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2011年02月10日12:40

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【バレエ】マールイ(レニングラード国立バレエ)「白鳥の湖」(1月9日)

私のマールイ2010-11公演観覧は、
1月8日の「白鳥」(シェスタコワ&ルジマトフ)が最後でしたが、
お師匠さまは翌9日の「白鳥」にも足を運ばれており、
その感想が先日、ようやく届きました。(^o^)

読んでいると、行けば良かったと後悔。(uu;)
この年末、また来てくれるでしょうか。

ちなみに9日の主な配役は次のとおりです。

オデット/オディール:ペレン
ジークフリート:ルジマトフ
ロットバルト:シェミウノフ
トロワ:ステパノワ、ザパスニコワ、シヴァコフ

       *     *     *

★第1幕

濃厚〜。(←いろいろな意味で)

1幕2場が、とにかく濃厚。
シェミウノフくんのロットバルトが濃い! 大きい!
バッサバッサと大きく羽ばたいて、芝居も大きく濃い。
擬音や感嘆詞、感嘆符が多い感じ。
ジークフリートを見つけては「うぬっ?!」とか、
大きく羽ばたいて「ぬおぉっ!!」とか。(^o^)
書き文字が多い少年漫画みたい。
重心を落として観客に見えを切ったりするのが、歌舞伎っぽい。
ベジャールの「ザ・カブキ」とか似合いそうだ。(←これは後ほど。)

ルジさんは、7日のバジルより復調してる感じ。
ほんの少しなら軽く跳んで足を浮かしたりしてるし、小走りもしてる。
7日みたいな、摺り足で全てをこなしてる感じはしない。
2場の最後は、ジークが片膝ついてオデットが腿に乗る、あの振付もこなしてた。

オデットに出会う前から、ふとした時に何度も自分の世界に入ってしまっていて、
現実の世界(お城での生活)から魔術の世界(ロットバルトとオデットの世界)へ
容易に入ることが出来る鍵を持った(もしくはその扉を知っている)
キャラクターになってる。
二つの世界を自在に行き来してるので、展開に無理が無い。

オデットには初めから強い感情を抱いてしまい、
自分では制御できない力で惹かれていく。
オデット以外見えていないとは、まさにこのこと。
アダージョの途中に、
オデットの後ろから抱きかかえるような振付があるでしょう?
あれがね、本当は強く抱き締めたいのを自制して、
オデットをそっと大切に抱きかかえる感じ。
その葛藤と情熱が見てとれる。

ペレンさんのオデットは、ジュリエットやジゼルに比べると、
少し踊りにくそうに見えた。音楽がゆっくり過ぎるのかな。
踊りにくそうと言ってもあの容姿だから、
ポーズを決めた時のラインは非常に美しく、
観客もジークと共に見とれてしまう。

以前、無表情で踊っていたことが信じられないほど、
ジークフリートとの出会いから二人で踊るまでの間は、
大きな羽根を懸命に動かして必死に逃げる。
ルジ@ジークも必死に追うから、二人でかなりの大立ち回り。

シェミウノフ@ロットバルトは、
ルジ@ジークにも容赦なく威嚇して追い払ってた。(^o^)
マラーホフさんの家庭教師でさえ控えめに声をかけるほど、
威厳ある王のようなルジ王子なんだけど、
正しい悪役には関係ないよね。(^o^)

群舞は連日の公演にもかかわらず、足音は控えめ。
それぞれが伸びやかに踊っていて、キチッと揃う踊りではないけど、
しなりながらピタッと揃って止まりブレが無い。
あの機械的ではないトメが好き。(^^)

話が前後してしまうけど、
今日のトロワはステパノワさん、ザパスニコワさん、シヴァコフくん。
ステパノワさんは盤石、シヴァコフくんも昨年の「くるみ」より調子が良さそう。

昨年末の鎌倉では、いっぱいいっぱいで頑張ってたザパスニコワさんが、
ずいぶん良くなって演技する余裕が出てきた。
家庭教師からもらったお花を結構長いこと持っていて、
踊りながら上手近くの家庭教師の傍へ来て、
笑顔でマラーホフさんに渡すように投げる。

ちょうど胸元で受け取った家庭教師にすれば、
「投げられた」のではなく「もらった」になるので、
嬉しそうにちょっとときめいてる…という演技につながる。

これ、いいよね。(^^)
ポーンと花を投げてしまうと、
「投げた」のではなく「もらった花を捨てた」に見えてしまうから。

ルジさんジークは、乾杯していてもふと自分の世界に入ってしまうし、
グラスもすぐ置いてしまうし、
家庭教師がクルクルしてシヴァコフくんが受け止める時には、
傍にいないで下手側に移動してる。
プハチョフさんとはちょこちょこ違うことをしてたよ。

★第2幕

やっぱりラッパは一人。昨シーズンは二人だったよね?

