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2016年11月07日22:32

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破壊と創造

昨日行われた全日本大学駅伝、見事青山学院が出雲に続いて優勝を飾った。

しかし、今回の大会は早稲田のすばらしいレース展開で青山は相当焦ったのではないかと思う。いまや難攻不落とも言われる青山を倒すにはこうするしかないというお手本のような流れだった。

1区で先手を奪った東洋は2区を失敗し、それに変わって先頭に立った早稲田平君に青山の田村君が追いつき、最後は青山の田村君がわずか1秒のリードを作った。

これで青山の流れかと思われたが3区では早稲田の鈴木君が青山に14秒差をつけ、4区の永山君は区間賞の走りで1分以上のリードを奪う。

青山に勝つには先行逃げ切りしかない。後半に大砲を持つ強豪を破るための鉄則だ。早稲田はそれを完璧にやり遂げたといえる。

さすがの青山の各ランナーも序盤をオーバーペース気味に入ってしまい、なかなかその差が詰まらない。

アンカーの一色君が襷を受けたときは先頭を行く早稲田との差は49秒。一色君は早稲田の安井君を追うと同時に、後ろから来る山梨学院のニャイロ君も気をつけなければならない。

しかし、ここからは圧巻だった。一色君は6キロ近くで安井君に追いつくと並ぶ間もなく突き放し、最後は56秒の差をつけて優勝のゴールテープを切った。

一色君は出雲でもアンカーを担ってトップでゴールインしたが、彼は優勝インタビューで涙を流した。みんな明るい青山の選手で負けたのならともかく優勝したのに泣く選手がいるのかと少し不思議だった記憶がある。しかし、彼は昨年青山四天王と言われた一人、しかし残りの神野、小椋、久保田の各選手は今年の春に卒業している。

唯一残った四天王は今年の青山のエースとしてひたすら責任を背負い、ひとり重圧を感じていたのかもしれない。それが優勝という結果によってもたらされた安堵感から涙がこぼれたのかと思ったものだ。

しかし、この日は違った。重圧などなく、それ以上に自信に満ち溢れていた。もはやよほどのアクシデントがなければ負けることはないだろうといわれる青山が苦しんだこのレースの流れを最後は自身の力でねじ伏せたのだ。


くしくもこの日大学ラグビーで帝京大学対早稲田大学という試合があった。帝京が早稲田に77−3と圧勝した。

最近の青山の駅伝を見るにつけ、いつも帝京のラグビー部が頭をよぎる。

早慶明をはじめとする伝統校が長く上位を占めてきた大学ラグビー界。その中で新興チームといえる帝京がいまや大学選手権7連覇中であり、もしトップリーグに所属してもおそらくビリにはならないだろう思われるほどチームは強化された。

帝京の岩出監督の方針は「破壊と創造」、選手たちには自分たちで考えさせるように誘導するという。これまでの常識を破壊し、常に新たな創造を意識する。

医学部を持つ帝京大学はいろいろな科学的なトレーニングや栄養学面から考えられた食事などを取り入れている。

もちろんそんなことは伝統校でもできるだろう。では掃除や後片付けを4年生がやるという帝京のやり方を伝統校はできるだろうか。

伝統校はまさにその伝統によって支えられている。誇り高きユニフォームや憧れの襷が選手に力を与えることももちろんある。

しかし、「俺たちの頃は・・・」という言葉が大好きな古いOBは社会的地位が高い人も多い。高額な寄付などもする反面、監督人事にも大きな影響力を持っている。カリスマ性を持つ一人の監督が支配して一切変わろうとしない体質も伝統校の伝統校たるところだ。

時代は変わった。科学的な面だけではなく、教育のあり方も親の考えも子供の育て方も変わった。カリスマの一言だけで選手は動くだろうか。この人のためなら死んでもいいという若者はいるだろうか。

だから、最近の青山の躍進を見るたびにいつも帝京のラグビー部が目に浮かんだのだ。青山の原監督も選手に考えさせることを常としている。講演会などで忙しい原さんは練習に参加しないことが多い。いつも選手たち自身が課題を持ちそれを自分たちで解決するように練習を組んでいく。監督が睨んでいなくても選手たちが自分で考えて自分で動く。

やらされる練習ではなく、自主的に取り組む練習・・・・
指示されたことをこなす練習ではなく、自分たちで課題解決のために考えた練習・・・・

どちらが試合での結果に結びつくか・・・・
というより、どちらのチームでその競技をやりたいと思うか・・・・


一色選手が昨年東洋に敗れたときに自分が1区で1秒差の2位だったことが敗因だと泣き崩れるアンカーの神野選手をみて思ったそうだ。1区から自分が流れを作っていれば優勝できたはずと・・・・

そして、次回は自分がアンカーを走ると負けた昨年の大会直後に原監督に直訴したと聞く。

そういう意識ですごした1年、全日本の借りは全日本でしか返せない。そのために何をするかを一色君はいつも考えていたはずだ。


帝京のラグビー部も青山の陸上競技部もいい選手を集めているのではない。いい意識を持った選手が集まってくるチームなのだと思う。


2016年11月6日 第48回全日本大学駅伝対抗選手権
   (名古屋市熱田神宮西門前〜伊勢市伊勢神宮内宮宇治橋前 8区間106.8キロ)
1位 青山学院大学
2位 早稲田大学
3位 山梨学院大学
4位 駒沢大学
5位 中央学院大学
6位 東洋大学
7位 東海大学
8位 拓殖大学
9位 國學院大學
10位 帝京大学
(6位までが49回大会シード校)

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