mixiユーザー(id:21651068)

Javascript の設定が無効になっているため、一部の機能を利用できません。

詳細はヘルプをご覧ください。

2020年02月24日23:23

60 view

青木野枝

世界の端は山
山は神聖

青木野枝～霧と鉄と山と
@府中市美術館

青木野枝の作品を初めて見たのは瀬戸内・豊島の《空の粒子》だったでしょうか。
鉄というハードな素材でありながらなんとも軽やかな空気感。
『流れのなかにひかりのかたまり』（左右社）を読んで
思わず行ってしまいました。

ロビーには天をつくような高さを持つ
◆霧と山-Ⅱ（2019）

そしてマカロンのようにみえたのは使いかけの石鹸
◆立山/府中（2019）

2階展示室に入ると、大学院時代の鉄作品から
鉄に卵を組み合わせた作品、
ゆるやかな形の石膏の作品が並びます。

どんどん大きくなっていったのか。
2019年の作品
◆霧と鉄と山-Ⅰ(2019)
50～60cmの鉄の円を直角に組み合わせたユニットを天井まで中空に
組み上げた作品。
周囲の展示ケースに吊られた透明な水色の波板が空気感をかもしだします。
鉄の円にところどころはめ込まれたガラスは２つの円で挟み、
ねじ止めされていました。
いったいいくつの丸を切ったのか。
いつかみたインタビューで作者は、
こういう作品にしようとか考えながら切っているのではありません。
ひたすら丸、丸、と思って切っている。
それはある意味お念仏をひたすら唱えたら救われるというか、
そうしたものと一緒のような気がします、
という意味のことを答えていました。

隣の展示室には大きな石膏の作品がふたつ。
◆曇天１/曇天２(2019)
今回は正面を向き合わせて配置した、といいますが
滑らかな山型でどちらが正面かわからないw
見学ツアーに来ていた小学生にガイドさんが
重いと思う？軽いと思う？中に入ったらどうかな？などと
質問していました。
この大きさなので重そう…鉄作品は展示が終わると
解体して撤去、次の会場で再び組み上げるそうですが
これは一つながり、ブロック状でないから解体できないよねえ。
どうするのでしょうか。

最後にはびっくりするような形
◆霧と鉄と山-Ⅱ（2019）
突然構想が湧いてきたかたちだそうです。
どうやって突起物がバランスをとっているのか。
これも鉄の丸を平面的に溶接して作られた中空の大作。

ドローイングはアイデアスケッチふう。
ケースのスケッチブックにはテキストも書かれていました。
おそらくは登ってみた山からの刻刻とかわる色合いと空気の記録。
制作の裏側をのぞかせていただいたようで興味深かった。

ショップで
・今回展の記録集
・2007年に府中で公開制作を行った時の記録リーフレット
・クリアファイル
を買いました。

3月1日まで。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/smph/art/kikakuten/kikakuitiran/noeaoki_kiritotetsutoyamato.html

＊＊＊

常設展示が充実しています。
「戦後の美術」のコーナーで
・斎藤義重
・中西夏之
・山田正亮
・松本俊介
・靉光
という並びをみてアガりました。

屋外にパーマネント展示されている
若林奮《デイジー》の丁寧な説明もよかった。
60cm四方・70kgの鉄板120枚。
地上に出ているのはわずか３枚だけれどその下に
117枚も地中・垂直に重なっているとは。発想がすごいです。

6 0