mixiユーザー(id:2391655)

2016年05月03日01:47

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ありがとうございました

ボクはアマチュア野球が好きだ。高校野球も大学野球も、そして、草野球もだ。

野球の技術だけなら間違いなくプロ野球の方が上だ。その向こうにメジャーリーグがある。

だからその理由はと言われるとうまく表現できない。でも、一番簡単な言い方をするとアマチュアの試合では試合開始前と終了後に必ず挨拶をするからだということになるだろうか。

お願いします。ありがとうございました。

礼に始まり礼に終わるという日本の心が野球というアメリカのスポーツにも存在する。それが野球とベースボールとの違いなのかもしれない。

そしてそれを最も示しているのは、ボクは東京六大学野球だと思っている。野球という試合そのものの面白さと同じくらいの存在感がある応援の形だ。

日本で初めて野球を始めた大学を中心に作られたリーグは強烈なライバル心から数々のけが人をともなう事件を繰り返しながら今は日本で一番礼儀正しいリーグになった。

9回裏に劇的なサヨナラ勝ちを収めても応援リーダーは応援席に向かって静粛を即し速やかにエールの交換に入る。大声を上げて喜びをはじけさせたい気持ちを抑えてもこの儀式の大切さを優先する。もちろん応援席にいる人たちもそんなしきたりなどは当然理解している。

今年は昨年歴史に残る連敗を止めた東大の健闘によってさらに盛り上がる六大学であるが、ボクはこの六大学を支えてきたのは東大ではないかと思っている。東大が強くない理由などは誰にだって答えられるだろう。しかし、その東大を含めてお互いに敬意を持って試合に臨むという精神が六大学にはある。

目を覆いたくなるような大差試合でも、喜びを爆発させたい劇的な結末であろうとも、試合が終わると厳粛にエールの交換を行う。そう、今年の東大が早稲田や明治にサヨナラ負けを喫しても、さらには明治にサヨナラで勝利しても、まったく今までと変わらず試合が終われば喜びも悔しさもあらわさず粛々とエールの交換に入るのだ。

お願いします。ありがとうございました。

これは選手たちだけではない。応援席では大声で校歌を歌いエールの交換を行い、校旗が礼をする。それは試合の結果とはまったく関係がない。



ボクの父が3月に他界した。喪主となったボクは慌ただしく葬儀を取り仕切った。最後の父の出棺前、これで最後となる父の姿を目に焼き付けてボクは酒好きだった父のために体に日本酒をかけた。花を散らし好きだった本を入れそれぞれが最後の別れを惜しんだ。

そして最後に棺桶のふたが閉められる直前に母は「ありがとうございました」と頭を下げたのだ。その声は涙声ではあったが、しっかりとした声でもあった。

母が父と結婚するときに「お願いします」と言ったかどうかは知らない。だが、母にとって父との生活がゲームセットとなった瞬間だった。その時の言葉が・・・・・


高校野球ももちろん「お願いします」で始まり、「ありがとうございました」で終わる。だが、劇的な結末となった時は、膝から崩れ落ちて立ち上がれない選手もいる。逆に最後にヒーローとなった選手を中心にいつまでもはしゃいているケースもある。

気持ちはとてもわかる。だが、プロ野球にはない、そして高校野球にもない、六大学の毅然とした態度と母の言葉がダブって見えた。

一つの試合が終わった時、そこには悔いもあるだろう。自分以外への責任追及もあるはずだ。だが、その瞬間にありがとうございましたと言えるような生き方をしたいと思った。


明日は久しぶりに高校野球でも見に行こうかなと思う。木総も専松も負けてしまった混戦の春季千葉県大会でも・・・・・

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