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2018年10月21日22:52

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ポタリストの記録・【西多摩中央周遊・その4】

■ざくざくばばあ!?■

 さて、復路になったとはいえ、もう一カ所行きたいところがある。あきる野市内の「ざくざくばばあ」という名所だ。場所は平井川沿いで、それを越えると多摩川に達し、北岸は福生市市民体育館だ。まるで「ゲゲゲの鬼太郎」にでも出て来そうな妖怪の名みたいだ。

 とはいえ、ちゃんとグーグルマップに出ているから凄い。

 どうも郷土史では妖怪のようだ。

 一緒に釣りに行った近所のお兄ちゃんに「早く帰らないとザクザクばばあというお化けが出るんだぞ。」

 と脅されたものだ(笑)。

 場所は平井川の多西橋の南西にある平沢の交差点を南西方向に進んだ坂にある。この坂自体は梨木坂とも「ところてん坂」とも云った。この地域は今でこそたくさん家が建っているが、私が小学生の時ですら結構夜は暗かった。平井川は清流釣りとしてはポイントが多く、魚影も濃かったので、帰りが日没になると道に迷う事も。昔はもっと暗いはずで、福生方面から五日市街道を西に向かって進むと、渡河後、坂が見えて来る。そこを上がると二宮神社になるが、そのあたりで菊芝居が催されるようになった。多西地区(現在の草花あたり)から芝居を見に行く人はここを通った。特に人気のあったのはところてん屋だったという。それゆえ、「ところてん坂」とも呼ばれるようになった。
 
 菊芝居という当時としてはエンターテインメントスポットが出来たため、妖怪の名だけが残ったようだ。

では早速行ってみることに。

 
■多摩地区最大の農産物直売所■

 例によって農道を進み、都道165に出る。武蔵増戸駅前に出る南北の都道とつなげるべく計画は立てているようだが、このあたりは地主の力が強そうだ。私が生きている間には出来そうにないと思う。都道イオンモール前を通過する。このあたり道幅もだだっ広く、時折警察も「ネズミ捕り」をやっていると聞く。

 それにしてもあきる野のイオンモールが八王子インター北に移転するのはいつのことだろうか。聞くところでは道の駅の前が移転予定地らしいが、あの土地、東京都、国、八王子市の土地がまだらにまじりあっているため、進んでいないのだとか。建設省だけがせっせと開店を見越して、道を作っている(なお、件の道はクルマ止めがあり、自転車すら道が新しいのに通れない)。

 五日市街道に出るには突きあたりの市役所通りを右折するか、R411を秋川駅に向かって南に下るのが良い。市役所通りから秋留台公園西を南北に走る南北道路に繋がれば良いのだが、と思っている。ここがつながれば、秋川駅〜東秋留駅の間のアンダーパスに行ける。ここを南下すると睦橋通りに繋がるが、地主の力がここも強いのだろう、依然としてこのルートを採らざるを得ない。おかげで朝はR411、五日市街道と南北道路が交差する秋留台公園西交差点は大渋滞のはずである。

 このあたり、通称・「とうもろこし街道」と呼ばれる。昔ほどではなくなったが、今でもとうもろこし畑が多い。公園の東から福生方面に向かって進むとファーマーズというJA直営だが、一般の人たちも廉価で野菜、切花、お酒、東京産の豚(TOKYO−X)などが購入出来る直売所がある。恐らくは一般の人も買えるJA直営としては東京都最大だろう。夏の風物詩として、ここでは毎年とうもろこしを売っている。今年は空梅雨だったので、どうかと思っていたが、粒はやや小さめだったものの、陽当たりは強かったこともあり、甘かった。地方へ発送するお客が長蛇の列を為していて、臨時カウンターを設けたほどだ。駐車場も当然それでは足りず、順番待ちをしているクルマも見受けられた。ちょっとしたレストランもある。最近は日曜のみだが、小田原から鮮魚の移動販売もあり、賑わっている。最早完全に道の駅と化している。

■ざくざくばばあの正体はいかに■

 更に福生方面に進むとパークというスーパーがあり、そこを左に入る。五日市街道とは暫しのお別れとなる。
 
 パークの裏手はなだらかな下り坂となっている。これは平井川が近いからである。裏道は閑静な住宅街でのんびりとしている。ガソリンスタンドが見えて来る。

 五日市街道はパークを過ぎると基本的に平井川までは大きくなだらかに下りの左カーブである。左カーブの終点が見えて来た訳だが、その近くに「ざくざくばばあ」が見えて来た。ひとつのちいさな祠があり、そこから水が湧き出ていると聞いたが、水はわずかしか無く、祠も撤去されていた。

 写真は地元の人から頂いた写真です。この場をお借りしてお礼申し上げます。

肝心要のざくざくばばあとやらの正体は分からなかった。

 ところが帰宅後、ざくざくばばあの話ならば、福生市を隔てて瑞穂町石畑地域に存在することが判明した。

昔、日が暮れるまで遊んでいた兄弟が、暗がりの中、
川でしゃがんで小豆をザクザク洗っている老婆に話しかけたら、
その老婆が突然立ち上がり、
「こんな遅くまで遊んでいる子供はどこのどいつじゃあぁぁ〜〜〜〜〜ッ!!」
「喰らうてやろうかぁ〜〜〜ッ!?」と、
身の丈が見上げる程の大きい化け物の姿になって叫んだとの事。

 以来、子供たちは「暗くなるまで遊んでいると、ざくざくばばあが出るから…」と、
暗くなる前に家へ帰る様になったそうな…。


という話だそうだ。瑞穂とあきる野の平沢、ママチャリでも4km弱。それほど遠くは無い。あきる野市平沢のざくざくばばあの怖さが廃れて、庶民の娯楽の菊芝居の観客目当てに露店が立ち並んだと思われるのは江戸時代。ということは、それ以前はざくざくばばあの話が流布していたことになろう。それでも当時の人の足ならば、瑞穂町石畑⇒あきる野市平沢までは丸一日は掛からないはずで、ならば瑞穂町石畑の伝承が伝わっていても全く不自然ではない。

 一説によると、ざくざくばばあは「小豆洗い」という妖怪の一種ではないかと言われている。小豆洗いは「ゲゲゲの鬼太郎」に出て来るポピュラーな存在だが、全国で伝承が残っている。

 あきる野市の西隣の檜原村でも小豆洗いの話が残っている。

 作家の井沢元彦氏は日本の歴史学会は呪術的なところを兎角軽視する傾向があると批判していた。呪(まじな)いが本当かどうか、妖怪がいたのかいないのかが重要なのではない。

 私が子どもの時はこの手の話はひとつふたつ、必ずあった。当時の人が信じていたこと、それが確かに文化的に重要であろう。

 最後までご覧頂き、ありがとうございました。

                                   (了)

 サイクルコンピュータの数値

 平均時速:20.4km

 最高時速:41.2km

 走行距離:35.5km

 という結果だった。

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