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2022年12月29日17:33

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ポタリストの記録・【2022年ラストラン・その3】

■魅惑のボールパイソン■

件のボールパイソンのブリーダーの方は武蔵野の川を流れの音が聞ける、閑静な住宅地に住んでいる。実は10月に訪れる予定ではあったのだが、ご一家がコロナ(オミクロン)に罹ってしまい、リスケせざるを得なかった。

以前訪れた時から1年以上経つが、ボールパイソン自体はベビーから成蛇になろうとしていた。

ボールパイソンの生態についても触れてみたい。

ボールパイソンは別名ボールニシキヘビと呼ばれ、怖がるとボールのように丸まる習性があるが、現在野生のものは市場には余り出回っておらず、養殖され、人慣れしている個体が多いため、驚いて丸くなるものは少ない。ニシキヘビと名前がついているので、さぞや大きくなるのでは、と思いがちだが、確かに日本にいるアオダイショウのようなナミヘビ科と異なり、でっぷりとした太さはあるものの、ご家庭で飼育した場合は体長1.5メートルがせいぜいである。オスよりもメスの方が大きくなり、値段も高い。勿論毒は無い。寿命は12〜25年。野生のものは寿命が短めだという。

我々日本人からすると、ヘビをペットとして飼うとは信じがたいと思うかもしれない。しかしながら、世界的にはボールパイソンはかなりポピュラーなペットスネークだ。人気の背景には

・エサ代が犬、猫より格段に安い・・・1匹の場合、1年目は15,000円/年、成蛇でも30,000円/年程度。
・エサの頻度が少ない・・・1週間、10日に一度、マウス一匹で十分な個体が殆ど。頻度はベビーも成蛇になってもほぼ同じ。
・鳴かない・・・性格はおっとりした、温厚な個体が多い。
・自発的に噛みつく個体は少ない・・・但し、噛まれないようにするには持ち方にはコツがある。
・多種多様な色柄・・・柄をモルフと呼ぶが、年々色、柄に多様性が出ている。ベビーであれば一匹数千円から買えるが、数百万円する個体も。
・ハンドリングさせてくれる・・・犬や猫のように散歩の必要は無いし、フェレットのように2時間〜4時間も運動に付き合う必要はない。が、ハンドリングは必須ではない。
・体臭は殆どない

といったところだろうか。気を付ける事といえば、温度と湿度管理ぐらい。日本の夏と冬はボールパイソンにとって、何も設備が無い場合は過酷だ。ボールパイソンの環境は28℃〜32℃と快適な気温の範囲は意外と狭い。

専用のヒーターが日本の気候の場合は必須だ。それでも電気代は年間で+3,000円程度に収まるかもしれない。忘れてはならないのが動きはもっさりしているが、ヘビには違いないので、脱走が上手い点である。

最近、ヘビの脱走のニュースが多いのが気になる。特に今後は電気代の上昇で飼えずに安易に手放す人が出てこないかと心配になる。幾ら大人しくて温厚なヘビといっても、野外で遭遇すれば、誰もが驚くだろう。

そのような懸念もあるが、初期費用だけで、それほど維持費が掛からないため、「ステイホーム」の時代という事もあって、日本でもじわじわと人気が出てきている。

ノーマルと呼ばれる原種はアフリカの中部南部原産で、暗褐色か濃い茶系である。ホームセンターで安く売られている個体はノーマルが多い。

彼女が飼っているボールパイソンはバナナ(バナナバンブルビー)というモルフで、バナナのように黄色い個体である(写真)。ノーマルの茶褐色の個体とは似ても似つかぬモルフだ。

ベビーからヤングに至る時にお邪魔し、ハンドリングもさせて頂いた。最初こそ「飛んできた」(飼い主はボールパイソンが飛び掛かって噛みつこうとする行為をこのような表現をする)。どうも本人は持ち方が気に入らなかったらしい。不安定な持ち方をボールパイソンは嫌う傾向がある。

噛まれたが、それほど痛くは無い。マチ針でチクンと刺す程度だ。

最初から食い殺してやろうと思って噛む訳ではない。言葉が使えないボールパイソンは噛むか、巻き付くか、シューシューと音を立てるか、ガラガラヘビのように尻尾の先をカリカリと鳴らすか、その程度しか表現方法がない。