1幕はジークフリートの物語という印象が強く、
2幕は? と思っていたら、やはり独自路線。

花嫁候補達が現れると、即座に反応して駆け寄る。
でも目当てのオデットが居ないので、すぐに興味を失い自分の世界へ。
花嫁候補達が踊っている間も席にじっとしていないで、
舞台中央に出てきて遠くを見つめたり、考え込んだり。
「あの人は来てくれるだろうか。」
1幕のアダージョの時に舞踏会に招待したんだね。

踊ってる人達より手前で演技して、ダンサー達が背景になってるこの演出は、
ジークフリートの物語として観ている人には違和感ないように見えるだろうけど、
普通に花嫁候補の踊りを堪能したい人には余計な感じに見えるだろうな。

オディールの登場で、ジークフリートは文字通りフリーズして釘付け。
オディールしか目に入らない状態で袖に消えていく。

スペインのオマールくんは、今日はオールバックにしていないので、
雰囲気が違う。ニキータくんに合わせたのかな。
(ニキータくんと言ってしまうのは、「クリギン」だとお父さんの印象が強くて。(^^;))

ナポリは相変わらずバックが豪華。
バックダンサーにマールイの職人芸ダンサーが投入されてるって、
反則技だよね。(^o^)

今日のハンガリーにはポドショーノフさん。
ヴェンシコフくんも華やかで良いけど、ポドショーノフさんのはまた格別。
柔らかい笑顔でふんわりと音楽にのって、緩急自在で滑らかな動き。
彼もまた職人だねぇ。観に来て良かったと幸せな気分になる。

マズルカも盤石で毎回堪能。(^^)

ペレンさんはオデットよりオディールが断然良い!
生き生きとしていて華やか、伸び伸びとした美しいラインの踊り、
本来の持ち味を存分に活かしてる。

彼女のオディールは悪女でも小悪魔でもなく、
ただひたすら魅力的な女性。
彼女が微笑むと男が勝手に堕ちる。
それをロットバルトが利用しているというタイプ。

シェミウノフくんとの息もバッチリ合ってる。
白鳥の幻影が見えた時に、戸惑うジーク、
「おのれ〜、こざかしい小娘め!」と憤りマントを翻すロットバルト、
オデットなんて問題外というように余裕で踊るオディール。
三者三様で面白い。

やっぱりペレン&シェミウノフ、
シェスタコワ&ツァルの組合せがしっくりくるね。
組合せが異なると、描き出す芝居の方向性が違うから、
舞台のおさまりがよくない気がする。
上手い下手ではなく、芝居の相性ってあるよね。
どちらの組合せもあった方が、観客は面白く楽しめる。

『ジゼル』の時にも言ったけど、
くっきりとした輪郭を描く踊りの美しさを堪能するならペレンさん、
踊りというツールを用いて表現するものを味わうならシェスタコワさんの舞台。

ペレンさん主演日の『ジゼル』は、お芝居を観に来たという気がするのに対し、
シェスタコワさん主演日の『ジゼル』は、
観客がタイムスリップしてジゼルの村で生活を垣間見てるような気になる。

『ジゼル』も現実離れした設定ではあるけれど、
森という神秘的現象の起こりうる場所を出て、
悪魔が自らお城へ乗り込む『白鳥』は更に上をいく非現実世界。

その現実離れした話を、
極力作り話ではない普遍的な人間ドラマにしようとしているのが、
シェスタコワ&ツァル組。
非現実的設定を思い切り使って、
御伽噺としての世界を作り上げているのがペレン&シェミウノフ組。
同じバレエ団の同じ演目なのにおもしろいなぁと、
舞台を楽しみながら漠然と二組の違いをそんな風に考えてた。

ジークフリートのヴァリは、
友人を祝福するかのようにベンノのシヴァコフくんが登場。
不幸中の幸いというか、マールイファンには美味しい演出。
ヴァリを綺麗に決めて拍手喝采。
ドン・キの時は、良い踊りだったのに、
拍手が貰えるタイミングがなくて気の毒だったから、
ここぞとばかりに拍手したよ。(^o^)

「祝福をありがとう。礼を言うよ。」
とシヴァコフくんを労ったルジさん、オディールのヴァリの前に、
「母上! 彼女がどんなに素晴らしい女性か、ご覧ください!!」
と、顔を輝かせて王妃にアピール。
浮き足立った気持ちを表現するヴァリを、他者に任せてしまったからね。
そのオディールがまた、王妃も納得の見事に素晴らしいヴァリを見せ、観客も魅了。

でも、オディールの魅力に浮かれたジークフリートの、
高揚感から一気に誓いへともっていくのに、
肝心のジークが踊らずに他人任せだと話が繋がらない。
どうするんだろうと思っていたら、コーダはルジさんが登場。
ドン・キの時より復調しているので、軽く跳んだりしながら舞台を小走り、
見事に高揚感を表現していた。ジーク、浮かれてるよ…。
さすが話を破綻させることはしない。お見事。

ここから一気にロットバルトがたたみかけ、
シェミウノフくんの独壇場。ノってるな〜。(^o^)

当然、ジークの誓いの後はオディールと共に高笑い。
この組ではこうでなくちゃ。(^o^)
日本語としてヘンなんだけど、
この二人の悪役の陽気な邪悪さがたまらない。(^o^;)

