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2023年09月02日09:57

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コサークの反転攻勢・【第二幕・その5 形成作戦の更なる「進化」】

■地雷原突破の切り札■

南部戦線でもオレポポ(オリヒウ)が最大の攻撃軸のようで、当初はアメリカから「戦車キラー」と目されるM2ブラッドレー歩兵戦闘車、機動力では欧州最強と目されるドイツのレオパルト2などを供与され、一気に南下させたが、地雷原に阻まれ、機動性を失い、一敗地に塗れた。これまでの戦車軍団で押しつぶす、嘗てのソ連時代の戦術ではなく、戦車部隊が進みやすくする「形成作戦」に切り替えた。

地雷原を除去したり、ドローン、巡航ミサイルで後方拠点を攻撃ながら、サラミのようにロシアの占領地域を削っていく作戦である。ウクライナ軍がヘルソン、イジューム、ハルキウ攻略戦と比較し、進軍に時間が掛かっているように見えるのはこうした戦術の変化がある。

これに自国製の攻撃型のドローン軍団、アメリカから供与されたハイマースだけでなく、イギリスの巡航ミサイル・ストームシャドー、フランスから供与されたスカルプが有効に働いている。

更にここへ来てウクライナ軍はCNNによれば、地雷探知ドローンに熱探知カメラを搭載したものを夕暮れ時に盛んに飛ばしている事が明らかになった(注・写真)。ウクライナは我々日本人が思っている以上に夏は猛暑だ。冬は-15℃にもなるというのに、真夏は35℃にもなる。典型的な内陸性気候なので、熱の拡散が顕著な夕暮れ以降が有効のようだ。

南部戦線は3段階にロシアは防衛線を敷いている。配置されている兵員は1kmを100人で守るようなスタイルなので、受け持ちの面積は意外とだだっ広い。それでも防衛出来ていたのは偏に広大な地雷原があったからだが、ウクライナ軍に地雷原突破の切り札を作られてしまったからにはかなり厳しいだろう。

■烏ロ双方の精鋭が交戦するか■

ウクライナのハンナ・マリャル防衛次官(防衛副大臣)によれば、約4万人、11旅団をオレポポ(オリヒウ)-マリウポリ攻撃軸方面に追加で投入したとの事である。

中でも烏軍は精鋭の第82空中強襲旅団を投入。そのうち最も強固で厚いと見做されて来た、オレポポ(オリヒウ)南部、ロボティネを突破したもようだ。ここから南東に南部の要衝・トクマクがあり、その先にはメリトポリがある。

オレポポ(オリヒウ)、ロボティネ、トクマクの位置関係▼




更にここへ来てヘルソン州から別動隊がドニエプル川の渡河作戦を仕掛け、橋頭堡を拡大し始めている。ここからM14号線を東進、ノーバ・カホフカの要衝を陥落させることが出来れば別ルートでメリトポリに進める。

勿論ウクライナ軍はトクマクだけでなく、メリトポリにも執拗にドローン、巡航ミサイルで攻撃を加えている。

英国防省は8月に入って、ロシアの侵攻開始に制圧した最大面積の54%をウクライナが奪還したとの見解を示した。ロシア軍が再奪回できるほどの軍部隊を編成するのはほぼ不可能で、今後数カ月で大きく前進する可能性は低いと分析していた。

更にアメリカの戦争研究所(ISW)によれば、ロシアには予備兵力が殆どなく、戦線の交代の余裕がないとのことだ。という事はトクマク以南は防衛線は粗く、スカスカになっている可能性が大だ。

以前昨春のセベロドネツク攻防戦の際、ウクライナにとって経済的に重要なのは東部ではなく、南部のザポリージャ、ヘルソン(注・この時にはへルソンは占領されていた)であり、セベロドネツクに釘付けになっているロシア軍はウクライナの罠にハマったようなものだと書いた。

プーチン政権はプリゴジンの乱の最中、13万人もの兵力をドネツク方面に投じているが、ザポリージャの強固な戦線が崩壊間近という事で相当焦っているようだ。精鋭のロシア空挺軍76新鋭空挺師団から増派されるもようだ。FORBSに投稿されている
外交政策研究所のロブ・リー氏によると、満身創痍ぼろぼろのロシア軍だが、最も損害の少ない部隊だと述べた。ただ本来このような局面で精鋭を投じるものではないのに、投じて来るところにロシア軍の焦りが窺えてしまう。

ウクライナ軍の精鋭:第82空中強襲旅団
ロシア軍の精鋭:空挺軍76新鋭空挺師団

この両軍の精鋭の動きが南部戦線の帰趨を決めるかもしれない。

但し11月になれば、ウクライナの大地はぬかるんで来る。それまでにアゾフ海に達することが出来るだろうか。もし仮にそこまで達することが出来たとして、来年クリミア半島を奪回することが出来るだろうか。もし出来ないとすれば、例えばプーチン失脚といったサドンデスでも起きない限り、戦線は膠着する可能性が極めて高い。逆に再奪回した場合、プーチン大統領(2024年は選挙だから後継者かもしれないが)が戦術核を使用する可能性は否定できない。

昨年4月に発射実験に成功した、戦略核ミサイル・サルマトが配備されたという一報が届いている。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。

(続く)

写真 熱探知カメラを搭載したドローン(試作機)
ウクライナの最大航続距離1000kmのドローン・ビーバーと男性
ロシアの最新鋭戦略核ミサイル・サルマト
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