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2017年04月21日17:31

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ジグザグ路線の悪癖が戻って来たのか

■日産スカイラインが「還暦」 販売は最盛期の40分の1
(朝日新聞デジタル - 04月21日 10:12)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4538192

 カルロス・ゴーン氏のオペレーションの傘下に入る以前のスカイラインはまるでジグザグ路線の典型だった。或る時は物凄いスポーツカーになったと思えば、アッパーミドルなファミリーセダンになったりと。もしトヨタにマークIIがいなかったら、それでもそれなりの成功は収めただろうが、このポジションにマークIIがいる。ライバルは厳然と存在するのだ。結局このジグザグ路線では勝利することは出来ず、マークIIの後塵を拝した。そのマークIIも9代で消滅し、車名も変わってしまった。スカイライン低迷の原因は明白で、トヨタ・マークIIが一見走りとは全く関係ない快適装備を盛り込んでユーザーの欲しいものを具現化したのに対し、スカイラインは新しい自動車の可能性を走りを通じて提供した。トヨタはユーザーの良いと思うものを提供したからに過ぎない。クルマを通じてユーザーに何かを伝えようというスカイラインのような高邁な思想はそこには無い。この徹底的な戦略の前にスカイラインは敗れ去っただけのことである。

 ゴーン氏のオペレーションの傘下に入り、水野和敏氏らの手でスカイラインは平成13(2001)年にそれまでのストレート6からV6エンジンに替えられて、一新。この時、サイズもやや小ぶりになっている。車幅も1750mmに抑えられ、プライスラインも上がり、目標販売台数も下げたが、最早マークIIの後追いをする積りはせず、新しい自動車の可能性を走りを通じて提供するという姿勢には変化は無かった。V35スカイラインとマークIIの9代目を比較したら、快適装備では相変わらずマークIIが優勢だったが、走りではスカイラインが優ってきた。

 ならば走りのプレムアムセダンで行くのだな、と思い、当時は感心させられた。ましてやゴーン氏は悩んだ末、ローレルを消してスカイラインを残したのだから、そうなのだろうと。勿論、現行型も日産の先進技術は惜しみも無く投入されている。スカイラインの新しい自動車の可能性を走りを通じて提供するという姿勢は健在。

 しかしながら現行型ではどうも日産のお偉いさんの話を訊くと、V35時代のような強烈な思い入れを持っている人は少ないのを感じてしまう。例えば海外向けに発表されているインフィニティQ60はスカイラインがベースのクーペで、新開発のV6・3Lのターボで400馬力を誇るが、日本に投入予定は全く無いらしい。スカイラインほどのクルマならば、この400馬力のクルマだけでも良いくらいなのだが。

 これがマーチ(マイクラ)ならばエントリーモデルだからまあ仕方が無いかもしれない。コンパクトカーは薄利だから台数が出ないと儲からない。しかし一台500万円以上するクルマが、台数が出ないのだから、投入しなくても良い、では上位のラインナップを減らせ、というのであれば、スカイラインの存在意義はもう無いのではないか。

 そこへ来て今回の記事である。
 
 記事を読むと若者たちを再び振り向かせたいと書かれている。しかし価格帯を見ればもう台数がそんなに出るクルマではない(価格・414万円〜606万円)。今の日本の若い人は社会人になってから50歳までに購入するクルマの本体価格の総合計金額は地方でクルマが無いと不便、という人ですら、500万円〜600万円が標準だろう。日本の道は5ナンバーサイズ幅(車幅1700mm以下)で作られた道が多数あるため、今のスカイラインの車幅(1820mm)では少々億劫なサイズだ。これ一台で全て賄える人はそう多く無いはずだ。

 セドリックもグロリアも無くなり、GT−Rのようなスーパーカーを除けば実質フラッグシップ的な存在の地位に登りつめたスカイラインが60年を迎えたこと自体は心ときめく。しかし日産がプレミアムセダンという存在を提案しつつも、目先の金勘定と台数を望み、このようなジグザグ路線的な扱いをしていれば早晩スカイラインは無くなるかもしれない。


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