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2018年07月14日00:05

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カモメの水兵さん



カモメの水兵さん、、という歌がある。 子供のころ歌った記憶があるが小学校の低学年までのことで大きくなってからは歌った記憶はない。 だから1950年代のころだ。 歌詞は覚えていないものの、並んだ水兵さん、白い帽子、白いシャツ、白い服、というところがその語呂とリズムで頭の中に染みついている。 何時頃作られたのか知らないけれど軍国主義的な匂いを他愛ないものとして子供に刷り込ませるような意図のもとに歌わせられたのではないかと邪推できなくもないけれどカモメがそんなに他愛なく誰かの指令を待つものなのかとも疑わしいとも思えるような鳥だとこの頃思うようになった。

町に青空マーケットが立つと天気が良ければでかけてぶらぶらする。 今の時期、新鰊が出ているのでその場で捌いてもらい生のぶつ切りに玉葱のみじん切りを乗せて酢漬けの小さな瓜で喰う。 その時にオランダのオールド・ジンであるアウデ・ジェネーヴァがあれば言うことがない。 魚屋の屋台を抜けて小さな太鼓橋の上で下を通り抜けるボートを眺めながら喰うのだがその時に用心していなければ自分の生魚をさらわれる。 現に先週も若者が面白半分にシッポを摘まんで普通より少し上に生鰊を持ちあげて下から齧り付こうとした途端にそれをカモメの水兵さんに攫われたのを目撃している。

自分が普通にこのように太鼓橋の頂上で喰っていてもそれを取りにくることはない。 それほどこの水兵さんはバカではない。 このまちライデンのカモメはニュースになるほど蔓延って辺りを荒らしている。 動物保護の条例・規制があるから当局も無茶なことはやらないがそれも程度の問題で、子供に害が及んだとか物取りの度合い頻度が増してくると市も何らかの措置を講じなければいけな来るなるのだろう。 それを知ってか知らずか敵も賢いものだ。 市はこの何年かで各所に置いてあるゴミ箱の口をカモメが入れないようにしているし特に生ものを扱う青空市のゴミ置き場とその処理をこまめに行っているから地上に降りて来るのは市場が去って掃除が終わり人がいなくなってからのことで、その時はそこには啄むものもなくただノコノコ歩き回っている姿が見えるだけだ。

たまにそんなそばを通り過ぎるとカモメの大きさに驚くことがある。 40、50cmぐらいのものが普通で翼を広げたら1mに届くかというほどもあるだろうか。 そういうのが別段こちらを恐れる風でもなく歩いてみるのは気持ちがいいものではない。 話を鰊を狙うカモメにもどせば太鼓橋の上から眺め渡せば青物屋や魚屋の屋根の上には大抵2,3羽のカモメがこちらを伺っていて川沿いに何羽かが飛んでいるのが見える。 つまりこちらに隙があれば素早く襲いかかって来るということだ。 それは食い物をめがけてのことで人を襲うという事はない。 けれど気持ちのいいものではない。 これはカモメの水兵さんというような牧歌的なものではなくアナキストのゲリラなのだ。 屋根にとまっているその姿を見れば一瞬ヒッチコックの映画「鳥」を思い出す。 あの映画ではわからないうちに烏のような黒い鳥が人を襲いわからないうちに普通に戻るというようなよくできたスリラーなのだがこのカモメもいつなんどきそんな行動を起こすのかわからないような面構えをしていて、とてもカモメの水兵さん、と歌っていられるようなふやけた場合ではないのだ。
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