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2006年11月11日12:39

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【酒】ボジョレー・ヌーボー

来週は、ボジョレー・ヌーボーがいよいよ解禁となる。

初めて飲んだのは、まだブームになる前のこと。
当時は、知る人ぞ知る的存在で、
通っていた酒屋の店長さんが由来とともに薦めてくれ、
以来、季節ものとして毎年楽しんでいる。

「初物」「世界で最初に飲める」という付加価値の方が先行し、
空輸代金まで上乗せされているため、
日本ではそこそこの値段がついているが、
実はこのワイン、地元では1本300円程度の
「ガブ飲み」ワインなのだとか。

ぶどうの香りが高く、軽い酸味に渋味も少なく、
飲みやすいワインではあるが、
味の幅が狭く厚みもないので、
ワインを飲み慣れている人が使う表現、
「ぶどうジュースのようだ」というのは、けして褒め言葉ではない。

安酒・割高のイメージを嫌い、
今年、売る側は、原材料などの縛りが少しうるさい
「ヴィラージュ」級を前面に立てているが、
ボジョレー・ヌーボーは、普通の赤ワインと製法が違うので、
味が劇的に良くなるわけではなく、
下手すると割高感がさらに増すかもしれない。

ボジョレー・ヌーボーは、
普通の赤ワインの一番酒と思われているが、
実は造り方が少し違う。

一般的な赤ワインは、
収穫したぶどうから茎を取り除き、
実を軽く潰してから「開放型」タンクにいれ、
2週間ほどかけてアルコール発酵させる。
酵母の力を借りて、糖分をアルコールと二酸化炭素に
するわけだが、このとき、時折かき混ぜて、
二酸化炭素の放出を手伝ってやる。

アルコール発酵が十分に進んだら、皮や種を取り除くが、
この時の液体にはリンゴ酸が沢山含まれており、
種から出てきたタンニンも馴染んでおらず、
酸っぱいわ渋いわで、とても飲めたものではない。

そこで再びタンクで2ヶ月前後寝かせ、
皮にくっついていた乳酸菌に手伝ってもらい、
リンゴ酸を乳酸菌と二酸化炭素に変える(乳酸菌発酵)。

つまり、赤ワインがとりあえず飲めるようになるには、
収穫してから早くても3ヶ月は必要で、
実際は、その後タンクのまま、あるいは樽や瓶に移されて、
1〜3年熟成される。

一方、ボジョレー・ヌーボーは、
茎はとらず、房ごと潰さずに「密閉型」タンクにいれる。
天然酵母によりアルコール発酵が進むと、
タンク内部には二酸化炭素が充満するので、
アルコール発酵と同時に乳酸菌発酵も始まる。

リンゴ酸が減った頃合を見計らって皮と種を取り除き、
こんどは開放性の環境でアルコール発酵を続ける。
こうすると、わずか2ヶ月前後で飲めるようになるという。

仕込んでからの時間が短いから、
ぶどう果実の香りがまだ豊富に残り、
アルコール度数が低いうちに種を取り除いてしまうので、
タンニンが少なく、タンニンが少ないから、
長期熟成させずとも飲みやすいワインとなる。
9月頃ぶどうを収穫し、すぐに仕込めば、
ちょうど今頃、飲めるようになる、というわけだ。

ボジョレー・ヌーボーの造り方は、
現在のワインの造り方よりもシンプルで、
初期のワインは皆、こうして造られ、
その一番酒を収穫祭の飲み物としていたのだろう。

また造り方がシンプルゆえに、
ぶどうの良し悪しが酒質にダイレクトに反映されるらしく、
他の地区のワイン醸造者たちは、ボジョレー・ヌーボーを、
自分たちのワインの熟成後の出来を占う指標にしているという。

数年後の本格ワインに思いを馳せながら、
安い船便のボトル(ないし売れ残って値落ちした空輸瓶)
を気軽に味わうのが、
ボジョレー・ヌーボーの本来の楽しみ方のようだ。(^m^)
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