mixiユーザー(id:58808945)

2020年08月23日09:11

130 view

高級軽自動車ビジネスの終焉

■軽自動車普及、44年ぶり減=買い替え一段落か
(時事通信社 - 08月19日 19:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6200167

■軽自動車の平均価格は135万円!?■

実際にJAFや日本自動車販売協会連合会などの資料から計算したところでは、軽自動車の価格は何と平均で135万円である。殆ど吊るしの状態の軽トラからスペシャリティーカーと言っても良い、ホンダS660やダイハツ・コペンなども含めてである。高級になってしまったと考えるのは私だけではあるまい。

25年前、この金額だと1500ccのカローラ・セダンの下位のモデルが買えた。あの頃、軽自動車に150万円なんて正気の沙汰ではないと考える人が大多数だったが、今や軽自動車に16インチアルミだ、LEDヘッドライトだ、ナビだ、あれやこれやと調子に乗ってつけるとあっと言う間に200万円に達する。なるほど、135万円になるわけである。

■新コロと消費増税がとどめを刺した■

ホンダS660のようなスペシャリティーカーを除けば、その他の例えばホンダの軽自動車とフィットを比較すれば、誰がどう見てもプライスラインがほぼ被るフィットの方がおカネが掛かっている。にも拘わらずこれまで売れに売れた。メーカーとしては笑いが止まるまい。初代フィットを出した頃、当時の吉野社長は

「フィットは幾ら売っても儲からないクルマなのです。」

とカージャーナリストの今は亡き徳大寺有恒さんに言った。今だってそういうクルマなのだ。

200万円に達する高級軽自動車販売も異変が起き始める。

消費増税でプライスラインを並べて比べる癖を消費者が付け始めた。2019年晩冬に開催された東京モーターショーでは主催者側はEVをトピックにしたかったそうだが、実際に一般ユーザーの注目の的ベストスリーは

ホンダ・フィット、トヨタ・ヤリス、ダイハツ・ロッキー(トヨタ・ライズ)

の3台だ。実車を見て、発売されるや、いざディーラーに行き、価格を知ると

「何だ、軽自動車と同じぐらいで買えるんだ。しかも矢張り軽は軽、普通車は普通車だな。」

と多くの人が思ったことだろう。

そこへ来て新型コロナウイルス蔓延。

mixiのどこを捜しても無いが、4〜6月期のGDPの年率換算では多くのアナリスト達が▲21%前後と予想していたのを大幅に下回り、何と▲27.2%という有様だった。所詮ゲーム機やGO TOキャンペーンといった旅行、パソコンごときで景気が上向く訳がない。日本やアメリカのような内需立国では自動車と住宅が消費者にとって最も単価の高い買い物であり、景気への影響も大きいものだ。

税金がお安いんですから、高くても良いですよね、とばかりメーカーもユーザーに売り続け、ユーザーも税金が安いのは事実だから、それに我慢して甘んじて来た。

こんな歪な商売であれば、確かにさっさと正常化した方が良い。新コロは或る意味正常化に引き戻すトリガーとなるかもしれない。

軽自動車は取り回し半径が良く、軽便であることに武器があったはず。ところが普通車に負けまい、負けまいとする余り、その頑張りは涙ぐましく、悲壮感すら漂う。と同時に敢えて車種は云わないが、その武器をスポイルしているモデルも見受けられる。1トン超、リッターカーよりも取り回し半径が悪い軽自動車もあるのだ。

ここは原点に立ち返り、軽ならではの武器を見直すべきである。

■過剰な安全装備の是非■

ではなぜ軽自動車がこんなに高価になってしまったのか。それは偏にあれをつけろ、これをつけろと安全装備をつけるようにお上からお達しが出たからである。

手始めは平成10(1998)年11月の新規格だった。サイズアップと同時にエアバックの義務化、その代わりに高速道路の最高時速100kmに引き上げられた。これ以前、高速道路の法定速度は80kmが上限だったのだ。

