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2018年08月16日23:23

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ポタリストの記録・【多摩川上流渓谷と古戦場・その1】

■ランダム走行こそポタリングの面白さ■

 ポタリングとは目安として、ノンビリ自分のペースで、距離は50kmぐらいまで、平均車速はせいぜい20kmで走るサイクリングのことである。前にいる人を抜くことで快感を覚えるような走り方とは全く違う。時には迷いながら、他人から見れば非効率な道を走りつつ目的地に向かう。

 或る意味これは人生と良く似ているかもしれない。

 人生も予定外は当たり前のことであり、時には迂回させられることは多々ある。そういったちょっとした疑似体験が出来るところが面白い。

 今回の目的地はJR青梅線の軍畑(いくさばた)駅である。

 その名の通り、古戦場だった。それについては後述する。ここに辿りつくまで面白いところは、多摩川の南を並走する吉野街道とほぼ沿うような形で道が造られていて、入りくんでいる。流石に嘗ての宿場町だ。ここを走るのも面白そうだ。

 出発したのはこの日は午後だった。この日はやや遅かった。

 吉野街道沿いの道を出来るだけ長い時間、ランダム走行で楽しみたいので、そこまでは流れの良い道を進むことにする。JR拝島駅南口を出て、国道16号のアンダーパスを潜る。そこは標識こそ無いが、福生市である。ここを道なりに進み、武蔵五日市線の熊川駅前を通過すると、奥多摩街道になる。

 その先に玉川上水があるが、そこは台風の後で、かなりの水嵩があった。その先の自販機で水を買った。最近はバナジウム入りの天然水ばかり買っている。水と麦茶の併用が身体に良いことが分かった。インターロッキングが敷かれた福生の商店街を進む。一方通行なのだが、お客の入りは良い方だ。近くに西友もあるものの、なかなか大きなスーパーに負けずに健闘している。

 ほぼ青梅線に並走して進む。羽村の小作地区に入ったあたりにピンク色の壁の幼稚園が見えて来る。ひと際目立つ。そこを左折し、小作坂下を降りて多摩川へ。

 この日は34℃ぐらいの気温があったと思われるが、多摩川の橋の上は川からの風で意外と涼しかった。

■街道筋■

 T字路は左に行けば以前潜った満地トンネルを抜けてあきる野市へ、右に行けば御岳方面へ続く。この日は平日だったこともあり、ダンプカーが多かった。尚更街道筋は都合が良かった。

 長閑な風景とは対照的な建造物が迫って来る。圏央道だ。街道筋の道は友田の交番の前の道から入り、圏央道の高架橋を潜る。その先には花蔵院という瓦が立派な寺があり、お寺沿いを進むが、意外とその先は生活道路になっているので、一時不停止にならないように注意が必要なところだ。左手には丘陵が迫り、自然豊かな風景が広がっていく。その先はY字路がずっと続く。右折すると殆どの道は吉野街道に誘導されてしまうので、左折し、直ぐに右折する経路を採り続ける。

 意外とアップダウンは続くので結構楽しめる道だ。迷ったら右折し、どんどん下っていけば、自然と吉野街道に出られるのが分かっているので、見知らぬ道だが怖さは無いのも楽しめる背景のひとつだろう。途中錆びついた火の見櫓が見えて来る。懐かしい建造物だ。短いが、坂なので、今日はフロントギアのローも動員する。

 この通りは「調布東通り、青梅市」と書かれている。

 しかしそれにしても・・・なぜ青梅で調布なのだろうか。

 その理由は後で知ることになる。

 火の見櫓があったかと思えば、左折し、直ぐに右折すると今度はゴルフの練習場。グリーンヒルゴルフクラブ、と書かれている。その先には新しいアパート群。街道筋と言いつつも、このあたりは現代的である。そして当然と言えば当然だが、駐車場が完備されている。T字路を左折し、小川(名称不明)を渡り、また右折。住宅街を進む。

 住宅街を進むと、木々の道を潜るところがある。とても涼しい。矢張り34℃と言っても、自然の恩恵に感謝したくなる。丘陵地帯が南に迫っているせいか、山から水が流れ、そのあたりだけ水たまりになっていた。このあたり、久保さんという苗字が非常に多いようだ。そのような地域性もある。

 そこを過ぎるとまたまたT字路である。同じようなところをぐるぐると回っているような気になって来る。T字路を右折すると小川がある。多摩川に注ぐ鳶巣川という川である。右手には神社もあり、ならば先ほど坂を渡る必要は無かったかも、と思ったが、よくよく見てみると、その先は大通り、吉野街道が見える。矢張り来た道が正しかったことを知った。

 その川沿いの道を暫し進むと、森田自動車という個人の自動車屋さんがあり、左折、また例によって直ぐに右折しようとするが、二手に分かれている。変形の交差点だ。緩い方を進んだが、その先は通じているようだが、狭くなっているように見える。

 途中で引き返した。

なだらかな坂道の方を上る。見知らぬ道なので、スピードは20kmを切っている。助走をつけられないので、今日はフロントインナーが大活躍だ。といって、走りにくいことは無い。ほぼ六メートル道路で、地元の八王子ナンバーの軽自動車を数台すれ違う程度だ。

 この先に西多摩地区きってのタオルメーカー、ホットマンという本社工場がある。都心にも70店舗以上テナントが進出しているという。嘗ては梅花紡織という社名だったが、このようになった。通りの標識を良くみると、

 「調布東通り」と書かれている。

 通過した頃からまたクルマの通りの激しそうな道が見えて来た。秋川街道である。右に曲がれば吉野街道、それを更に進むと多摩川を渡り、急坂を経て、青梅駅に出られる。

 通りを横断すると、通りの名は

 「調布西通り」と書かれている。

 理由が分かった。

 昔はホットマンなどを中心に様々な紡績企業が存在したからに違いない。いかにもこのあたり「街道筋」という感じが良い。

 このあたり小川が多い。殆どが多摩川に注ぐのだが、清見川を渡り、今度は右折。そして駒木野保育園を左折。なだらかな坂。左手には省スペースながら、段々とお墓がある。そこの右手には人気の無い老人ホームがある。ここを通るのは地元の人たちばかりだろうが、見通しが良くないから注意が要る。

 二股になっていて、最初は下ってしまうと矢張り吉野街道に出てしまったので、引き返す。この機動性は自転車ならではだ。これがロードバイクと大きく違うところだ。SHIMANO 105クラスのドライブトレインを装備しているロードバイクならば、街道を疾走すれば良い話だ。何も考える必要が無い。

 それにしても・・・幾ら閑静なところにある老人ホームや施設とはいえ、建物からお墓が見えるようなところには正直入りたくないなと思った。まるで「お前の行き場はあすこだ」と言われているような気がして・・・。

 私ならば、自宅で孤独死を選ぶだろう。

 まだ吉野街道に降りるのは早いようで、暫くゆったりと漕ぐ。ミンミンゼミの鳴き声がする。少し季節感を覚えた。

 その先に漸く見えて来た信号。吉野街道である。調布通りはここで終わり。

 この先は青梅の街道筋の面影を残す風景から、奥多摩の渓谷の雰囲気を少しずつ醸し出していく。

(続く)


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