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2018年09月01日17:20

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東山魁夷

その時々に違う貌を見せてくれる『道』。

〜本当の「あお」に出会う〜
生誕110年 東山魁夷展
@京都国立近代美術館
フォト


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東山魁夷の作品をまとめて観るのは、昨年春に
豊田市美術館で『抽象の力』展と同時に開催されていた『唐招提寺御影堂障壁画展』以来です。



今回も唐招提寺御影堂の再現展示はあります。
現地が修理をしている今のうちですね。


それに加えて
今回は本画68点+スケッチ45点で画業の全貌を辿ります。
東京国立近代美術館から15点、39歳〜50代の作品。

長野県信濃路美術館からは、晩年を中心に絶筆までの21点と『京洛四季』スケッチ。

宮内庁からは吹上御所をかざる『萬緑新』(9/24まで)。

円山公園の垂れ桜を描いた『花明り』(1968 大和証券グループ本社)も来ています。

第2会場がやや散漫な展示になった印象がありましたが…。



印象的だった作品のメモ。

まず会場冒頭の「国民的風景画家」の章から
◆晩照(1954 東京国立近代美術館)

今回の見所のひとつである《残照(1947 東京国立近代美術館)》(第三回日展特選・政府買上)もよいのですが
それからさらに日が傾くとこうなりますか。
縦長の画面はほんの上部に金色の空、殆どは赤暗く沈む山々。
画面の下に黒い帯があり、マーク・ロスコのシーグラム絵画を思わされてはっとしました。


雪景色の数あるなかでは
◆春雪(1973 千葉県立美術館)
ぼってりと水を含んだ重たげな雪が、並ぶ『北山初雪』『雪の後』と見事に違う。


◆水辺の朝(1972 長野県信濃美術館)
子供の頃には東山魁夷といえばみどりの景色に白い馬、と思っていましたが、
実際白い馬がモチーフに現れたのは
唐招提寺障壁画に取り組んでいた間だけときくと暗示的。
これはドイツ・オイディーンを描いた小品。

その障壁画ではやはり今回もこれが好き。
◆揚州薫風(1980 唐招提寺)
「東山ブルー」を封印して水墨で描かれた鑑真和上の故郷。
柳をたわめる風がこちらまで届きます。
さらに今回は和上像を納めた厨子に描かれた《瑞光 》(小下絵試作)も。
鑑真が上陸を果たした鹿児島は秋目浦に達した様子を描いています。
これがまたきらきらしいまでの鮮やかさでした。



会場を回ったあとで講演会を聴きました。


『鑑真和上の教え』
西山明彦(律宗管長 唐招提寺 第88世長老)

タイトルからわかるとおり、絵画のお話ではありません。
障壁画を描くに当たって東山画伯が1年間学ばれた仏教を
一時間で修学旅行生レベルに噛み砕いたお話。
ユーモアたっぷりでしたがそれでも仏教のお話は難しい。
戒律とは何か。
宇宙の真理を司る梵網経。
仏教は懺悔と咀嚼の宗教である、等々。
哲学ですねえ。。


10月8日まで。
10月24日から国立新美術館に巡回。
http://kaii2018.exhn.jp/


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