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2007年01月22日10:50

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【音楽】J.S.Bach: ゴル変@ラクリン・今井信子・マイスキー

去年の秋口に出た日本版に次いで年末ぎりぎりに出たユーロ盤の新譜からこれ。

http://www.amazon.co.jp/dp/B000HOJDGG

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
(ドミトリー・シトコヴェツキーによる弦楽三重奏編曲版)

ジュリアン・ラクリン(ヴァイオリン)
今井信子(ヴィオラ)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)

ソ連のヴァイオリン奏者であるドミトリー・シトコヴェツキーという人が、グールドのピアノによる衝撃の演奏、↓

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=157535075&owner_id=3696997

これにインスパイアされて編曲した弦楽トリオ版で、Vn、Va、Vcで織りなすグールドへのオマージュである。

巨匠マイスキーに売り出し中のジュリアン・ラクリン、渋い名手・今井信子という組み合わせは私に一発ジャケ買いさせるに十分な魅力があったw。ジャケに映る奏者達は何故か全員がヘッドフォンをかけて何かをモニターしている・・。

マイスキーは20年程前に編曲者自身とともに同曲を録音しているらしいが聴いたことはない。

元々はチェンバロというかクラヴィーア曲であるが、この二手の原曲が持つ旋律と和声を3つの典型的弦楽器にそれぞれ割り振った絶妙な編曲だ。

原曲では右手の分散和音、または左手の通奏低音の合間のトレモロで演奏される対位法表現を、VnとVaまたはVnとVcに完全独立分離させた編曲であり、クラヴィーア版原曲よりも対旋律が明確に描かれるのが特徴だ。但しVaの使い方は間歇的であって主力はVnとVcである。今井信子のVaは脇役ながら実に太く安定した輪奏を支えている。

曲想はグールドほど自由な飛翔はないものの、やはり現代的な抑揚に富んだ表現であり、強弱が付かないチェンバロによる原曲とはひと味もふた味も違う躍動感である。


(録音評)
レーベルはDG。2006年2月、ドレスデンでの録音とある。写真からすれば教会か学校の中規模講堂のような場所だ。トーンマイスターは知らない人w。

ウッディで響きの良いホールで収録されている。録音自体は何の変哲もないものであって、リアルに楽器が立つわけでもないし、強烈な美音でもない。まぁ、敢えて言うなら地味系の録音であって刺激は少ない。

しかし、よくよく聴き込むと三本の弦楽器をオーソドックスな狙い方で味のあるモノトーン調に捉えていて、これはこれで納得の一枚。左のラクリン、中央奥に陣取るマイスキー、右手の今井信子が定位良く座る。曲想と同じで割と地味な色彩感の録音であって、それも織り込み済みなのかも知れない。マイスキー・ファンは是非とも手許に置いておきたい佳作だ。
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