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2017年03月28日23:17

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日本の燃費基準の課題をクリアする方法はあるか?

■自動車燃費、新表示に 市街地・郊外・高速それぞれ数値
(朝日新聞デジタル - 03月22日 21:08)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4490296

 日本のクルマの燃費基準を策定する際の課題(クライテリア)は何だろうか?

 1ユーザーのための燃費情報の不正確さ

 2排ガステスト基準の現実との乖離

 3輸入車に対する非関税障壁としての基準

 の3つである。

 順を追って見てみよう。

 1について

 さしもの霞が関のお役人様達も日本のカタログ燃費の欺瞞を隠蔽することは困難、と感じていたことの証左なのだろう。そこで10・15モードからJC08モードになった訳だが、内容を見てみよう。

 ◆25%をコールドスタートで実施(10・15モードではコールドスタート無し)

 ◆平均速度も引き上げ(10・15モードでは81.4キロだった)

 ◆10・15モードにはない加速、減速を実施

 しかしJC08モードでも現実の交通状況を的確に反映しているとは言い難かった。JC08モードが出来た際のトヨタ・アクアの燃費は37.0km/L。国産では最も良い燃費のクルマに違いないが、それでも37.0km/Lという燃費を実際に誰が何時でも何処でも出せるとは考えにくい。私が下駄にしているトヨタ・ヴィッツの1.3Lもカタログ燃費はJC08モードで20.6km/Lだが、それを越えたのは地方の速度域が時速60kmで巡航していた時くらい。東京郊外で14.0km/L程度。冬のスタッドレスタイヤを履いている時期になると12.0km/Lにまで落ちる。クルマのことにちょっと詳しい人であればあるほど、実態と乖離したものであることは承知しているのだ。

 2について

もともと日本の基準は排ガステストのためであって、燃費は二の次だった。副産物としての燃費結果が著しく異なるということは、当然排ガスも実態はかなり大甘だった可能性が高く、そう考えると恐ろしい。何しろ日本の道はストップ&ゴーを強いられることで世界的にも有名だ。速度域も低めだ。25%でも現実的とは言い難い。こんな基準で排ガスを取り締まっていたとしたら、一体どれだけの成果があげられていたのか疑わしくなる。


 3について

 まだある。これが非関税障壁となって外国車の輸入を妨げていた側面があるという点だ。このようなJC08モードでも外国車メーカーとしては、基準を満たさないと日本で販売することが出来ない。彼らにしてみれば、それに適応させるのは間尺に合わないコストを計上しなければならず、日本でそれほど外国車が売れる訳ではない。余分なコストを掛けるのは馬鹿馬鹿しい話だ。ということで、仕方無く、現地のクルマをそのまま日本に導入してテストに掛けているのが実態である。当然輸入車は国産車ほど目覚ましいカタログ燃費にはならない訳だが、意外や意外、外国車の方がカタログ燃費との乖離が少なかったりする。

 以前シトロエンC3をお借りしたが、カタログ燃費は確かに1.6Lで12.0km/L。しかし実燃費は23区、都下、埼玉の郊外の道を走って11.9km/Lだった(カタログ燃費の99.2%)。

 フォルクスワーゲン・ポロ・TSIコンフォートライン(前期型)は1.2Lのターボ、カタログ燃費で20.0km/Lが同様の条件で走らせた場合、17.8km/Lだった(カタログ燃費の89%)。

この程度の誤差だったら、誰もが納得いくのではないか。C3やポロはまだ良いかもしれない。何とか日本のルールをかいくぐってきた。しかし、このようなルールのために外国車でエコロジカルなクルマ達が日本市場から締め出されている例がたくさんある。その最たる例がディーゼル車だろう。最近やっとそれでも少しずつ入って来たが、矢張りJC08モードが障壁になって国産車でも欧州で人気のあるディーゼル車も該当するかもしれない。日本ではハイブリッドのトヨタ、という印象が強いが、実は欧州でクリーンディーゼルでもトヨタは評判が良い。ヤリス(ヴィッツ)、オーリスやアベンシスなどがその好例だが、残念ながら日本のメーカーのクルマなのに、日本では購入することが出来ない。これは日本の消費者にとってもいいことではない。日本ほどの市場で外国車の割合が1割にも満たない状態はちょっと異様である。

■自動車業界のステイクホルダー達が作った基準では・・・■

 そもそもJC08モードにしても新基準にしても、取りまとめたのは自動車業界と関係が深い国土交通省である。だから業界に甘い、と決めつけ過ぎるのもいけないが、本来排ガスのテストだったら、環境省が率先してやるべきであり、ユーザーへの情報開示、という見地であれば、消費者庁が口を挟んでも良いはずだ。

 これがアメリカではどうなのかといえば、自動車業界と関係が無い環境保護局(EPA)が実施、その数値は誰もが体感できるものに限りなく近いものになっている。時代の変化、クルマの性能の変化と共に対応しており、何度となく基準は改定してきた。直近のでは発進は100%コールドスタート、高速燃費では時速128kmの高速走行時の基準になっている。

 新基準のクルマを見て、実燃費の差を見てみたいものだが、それはもう少し先になりそうである。

とはいえ、日本の基準はウォームアップを終えた程度でスタートに対し、アメリカの基準はそれこそ起床して直ぐに全力疾走を強いるような基準という大差があった。

 内容を見ると確かにJC08よりはリアルになっている点は慶賀すべきだ。クルマに不勉強なマスコミの記者たちの中には「ハイブリッドで無ければエコカーではない」とのたまう人間まで散見されるほどだが、アウトバーン(ドイツ、平均時速160km)、オートルート(フランス、実巡航時速150km)の超高速域になれば、ハイブリッドはタダの重たいガソリン車、という評価は動かし難い。高速道路よりも一般道の方がハイブリッド車は燃費が良いという結果が新基準で出て来そうでよりリアルな結果となるかもしれない。例えば日本のコンパクトカーでトップを走るニッサン・ノート・E−POWER、知り合いに実燃費を聞かせて貰ったが、高速道路でもせいぜい22.5km/L程度で、なかなか25km/Lに行かないらしい。一方、スズキ・スイフト・ハイブリッドRSもスズキのディーラーの知り合いに言わせると「うちのはなんちゃってハイブリッドですから」と謙遜していたが、なんちゃって、と言いつつ、実燃費はノートと同程度だという。これはスイフトがスズキのハイブリッドシステムがどうのこうのよりも、ハイブリッドでありながら900kg台前半だからだ。車重はかくも燃費に影響する。

 しかしまだ懸念材料がある。

 そんな厳しい基準が出来るのもアメリカの場合、偏にEPAが自動車業界と全く関係が無いからだろう。一方で日本の場合は役人と業界がもたれ合っている限り、新基準も穴を見つけて好燃費を弾き出すメーカーがきっと出て来るだろう。喩えて言えば勉強そのものは大して出来ないのに、テストの点数を取るのが得意な学生と同様にである。自動車メーカーのステイクホルダーではない環境省、消費者庁あたりが率先して取り組んだ方がよりユーザーとしては信憑性の高い基準になるのではないか。

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