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2016年11月07日04:58

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京都の若冲

若冲の「根っこ」をさぐる展覧会です。

生誕300年
若冲の京都 KYOTOの若冲
@京都市美術館

今春記録的な入場者数だった東京都美術館とは
違う切り口の展覧会でした。

出品123点(全会期あわせて)のうちカラーの作品は24点のみ。
あとは墨画です。

さらに美術館・寺院など所蔵が明示されている作品は44点、
残り79点は個人蔵でしょうか。

もともと関西では若冲はちらほらとみる機会のあるものであり
それが墨画作品であることも多いのです。
若冲としても絹本彩色の大作ばかり描いていたのではないということでしょうか。

この展覧会には前述した通り展示替えがあり、有名作品では
11/8から
・象と鯨図屏風(ミホ)
11/15から
・石燈籠図屏風(京博)
・石峰寺図(京博)
・果蔬涅槃図(京博)
・百犬図(個人蔵)
11/22から
・樹花鳥獣図屏風(静岡県美)
などが展示されます。
では今日までの前期の目玉は何だったのかというと…

・糸瓜群虫図(細見美術館)
フォト


がその一つでしょうか。

大きな作品も見たくなって足を伸ばしました。

伊藤若冲展
@相国寺承天閣美術館

こちらでは若冲による鹿苑寺(金閣)大書院の旧障壁画50面が見られます。
この《竹図襖絵》が好きなんですよね。写実というよりグラフィカルで。
フォト



《動植綵絵》も、コロタイプ印刷複製品ではありますが
実際に相国寺で観音懺法(かんのんせんぽう)が
勤められるときの荘厳そのままに展示されていました。
ほか、動植綵絵が相国寺から皇室に献納されたときの宮内庁の受けとり状?も。


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鑑賞後にみやこめっせで若冲についてのレクチャーを聴きました。
講師は美術ライターの佐藤晃子さん。

特に興味深かったのは「ますめがき」作品を巡る美術史家の昨今の論争です。
「升目描き」というのはモザイクのように細かい□によって画面が構成された作品で
・白象群獣図(個人蔵、以下便宜上"白象"と記す)
・樹花鳥獣図屏風(静岡県立美術館、以下"静岡本")
・鳥獣花樹図屏風(プライスコレクション、以下"プライス本")
の3つがあります。

フォト

▲左"白象" 右上"静岡本 "右下"プライス本"

このうち"白象"は若冲筆として異論のない作品。
2重のモザイクのうち内側のモザイクが揃って左上に寄せて描かれています。
論争になっているのは他の2点。
東大の佐藤康宏教授は、若冲ブームの火付け役となった"プライス本"に対して「模倣作」、"静岡本"は若冲下絵の工房作だと主張されています。
それに対して文化功労者の辻 惟雄さんや学習院大の小林忠教授は"プライス本"に若冲の関与を認めています。
作品そのものをどう評価するかではなくあくまで若冲関与の有無の問題。
プライスさんは自宅のバスルームにタイルで再現してしまうくらい
お持ちの《鳥獣花樹図屏風》がお好きなので自信をお持ちでしょうね。
それぞれがどんなポイントから主張されているのか詳しくうかがいましたので
これは22日からの後期展示で"静岡本"を見てこなければ、という気持ちになりました 。

12月4日まで。
http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/kmma/exhibition/2016_7_fiscal_Jakuchu.html

http://www.shokoku-ji.jp/j_now.html
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