人間の嘆きや落胆が悪魔の糧、それ以外に用は無い、
とばかりに「仕事」を終えたらサッと姿を消すツァル&シェスタコワ組、
同じく人間の嘆きや落胆が糧、それを嘲笑するのが悪魔の醍醐味、
とするシェミウノフ&ペレン組。どちらもアリだよね〜。

マラーホフさんの家庭教師は、王子の幸せを心底願う人で、
花嫁候補を袖にするのを見てはハラハラオロオロ、
オディールとロットバルトの登場には不安げ、喜ぶジークを見ては、
「王子がこの様にお喜びなら、これで良いのかな。」と頷き、
オディールのヴァリには素直に感嘆、と心情が手にとるようにわかる。
名脇役だなぁ。来年も来てね。(^^)

ここの民族舞踊は皆ロットバルトの手先だから、ザーッといなくなるのもいい。
災いの元凶が突然現れて場をさらって嵐のように去り、
後に残された者の寂寥感が、ガランとした舞台に表されているようで。

招待客が皆居なくなるのは、
情勢が悪くなると手のひらを返すという現実的な現象ではあるのだけど、
あまりにも薄情過ぎて好みではないな。
しかも、マーフィー版みたいにそれを狙っての演出ならいいけど、
休憩無しの白鳥群舞早替えの為という舞台裏が透けて見えると、
なおさら興醒めする。

ちょっとしたことなんだけどね。
印象が大きく違う。やっぱり舞台の流れには、物語の必然性が欲しいな。
いろいろ事情があるのは重々承知だけれども。

★3幕

1幕で書き忘れた大きな白鳥は、
エリマコワさん、クテポワさん、カミロワさん、グルホワさん。
お馴染みの名前が並んでる。
エリマコワさんとクテポワさんは、今シーズン本当に伸びたよね〜。
全然違うタイプだけに来シーズンも楽しみ。(^^)

昨シーズンは、どうしたの? というくらい踊りが迷走していたカミロワさんも、
今シーズン持ち直したし、グルホワさんは地道に伸びてるし、なかなかの見応え。

3幕はミリツェワさん、クテポワさんとキャスト表にあったけど、
ミリツェワさんの踊りが何故だか記憶にない。(uu;)

連日公演が続く東京最終日、さすがにとても静かとはいかないけれど、
そのわりには足音がウルサイというほどでもない群舞。
まだまだ余力があるのかな、すごいな。

ここの3幕は白鳥達の踊りがたっぷり観られるし、
ロットバルトの見せ場もあるから見応えがあっていいね。

ロットバルトは舞台を所狭しと踊り白鳥達を蹴散らし、
罠にはまったジークフリートの顛末を、
情緒たっぷりに白鳥達に聞かせるオデット。
この物語の主人公は自分とばかりに、
悲劇的な雰囲気で駆け込んでくるジークフリート。

三者大熱演なのに、2幕ほどしっくりこないのは何故だろう。
悲劇的になればなるほどペレン&シェミウノフ組に対し、
ルジさんの芝居の方向性がちょっと違和感をもたらすのかもしれないな。
音楽が盛り上がってルジさんが独自の世界を作り出していけばいくほど、
微妙に三者がズレていくというか、
それぞれが力を入れることにより一体感が薄れていくような感じ。

ジークとオデットがそれぞれ白鳥達に囲まれて踊る振付も、
ズレている組はよくあるのだけど、
(あんなに仲睦まじい鎌倉公演も、微妙に合ってなかった)
嘆きに一体感がなく別々に嘆いているように見えるというか。
ジークフリートはオデットと共に生きられない嘆きよりも、
自分の過ちを嘆いているようで。

…これってジゼル(12/27)の時のアルブレヒト?
でもあの時よりは、ずっと愛情は感じるなぁ。
だから同じではないのだけど、上手く説明できない。

舞台が破綻しているわけではなく、
個人的な僅かな違和感程度なのだけど、
3幕の印象が薄くなった要因を考えていたら、
これくらいしか思い当たらない。(^^;)

あとは、ラストが変更されていた衝撃(違和感)が強くて、
記憶が飛んだのかも。(^o^;)

ロットバルトが舞台奥で盛大にもがきながらも、
他の版に比べたら地味にお城と共に倒れ、主役2人も水に沈んでいき、
嵐が去った後のような静かな凪と夜明けが、
白鳥達に穏やかさと自由を感じさせて終わるはずが、
突然中央奥から手を取り合ったオデットとジークフリートが舞台前に進み出てくる。

白鳥達はそのままだから、あの世というわけでもなさそうな、
かといって人間に戻って助かったという仕草も無く、そっと寄り添う2人。

鎌倉とも前日の公演とも違う、どう解釈したらよいのか迷う演出に、
驚いて戸惑っていたら終わってしまった。
これは普通にハッピーエンドと解釈すれば良かったのかな?

年末ジゼルのように、前日の白鳥と順番が逆だったら、
もっと満足感が高かったかなと思うけど、全体的には楽しめた公演だった。
当日券で観に行って良かった。(^^)
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