以後、軽自動車にも普通車と機能的にはほぼ同等の安全装備が与えられたと同時に価格はどんどん上がったのである。

しかしこうなったのもメーカーにも責任がある。実際、クルマのノンポリ化が進んだ。JAFによれば、何と自分の乗っているクルマのタイヤの適正空気圧が何キロか知っている人は35%未満、タイヤの銘柄を知っている人も過半数に届かないというから驚きだ。

勿論パンクは運次第みたいなところがある。私のように空気圧を知って、毎月タイヤが温まらないうちに定期的に充填していて、新興国のどこぞの酔ったような(失礼!!)メーカーのタイヤは履かなくても、13万5千キロも乗って5回もパンクするような人間もいる。全く空気圧など頓着せず、次のクルマに移行する人もいる。とはいえ、カーライフを振り返って、パンクしやすいという事が分かっていれば、スぺアタイヤがないクルマを敢えて買う事は無くなるのも確かだ。

安全装備がどんどん増える事は致し方ない面もあろうが、このような人達にメーカーは分かりやすく伝える事もクルマの価格上昇を抑える意味で大事なのではなかろうか。昔は今ほど安全装備は無かったが、皆乗れていた。ユーザー一人一人の注意で賄えた部分も多かったはずである。

■軽自動車税制を1000ccまで適用すべし■

今後どうしたら良いのか。

否応なしに軽自動車が魅力的なクルマになってもらうには軽自動車の排気量を上げる事である。平成10年の新規格時に実は750ccか、800ccに上げる案はあったのだが、トヨタ、日産の猛反対に遭って潰された経緯があると聞いた。

しかし今だったら反対はしまい。寧ろ熱烈歓迎のはずだ。

スズキとて660ccでは排気量が中途半端過ぎてエンジンの燃焼効率が今一つなのは十分承知しているはずだ。新興国に同社は強いが、そこで売られている軽のNAは800ccである。スマートも嘗ては排気量がさまざまだったが、結局三菱製の1L、71馬力のエンジンを使う事で落ち着いた。当時このクルマ(スマート・マイクロハイブリッド)は日本で乗れるガイシャでトップの好燃費だった。

1Lまでもし軽自動車税が適用となったら、多くの消費者の選択が増えるはずだ。外国車メーカーとて黙ってはいまい。1Lまで適用すると、

トヨタ・パッソ/ダイハツ・ブーン、ヤリス(1L車のみ)、、スズキ・バレーノ(1L車ターボのみ)、ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ、フォルクスワーゲン UP!、フォルクスワーゲン・ポロ、ルノー・トゥインゴ(1L)、スマート・フォーツー

が該当する。国産車のヤリスやバレーノなどと比べてしまえば軽自動車が一歩も二歩も劣るのは誰の目にも明らかだ。フォルクスワーゲンはUP!に更に廉価な1Lで60馬力の日本未導入モデルをラインナップに入れてくる可能性も高い。ポロも値付けこそカローラぐらいに高いものの、軽自動車税で維持出来るとなれば魅力的だ。

S660、コペン、アルトワークス、ジムニーのような個性的なクルマを除けば、今までは税制が安いからという理由だけで買われ、ユーザーに保有する喜びという点では薄かった。しかしここまで適用されれば、買う側だって保有する喜びが得られるから、クルマも大事にするようになるはず。

自分のタイヤのサイズを知らない、適正空気圧も知らない、銘柄が何がマッチしそうなのか分からない、バッテリーサイズも知らない、そんなことは無くなって来るのではないだろうか。

ガイシャのリッターカーと競合するようになれば、今までのような「税制が安いんですから高くても良いですよね」みたいなビジネスはもう通用しなくなる。結果、メーカーも否応なしに魅力的な軽自動車を作らざるを得なくなるはずだ。

実質200万円に達する高級軽自動車ビジネスが今までのやり方では立ち行かなくなったのは最早疑う余地がない。ならばこれを滅多にないチャンスとし、税制を見直してみればいかがだろうか。
8 10

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する