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2019年09月04日01:15

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加藤泉

2020年12月で閉館することが決まっている原美術館。

そのためか、原美にしては珍しく建物も作品もほとんどが写真撮り放題です。




加藤泉〜LIKE A ROLLING SNOWBALL

@原美術館




群馬県の姉妹館・ハラミュージアムアークでも

加藤泉展を同時開催しています。

そちらでは初期作品をはじめとする100点がみられます。

品川では最新作69点。




学芸員さんのガイドツアーに参加しました。




10年前、日独新進アーティストのアートスコープ展をした際に

出品された作品が現在のミュージアムアーク収蔵品となったのです。

今回は立体作品も多いのですが、加藤さんのスタートは油彩。

「描くときは全裸」だそうで。

学芸員さんはアトリエに行かれたこともあるそうですが

制作風景をご覧になったことはないとのこと。

また現在はアクリルを使われています。




最新ドローイングの特徴は、まず画面が上下に分割されていること。
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そして布や皮を使った作品があること。
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(布作品を裏側からみるとこんな感じです。こんな種明かしも楽しい)

男性向け手芸の本をみつけて、面白そう!とはじめたらはまった。

そして、中国で展覧会をした際に、あまりに巨大なスペースだったため

苦肉の策で、彫刻に比べて制作に時間がかからない布で作品をつくられました。

今回の彫刻ではひとの手が皮になっているものもあります。

パーツに分かれていることが画面の分割を思わせます。

階段の途中に吊られている布作品は、平らな布でできていながら

壁から浮き、ドレープもよって半立体になっています。
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新しい展開でしょうか。




展覧会のタイトルについては、作者のこのような言葉が掲げられています。


LIKE A ROLLING SNOWBALL

人生は転がる雪球のようだ。

雪はもちろん、雪の下の土や、葉っぱや、ゴミ、

すべてをひっくるめて回転していく。

汚れたり、割れたり、いびつな形になっても、

遠くから見ればキレイな白い球体だ。

そして最後は溶けて、水になり、土にかえる。

たぶん、僕は今後もアーティストとして生きていく。

すべてをひっくるめて回転していくのだ。

                加藤泉




ギャラリー2にあったこの作品は父母子の3体が

並び、それぞれ頭の上には、アンテナのように、ソフトビニール(ソフビ)の人形を戴いています。
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それは作品の増殖を意味するようでもあり。

さらに手?を固定する石には顔の版画を貼り付けています。

石にびっくりするのは2階のギャラリー3。
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沢山並んだ石はいろいろな表情をみせますが、実は貼っている版画は

3種類くらい。

それが石の形で様々にみえるのです。

少しずつ違うのは立体も同じです。




また、加藤さんは彫刻素材としてクスノキを使っています。

ホオなどに比べて軟らかい。

今回も新作ですので会場に運び込んだときはいい香りだったそうです。

さらに、枯らすことなく水分を含んだ状態で使用するため、

乾燥するに従って割れたり接合部に隙間ができたりします。

それもよしとしているわけで、逆にいうと、いつ作品が完成したのかわからない。

いつまでも未完成だともいえるでしょう。




2階のギャラリー4の作品たちは可愛らしいものが多い。
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布作品はどれも男女ペアになっています。

この子だけはペアのお相手が1階玄関に。
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2階のギャラリー5の立体作品たちは1つずつ木枠のガラスケースに

入っています。
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(これは廊下にあった同様のもの)

これが普通では考えられないような華奢なつくり。

ケースも加藤さんが特注されたもので、ケースを含めて作品です。

ただしとても衝撃に弱いので、このギャラリーでは撮影が禁止でした。

そのほか常設の、奈良美智さんの部屋や宮島達男さん、ジャン・ピエール・レイノー、

などの作品も撮影禁止でした。




閉館がらみか、学芸員さんからは建物についてのお話もありました。

この建物は原家の旧宅ですが、竣工は1938年です。

1階の半円形に突出した部屋は「サンルーム」とよばれますが

もとは朝食をとるスペースでした。
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(窓の外、樹の根元にも作品が挟まれているのが見えます)

そしてそのころは遠く海が見えたのだそうです。

御殿山、とよばれる高台でしたからね。

戦後は占領軍に接収され、のちに返還されてからも住宅としては

使われず、一時は廃屋同然になっていたそうです。

20年前にガイドの学芸員さんが就職されたころは親御さんが嘆かれた

ほどの荒れた状態だったとか。

私は気に入っていたんですけれどね、と笑っていらっしゃいました。

2階の撮影禁止の部屋からは窓の外に大きな紅葉と銀杏が枝を広げています。

12月初旬にはそれは美しいので是非そのころにまたおいでください

とのことでした。




2020年1月13日まで。

http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/


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