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2016年08月02日22:45

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言いたい放題のクルマレヴュー・【マツダ・デミオMB】

【Zoom−Zoomの隠れた名店】

 

 マツダ・デミオが順調に売れている。そのけん引役は2014年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したマツダ・デミオ・スカイアクティヴディーゼルである。今から15年前、石原東京都知事は「ディーゼルNo!」を声高に叫び、トヨタ・カローラなどはカタログからディーゼルを落としてしまったほどだが、それを思うと隔世の感がある。

 この車のトピックはディーゼルターボにあるが、実はひっそりと(?)コスパ抜群でディーゼルターボの動力性能に勝るとも劣らぬグレードが今春出ていた。それがMBというグレードである。

 このたび、このプレーンなところがとても魅力的に感じられるグレードに100kmほど乗せて貰った。

 内装、ユーティリティは1.3のベースモデルのままだから、それほど不便無く使える。パワートレーンは海外輸出用のガソリン1.5Lエンジン+6MTの組み合わせと至ってシンプル。ディーゼルターボだの、ハイブリッドだの、ターボだの、矢鱈と飛び道具にばかり注目が行きがちの中、自然吸気で真っ向勝負というのは好感が持てる。嘗てどのメーカーもこの手の真っ向から直球勝負、それでいて廉価なモデルは20年くらい前まではあったものだ。レビン/トレノ、シビックSIRもそうだった。その後、やっとトヨタからヴィッツRS、スズキからはスイフトスポーツが出たが、次期ヴィッツRSには1Lのターボかオーリスの1.2Lターボ、スイフトスポーツにはバレーノの1Lターボの排気量を拡大し、1.4Lターボエンジンを載せると噂されている。SIRの後継のシビック・タイプRも今や価格帯は優に300万円を越えて、ターボが乗る時代なのだ。これでは誰が乗っても速く走れるし、シフトチェンジを少々サボってもラクラク走れてしまう。

 廉価で少し辛味の効いている、それでいて実用的なモデルはありそうで無くなりつつある。そういうモデルが欲しい人には朗報だ。

 
 ■ディーゼルターボよりも実は速くてスポーティ

 

 デミオはディーゼルターボが最も速いと思われがちだが、実はこのモデルが最も速い。

 XD:0−100km/h(ゼロヒャク)で10.1秒(雑誌・「driver」)

 MB:9.0秒(マツダ公表値)

 と言って、ハイパワーモデルでも無い。エンジンはロードスターのエンジンをデチューンしたもので、116馬力だが、車重がディーゼルターボのXDと比較して大幅に軽く、1000kgしかないので、これだけの加速を謳う。このモデルはハイオクなので、エコノミーという点ではXDに軍配が上がる。しかし軽さを利して少ないパワーを余すところなく使いきる。これはスポーティと言えるのではないだろうか?
 
 実はMB、もともとモータースポーツ仕様に作られているが、トヨタのヴィッツRSレーシングと比較して、そのままファミリーカーとしても使えるのが嬉しい。標準でエアコン、アルミホイールがついて来る。ただレギュラーモデルと異なり、装備簡略の部分は、ヘッドアップディスプレーがオプションでも選べないこと、エアコンもマニュアルであること、その程度である。

 走らせてみて、何かに似ている・・・と思って思い出したのが、初代のトヨタのヴィッツRS。こちらもまた軽さを利して(950kg)、少ないパワー(110馬力)を余すところなく使い切る、そういう性格である。2代目のRSは初代RSよりも、プジョー306、3代目も207のようなハンドリングになり、初代との関連性は薄くなった。初代のRSに13万5千キロまで乗っていた身としては嬉しくなった。オプションといえどもタイヤは185/60R16だからインチアップの余地が残されている。なお、参考までに、タイヤはアドバン・デシベルがついていた。

 走らせると、矢張り鼻先がXDツーリングに比べたら、軽くて微調整が殆ど要らない。オンザレールだと言うと大げさだが、下道ではしょっちゅう微調整を余儀なくされるディーゼルターボのXD系と比較して、ライントレースは軽快に決まる。この点も初代のトヨタ・ヴィッツRSと似ている。こちらはまだアンチスピンデバイスはオプションでも選べなかったのだが、ローギアード車なのに、かなり乱暴にスロットルを操作しても、ラインを変えることが少ない。誰が乗っても安定した姿勢で速く走れる操縦性を持っていたが、デミオMBも限り無く近かった。但し、ヴィッツRSは5MTに対し、こちらは6MT。6速目は勿論オーバードライブと思って良い。高速道路の静粛性ではデミオMBに軍配が上がる。

