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2021年04月27日03:25

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ゴダールの映画を“分からない”と言うと軽蔑されるから、みんなこの映画を褒めた? ジャン・リュック・ゴダール監督「軽蔑」(1963)。

主演が“世界のB・B”ブリジット・バルドーで、彼女のヌード姿がシネマスコープの大画面に鮮やかなテクニカラーで映し出されます。映画女優が“セックス・シンボル”として映画を彩った見本であり、映画史に残るヒット作となりました。それ以上の“理屈”がなぜ必要でしょうか。僕には全く必要ありません。これで足りないと思う人間は、カミーユに軽蔑されて逃げられてしまえ(僕のことです=笑)。

イタリアとフランスの合作で、製作者としてカルロ・ポンティとジョルジュ・ボールガールがクレジットされています。ゴダール作品では「女は女である」と「カラビニエ」もこのコンビによる制作で、ジャン・ピエール・メルビルの「モラン神父」と「いぬ」もそうでした。そしてノンクレジットですが、ジョセフ・E・レビンが資金を提供しています。例のマーシャル・プランで米国に持ち帰れない資金の運用というやつ。

そのジョセフ・E・レビンは、1956年に「ゴジラ」を買い付けてアメリカで商売し、さらにイタリア映画界に興味を持ち、スペクタクル史劇(それほどスペクタクルじゃないけどね)で財を成したようです。僕もスティーブ・リーブスの「ヘラクレスの逆襲」(1959)を喜んで見に行きました。←輸入したのは大映でしたか。つまりジョセフ・E・レビンは、アメリカの永田雅一ということでんな。

でレビンは、この映画の売りは“シネマスコープ画面に映し出されるB・Bの裸だ”と見抜いたわけです。僕がその“売り”に乗せられたのは当然で、同じ思いの数多くの映画ファンが劇場に駆けつけ、この映画はゴダール作品の中で最大のヒットとなったようです。

しかし僕は今回また、ユニバーサルたら言う会社から発売した“手ひどい日本語字幕のDVD”を見てしまいました。わざわざ2枚組のケースに入れ替えてあり、NHKで放送した柴田香代子さんの字幕による録画DVDも一緒に収納していたのに、その意味を忘れて粗悪な字幕版を再見するとはなんたる失態。ボケもこうなると始末に終えません。

しかしテクニカラー&シネマスコープの画質はDVDレベルですが最高です。これを4Kで再見できたら、と切に願います。何?ゴダールの映画は難解だ? あんたねぇ、見るべき部分を間違ごうてまっせ。何を理屈こね回してまんねん? 理屈は日頃からこね回し慣れている人間に任せなさい(僕みたいなヤツのこと)。黙ってB・Bのお姿を拝んでたらええんとちゃうのん?

とはいえ映像の魅力とか発色の良さとか、もっと言えばヌードの美しさというようなものを、言葉で表すことは難しいですね(いや、単に見たらええねん)。つまりゴダールの映画が難解なのは、見ている人間が言葉足らずなだけなんです。みんな南海やいうてからに、阪神阪急になっとる(半信半疑の誤植)。はい自身の下劣な欲望に正直になりましょうね。そしたら、その欲望は神のみ心で昇華され芸術に変身します。

てなわけで、“ゴダールの芸術映画”という言い訳は、高校生になりたての好奇心旺盛な僕を大いに楽しませてくれたのでした。僕は今なお、当時の感触を反芻することで、この映画を楽しむことができます。しかし粗悪な日本語字幕はそれを阻害する。ゴダールなら“疎外”というテーマを語れるけど、字幕の不出来による“阻害”は、単なる欠陥品でっせ。金返せ!
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