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2019年09月30日03:52

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こうなると「白蛇伝」(1958)を見直す気力は、しばらく起こらないかも。藪下泰司監督「少年猿飛佐助」(1959)。

東映では、初期の長編アニメをリストアして自社チャンネルで放送しています。先日「白蛇伝」があり、続いて「太陽の王子 ホルスの大冒険」がありました。後者は未見だったので、この機会に見ましたが、「白蛇伝」は公開当時(小学五年生でした)に見ていて、再見するのが怖いため手を出していません。そしたら長編第二作の「少年猿飛佐助」を放送しました。

物語は、壇一雄の新聞小説を基にしているようですが僕は読んだことがありません。アニメの前に東映では、三部作として劇映画を作っているらしいことも分かりました。河野寿一監督で、「少年猿飛佐助」「少年猿飛佐助 天空の白馬」「少年猿飛佐助 牢獄の姫君」の3作。1958年2月5日から3週連続で公開しています。「少年猿飛佐助」が69分で、あと2本は50分ちょいの上映時間。←3本合わせて3時間に少し足りません。

僕は東映チャンバラ映画を見に行くことがなかったので、残念ながら実写版については何も知りません。しかしアニメ版の「少年猿飛佐助」は見に行きました。1959年12月25日公開となっていますね。年末に見たのか年が明けてからかの記憶もありません。しかし奈良東映で見たことだけは確かです。←「風小僧」のテレビ用フィルムを再編集したブローアップ版との併映だったかも。

今見直すと、東映チャンバラ映画の定番という物語で、いろいろアニメとしての見せ場を作っているのですが、やはり食い足りませんね。なにしろ今ごろ「ホルスの大冒険」を見て満足できんと言ってる僕ですから。「白蛇伝」が1958年10月22日公開で、横山隆一の「ひょうたんすずめ」が1959年2月に東宝系で公開だったようです。これも見ているはずですがほとんど記憶にありません。

つまり僕にとって、長編漫画映画と言うとやはりディズニーであり、66分版だったけどポール・グリモーの「やぶにらみの暴君」があったわけです。たとえて言うなら、レストランでフルコースを食べつけた人間に、街の洋食屋で食事しろと言うようなものです。今ならB級グルメを味わう気持ちの余裕がありますが、当時の僕にはそれはありませんでした。三流国日本に暮らす少年には、もっと“ええもん”が必要だったのです。

「少年猿飛佐助」の何が不満かと言うと、冒頭の動物たちとの遊び風景がそもそも楽しくない。というか、“子供相手だからこんなもんでええだろ”という、手抜き感が僕には感じられる。それと比べたら「ホルスの大冒険」には、その手抜き感というか常とう手段はかなり少なくなっていました。そして「風の谷のナウシカ」では、そんな“ジャパニメーションの常識”を上回る“思想”(腐海のことです)が感じられました。

とりあえず猿飛佐助ですから、真田幸村が出てきます。そしてチャンバラ場面もある。ところが忍術を使うと空を飛べるんです! そんな展開を子供心に対して納得させる力技もあるわけなく、どないせぇっちゅうんや? こちらはテックス・エイヴェリーやウォード・キンボールに喝采を送ってますねん。大谷翔平を見せられて藤浪晋太郎で我慢できるはずがありません(2019年の実情です。他意はありません)。

ということで、今後も東映動画の長編アニメを録画していくつもりですが、「白蛇伝」に手を出すのは怖すぎます。“作品は不滅”ですが、記憶は風化し、判断する僕自身は進化していますからね。永遠の13歳である僕も、13歳なりに進化しているのですわ。

ところで某チャンネルで新作に対し“世界初の〈アニメ×時代劇〉”というキャッチコピーを見かけたのですが、この関係者は「少年猿飛佐助」のことを忘れとんのかい?
また写真1に“日本最初の総天然色大型映画”とありますが、“日本最初の”は“大型映画”にだけかかる形容詞です。要するに東映スコープやというだけのこと。
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