 参考までに燃費は100kmほど走って、高速道路3割、地方の郊外の道4割、東京の一般道3割で、16.4km/Lだった。坂道で下がらないようにアイドルストップがついている。但し、このモデルはハイオクガソリン仕様となる。この実燃費ならば、ハイオクでも実燃料費など、高額でもなさそうだから、気軽に乗れるモデルではないだろうか。

 ■コスパ抜群

 
 デミオMBの良いところは別にモータースポーツに出なくても、週末のお買いもの、ドライブ、通勤にもそれほど不便なくマルチパーバスに使えてしまうことである。しかも価格も手ごろ。消費税増税で、今や軽自動車すら、15インチアルミ、HID、インタークーラーターボ・・・なんてやっていると、あっと言う間に実質支払額は200万円に達する「高級軽自動車」が増えている中、吊るしの価格は何と150万1200円。これはハイオク仕様であることを差し引いてもお買い得だ。それに快適装備セットのユーティリティパッケージの6万円(16インチアルミ、CD/ラジオ)をつけても160万円に達しない。価格帯まで初代のヴィッツRSと似通っているが、15年以上前の車とほぼ同額というのはコスパ抜群と言える。

 ■ライバル車。参考までに

 【トヨタ・ヴィッツG‘s】

 素のRSに更に足回りを換え、補強を施したモデル。一体どこのメーカーなのか分からないが、ほんの少し走っただけで、足回りは誰が乗っても分かる良さ。17インチなのに、乗り心地はとても快適。1.3のベースグレードのFよりも適度な硬さとスタビリティの高さが好印象。特に後席は他のコンパクトと比較しても静か。加速は初代RSと比較して100kg増となったため、初代RSを知る者としては少々物足りないが、全輪ディスクブレーキを利してブレーキの効きは秀逸。この点、ヴィッツに軍配が上がる。但し、取り回し半径はその分犠牲(5.6m)。保有する喜びも高いが、価格も安くは無い。200万円。コスパではデミオが優勢。

【スズキ・スイフトスポーツ】

 1.6Lながら、1.8L級の馬力。0−400mで16.5秒と俊足。加速性能は実力伯仲。遮音の技術はデミオMBの方が静か。こちらは竹を割ったような性格で、音は大きいものの、スロットルに実に素直に反応してくれるので楽しい。ピリリと小粒だけど辛い、そんな性格。なお、現行型からは都会の人向けにCVTも用意されているが、矢張り6MTで走りたい。ブレーキ性能では全輪ディスクブレーキで武装したスイスポに軍配が上がる。ただし、コストパフォーマンスでは矢張りデミオ。

 
【ホンダ・フィットRS】

 こちらは何とスイスポとほぼ同出力を1.5Lで実現したモデル。ホンダは流石もともとエンジン屋だから、面目躍如といったところではないだろうか。ただし、1.3Lの性能が良いこと、世の関心はハイブリッドなので、注目度は低く、それほど売れていないのは確か。しかし内容は見逃せない。ホンダらしい音質の良さは好きな人であれば、病みつきになるかも。こちらも全輪ディスクブレーキを装備しているので、ブレーキ性能は高い。が、取り回し半径は5.4mとやや大きい。スペースユーティリティは抜群で、ミニバン的なスタイルが好きな人には良いかもしれないが、それが気になる人にはデミオか。ホットハッチというより、マイクロミニバン的ツアラー。一部の「R」ではなく、みんなの「R」と言うべき車かもしれない。それでも6MTを載せてくれたのは嬉しい。

【マーチ・NISMO S】

 実は本当にコンパクトカーを買いたい人にはデミオは向いているとは言い難い。なぜならば、ボディが全長4000mmを越えているからだ。このサイズがなあ・・・という人にはこちらがお勧め。個人的にも今の小型車の車幅はもっと小さくて良い気がする。そんな要望にも応えてくれるスポーツ仕立てのモデルだ。1.2Lと1.5Lがあるが、矢張り1.5Lに乗りたい。トランスミッションは5MTの設定だけ。116馬力にトルク15.9キロに車重1010kg。ゼロヨンでは16秒後半は確実。エンジンそのものは初代ノートのエンジンをライトチューニングしたもの。停止時の乾いたサウンド、タイヤはBSポテンザRE−11と雰囲気を盛り上げてくれる。価格も180万円と頑張っている。
 
 
 どれを選ぶかはお好み次第だが、昔取った杵柄でコキコキと少なめのパワーを現代の安全技術に守られながら余すところなく使い切って走るのは、ハイパワーエンジンでガンガン走るのとは違った意味でスポーティなのは間違いない。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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