伊勢物語は心にしみる歌が多いので紹介したいと思います。
伊勢物語は作者未詳。
9世紀末で後の源氏物語に影響を与えたといわれています。
主人公が、色好みの
在原業平(ありわらのなりひら)ではといわれています。
『梓弓(あづさゆみ)
引けど引かねど
昔より
心は君に
寄りにしものを』
ほかの男がわたしの心を引こうが引くまいが、昔からわたしの心はあなたに寄り添っていましたのに。
『梓弓(あづさゆみ)
ま弓槻弓(つきゆみ)
年を経て
わがせしがごと
うるはしみせよ』
長い間私があなたと仲むつまじく暮らしたように、今度の夫とも
むつまじく暮らしなさい。
『相(あひ)思はで
離(か)れぬる人を
とどめかね
わが身は今ぞ
消え果てぬめる』
私がこんなに思っているのに、私を思ってはくださらないで、離れて行ってしまった人を引きとめることができなくて、わが身は今、
消え果ててしまいそうです。
『あらたまの
年(とし)の三年(みとせ)を
待ちわびて
ただ今宵(こよい)こそ
新枕(にひまくら)すれ』
3年という長い間、あなたを待ちくたびれて、よりによって今夜、
ほかの人と初めて枕をかわすことになりました。
『老(お)いぬれば
さらぬ別れの
ありといへば
いよいよ見まく
ほしき君かな』
年をとると、どうしても避けられない別れ(死別)があるということだから、
ますます会いたい気持ちにかられるあなたですことよ。
どうでしょうか。
あなたが共感した和歌がありましたでしょうか。
歌う人も、
聞かされる人も
胸を打つと思いますね。
秋の夜に
古代を夢見て
いつの世も
同じ思い出
暮らしていくものだなあと
切なく感じています。
心に響くものが
あれば幸いです。
合掌
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