地御殿模様帷子(同)
季節に合わせうすもので刺繍や摺疋田など見事です。

【清らかな白】
白赤黒と重ねられた婚礼衣装は波に鶴、
千聰13代夫人の婚礼衣装は波に松芦模様の振袖。

【白から生まれる】
・雲鶴文様内敷図案
フライヤーの上部に載っているものですがこれが大きい。4mくらいあるのでは?

また
・虎と鷲図
は原画の屏風、そこから起こされた染めのための図案、さらにそれに彩色したものと実際の行程を彷彿とさせます。

・釣花篭文様友禅裂
も染めの過程を残して軸装した、メーカーならではのものでした。


一階はもちろん店舗です。
手前にはスカーフなど手に取りやすい商品もありますが
ギャラリーを見たあとついでに奥まで見せていただきました。

友禅も見事なのですが、すみません、こちらの興味は建築と内装寄りです。

正面入口から奥まですうっと通る視線、
その先には衣桁を取り付けたガラスの壁、
6点のきものを通して中庭の緑が目に入ってきます。
思わず奥まで進むと左右にゆったりとしたカウンター。塗りでしょうか。
振り返ると微妙な色目の色無地。
天井に目をやって驚きました。ダクトや配管むき出し、といっても吹き付けで真っ白に塗られていますが、それが繊細な縞状の濃茶の木材から透けて見えている。そのせいか高い天井にさらなる解放感がありました。


ギャラリーの現在の展示は11月23日まで。
http://www.chiso.co.jp/blog/chiso_gallery/white/

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