mixiユーザー(id:6327611)

2019年09月14日05:38

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またしてもimdbの得点に騙されてしまいました。サケート・チョーダリー監督「ヒンディー・ミディアム」(2017)。

そもそも僕は、いわゆる“マサラ・ムービー”を面白いと思ったことがありません。もちろんサタジット・ライやミーラー・ナーイルの映画はその範疇には入れませんよ。ラジニ・カーントとかいうスーパースターの映画とか、「きっと、うまくいく」という題名なのに全くうまくない映画のことです。でも、インド系の女性の端正な顔立ちには惹かれるものがあり、「マダム・イン・ニューヨーク」などは結構楽しみました。

で今回は、“英語が話せないなんて!”という惹句にコロリと参ってしまったわけです。そしてimdbの得点が7.8と高い。ほとんど海外(アメリカから見て)の人間からの投票ですが、それが示す曲線が正常分布曲線に思えたわけです(10点は無視して8点を中心にした部分に着目)。すでに「マダム・イン・ニューヨーク」を見ているので、“インド系美人女優に、また騙されてみるか”(後藤さん、無断借用御免)という気分になったしだい。

ところがどっこい、imdbの投票者たちのうち“Top 1000 Voters(つまり一般的にいいとされる映画を投票している人たち、だと理解します)”の平均点は5.9。僕なら手を出すべきではない得点でした。またこの数字が50人程度だという部分にも着目するべきでした。←要するに、インド国内でのみ評価されているということです。

インドの国内では、今なおカースト制度というものが存在するようです。その事実について僕はあんまり知りません。しかし、ドキュメンタリーや西欧映画に描かれたインドというものから、かなりシリアスな問題だとは認識しています。だからこそ、この映画のような“甘い”切り口では我慢できません。

まず、インドでのお受験戦争が僕の興味の範疇外でした。娘のお受験戦争に奔走する両親(イルファン・カーンとサバー・カマル)のぐだぐだが退屈だし、貧民街に住んでいることにして入学枠を得ようとするあたりの貧民たちとのいざこざがつまらない。そして、そのいざこざが簡単に親切な人が登場して解決するあたり、バカバカしいだけでした。もっとサバー・カマルの魅力を前面に出さんかい!(これじゃ論点がズレるなぁ)

イルファン・カーンは「その名にちなんで」でおなじみです。だから僕としては肩入れしやすい。なのにこのザマはなんじゃい。そもそも自分たちが“娘を名門私立校へ”という発想で周囲を巻き込んでいながら、金で物事を解決した上に責任を有名校の校長に押しつけて解決してしまう。自身の責任を他人にすり替えるな、と思いました。

そんな亭主の理不尽なえーかっこしい振りにも、黙って従う妻はありがたいと思うけど、そんな物語で“いい映画だ”と思うわけには、世界一わがままな映画ファンの一人である僕はいかんで。これがインド大衆に受けている限り、カースト制度解消は当分無理ですわ。←ま、先進国(G20とかいうものの対象国を言ってます)において、社会正義というものが闇に葬られようとしている今、インド映画にそれを求めたらこの程度なのかも。

貧民街に住んでみて、ネズミが出てきて大騒ぎになる場面で、幼い娘が“ジェリーに会いたい!”と叫ぶ部分がいちばんの“名場面”でした。やはり僕はマサラ・ムービーとは相いれないな。でも、またきっと女優さんの顔に魅かれて見てしまうんだろうな。てなかんじで、永遠の13歳児でエクストリームな映画ファンを目指す僕は、結局ボーっと生きていくのでした。
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