そう思えば飛んでくるといった行為も精いっぱいの感情表現だと理解してあげなくてはならない。ボールパイソンはニシキヘビの一種だから、さぞや鋭く、頑丈な歯を持っているのだろうと想像しがちだ。しかし実際に牙というよりも、ヤスリのように細かい歯がついているだけである。そのような細い歯で噛みつく事は歯が折れ、餌を食べられなくなるリスクもボールパイソンにとっては当然ある訳で、好き好んでやっているのではない。

目の前にいるボールパイソンは大きくなり、環境にも慣れ、性格も丸くなって来たようだ。

二度目に訪れた際にはハンドリングの際、水を掬うように両手で持ったら、顎を乗せたり、大人しく私の腕も這ってくれた。餅のようにむっちりしている。

ボールパイソンには鼻の下にいくつもの細かい穴が開いている。これをピット官と云い、ピット官をセンサーのようにして、周囲の生物の熱、匂いを探知している。逆に視力はそれほど良くない。それで餌を触った手でハンドリングしようとすると、噛まれ、巻き付かれるといった事故が時々起きる。

★ヘビはどの種類も頭を覆うように持とうとすると、噛まれます。★

このピット官の前に手や指を置くことは避けた方が良い。荒い個体だと飛び掛かって来る。怒りモードの時は猶更だ。筋肉がかちかち、クビをS字にし、カタパルトのように斜め上を向ける。動けばボールパイソンも顔をS字にしたまま、こちらを向けて来る場合は結構「本気」である。まさにロックオン状態。ピット官の線上に手を置こうものならば、まさに「射程範囲」である。

なお、アオダイショウ、シマヘビ、二ホンマムシやポールパイソンと並んでペットスネークとして最近日本でも人気のある、コーンスネーク、セイブシシバナヘビ、カリフォルニアキングスネークにはこのピット官はない。しかし沖縄にいるハブやコブラ科のヘビたちにはこれがある。

ボールパイソンの場合は動きがもっさりとしている為、ハンドリングはしやすいヘビと云えるかもしれない。彼女は飼っているボールパイソンをハンドリングさせてくれた。水を掬うように、両手で手早く持ち、面で支え、行く方向に腕を這わせたが、もう飛んでくる事はなかった。早くも1.5kgぐらいとずっしり、むっちりとしてきて、迫力すら感じる。それでいて、丸い目と団子鼻、ぺろぺろと舌を出すところはニシキヘビなのにどこか愛嬌がある。

これから飼おうと思っている方は成蛇の大きさを一度見ておく必要があるかもしれない。但し1年ちょっとでこれほどの体重になるのは発育が良い方である。通常、ボールパイソンは「拒食」と言い、食べない時期があるのに対し、このバナナバンブルビーは拒食が無かったという。

ハンドリングなどをしていると、ついつい飼ってみたくもなる。しかし日本の真夏と真冬の環境は厳しいと述べたが、自分の部屋はそれに輪をかけて、夏は暑すぎて、冬は寒すぎる。

オファーは今まで数回あったが、ヘビの環境を考え、遠慮した。矢張り最後まで面倒を看るのは飼い主の最低限度の責任だからだ。

彼女はボールパイソンの環境をビバリウムのようにしたいのだという。実はボールパイソンのベビーサイズを飼ったばかりの人は飼育ゲージ、ダイソーあたりで売っているシューズボックスを流用している事が多い。このボールパイソンのベビーもそうだったが、矢張り自然に近い環境を演出し、そこで飼った方がヘビも幸せなのではないかという。

確かにそうかもしれない。

私も先程の理由から飼わないと述べたが、もう一つには収納ボックスのような入れ物で、ペットシーツを敷かれた場所で飼われてヘビ自身が果たして幸せなのかどうか、考えたものである。

ペットスネークのいる生活は犬や猫ともフェレットやうさぎのいる生活とはまた異なった、独特のように思えた。矢張り哺乳類と爬虫類の違いだろうか。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。次回は復路とメンテになります。

(続く)
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