mixiユーザー(id:6327611)

2019年01月13日13:27

189 view

公開当時見なかったことが、よい方向へ転じた珍しい作品。加藤泰監督「昭和おんな博徒」(1972)。

僕がレコード会社でセールスから宣伝担当になる時期の作品です。ベルウッドレーベルが発足してひと月という時期ですから、このころは忙しくて映画(とりわけ日本映画)を見る暇がありませんでした。加藤泰監督はこのあと「人生劇場」「花と竜」という当時の“大作”を作ります。僕はそのあとの「日本侠花伝」は見ていますが、ほかはテレビ放送待ちでした。

そのころ見ていたら、たいして面白いと思わなかったと考えているわけです。なぜなら、加藤泰の独特のローアングルやら、前半の江波杏子と松方弘樹の関係が、よくあるヤクザ映画のパターンと一緒になって、新鮮味がなかっただろうと思います。今回は、久しぶりにそんな感触に接したわけで、「三代目襲名」や「緋牡丹博徒」を思い出しながら楽しみました。

それが最高潮になるのは、江波杏子扮するお藤が刺青を入れたいと言うシーン。そしてその後、刺青を松方に見せるあたり、情念と色っぽさが絡まって見事でした。これが加藤泰節だと僕は思う。しかし、遠藤辰雄が松方の手下を演じているのが“そぐわない”と思う。出てくるたび、セリフを発するたびに辛いのです。あんた、親分さんの貫禄がおありなんですから、こんな役を引き受けちゃいかんぜよ。

とはいえ、弱い女の代表みたいだったお藤が、“1年修業を積んできた”と盆を引く姿は、学生時代に入れあげた「女賭博師」シリーズ以上なのでうれしかった。このあたり、さすがに心得た作り方ですね。←公開当時に見ていたら、大映の「女賭博師」を本家の東映がパクるんかい、とむかついたかも。

刺青師を、汐路章が演じていて、これまたさすがという雰囲気なのでした。それと、天知茂扮する島崎の妻絹江を、松平純子が演じていました。病の妻ということで目鼻の化粧が僕の知っている松平純子と違い、はじめ気づきませんでしたが、いい味です。「新幹線大爆破」のチョイ役で“両国橋”を流されてもピンときませんが、この役なら“ポスト藤純子”も納得でした。

ということで東映チャンネルとご契約の方はお見逃しなく。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年01月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031