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2016年10月18日23:33

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今の非婚化は所得問題

■若者の恋愛離れ対策に「お見合い復権」ってどうなの? 恋人いない男性7割という状況を変えられるか
(キャリコネ - 10月18日 19:40)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=210&from=diary&id=4247734


 こういう記事を見ると、さも「モテない男」と「結婚したがらない女」という女尊男卑のお決まりの論調がネットを踊る。

 まあ、どうせそう書くことで多くの人が見るのだろう、きっと。

 しかし、それが真実を衝いているかどうかは別問題である。

 とりあえず以下の数字をご覧頂きたい(▲はマイナスを示す)。

 
 【20年間、先進国で貧しくなり続けた国・日本】

 
 日本・・・▲12%。
 
 アメリカ・・・211%
 
 イギリス・・・231%
 
 フランス・・・251%
 
 ドイツ・・・209%

 (出所:内閣府、総理府、IMFなど)

 一体何の数字だ、と思われたかもしれない。実は1990年と2010年の家計所得の対比である。日本は既に試算したところでは▲21%と絶賛下落記録更新中だが、他の国のデータが出揃っていないので、2010年に合わせた。

 日本人は20年間も貧乏になり続けた。特に全ての年収の層で貧乏になっている。日本の消費者を3つのセグメントに分けてみてみよう。

 
 1夫婦、子持ち、住宅ローン
 
 
 今では夫婦共働きが普通になってきているが、夫婦そろって所得が減っているというのに、ローンは減らず、教育費は横ばい。そのせいで、このセグメントは教育費に収入の実に5割をつぎ込む人達も少なくない。ちなみにバブル経済の時代は20%だったことを思えば、いかに苦しくなったか分かろうというものだ。これではとても消費したいという気持ちにはなれないだろう。彼らの中で裕福な暮らしを出来ているのは、親が富裕だからという場合が殆どである。これで経済的に自立していると言えるのか、まともな経済観念の持ち主であれば甚だ疑問に思うだろうが、既婚者の根拠のない強がりとして(実態は「逃げ得世代」の親達にタカっているに過ぎない者が大半なのだが)、「勝ち組」と思いこむしか手が無いのである。


 2若者/独身

 
 3つのセグメントの中で最も割を食っている、それがこの世帯だ。10年くらい前は、親のスネをかじる「パラサイト・シングル」などと揶揄されたが、それは過去の話。何しろバブル世代の後の世代だから、同じ35歳年収でもこれだけ開きがある。

 1962年生まれ、1997年で35歳・・・554万円。(バブル世代の平均年収)
 1972年生まれ、2007年で35歳・・・349万円。(就職氷河期世代の平均年収)
 1982年生まれ、2017年で35歳・・・299万円(試算)。
(出所、労働力調査、内閣府、総理府のホームページ、リクルート、三菱総研など)
 
 このセグメントの人達は、消費は勿論、貯蓄も当然出来はしない。日本人が世界一の貯蓄率だったのは最早過去の話。1992年に15%あったのが、2008年には2%台にまで低下、2014年、消費税増税時には何と0.9%。反対に借金漬けかと思われたアメリカ人が、今や6%にまで回復している。アメリカ人はクレジット社会から貯蓄社会へ、急速に舵を切り始めた。日本は直近の国勢調査でも、何と年収375万円以下の世帯が実に45%を越え、貯金が一銭もない世帯も3割を越えてしまっている。

 
 3高齢者

 
 高齢者も団塊世代以降の世代の退職金は激減している。年金の支給開始年齢の上昇も今のままであれば、最早避けられない情勢にある。今の「子育て世帯」が何とか食いつないでいるのは、高齢者のお陰である。高齢者が孫に小づかいをあげられるからだ。これで経済的に自立していると言えるのかよ、といいたくもなるが現実はそうなのだ。

 これが出来の悪い広告代理店が声高に叫ぶ「勝ち組」の惨めな実態である。

 この実態を踏まえた上で今後どうなるのか見てみたい。


【非婚化は所得問題を解決すれば、改善に向かう】

 
 非婚化⇒少子高齢化⇒お先真っ暗、というのがこの記事の論調に見えるが、人口減が即行で経済活力の減につながるとは思えない。1998年〜2007年までG7とロシアを加えた8カ国で最も経済成長率が高かったのは実はロシアで、平均6.5%もあった。ロシアはそれでも毎年50万人以上人口が減り続けていた。

 ロシアは人口減が経済活力の減には必ずしもつながらないことを立証してしまったのである。

 但し、ロシアの場合は資源が「梃子」だったが、日本にはそれがないから真似することは出来ない。新しい産業を生み出すか、さもなければ労働力不足を補うこんな方法もある。

 移民については、既にドイツ、アメリカの例を見れば、どうなるかほぼ蹴りがついているといえよう。では何か?

 意外かもしれないが、ロボットである。

 ハドソン研究所の日高義樹氏は既に日本は世界有数のロボット大国だが、直に3Kと呼ばれる仕事もこなすようになるはずだ。移民など考えるより、科学技術の発展で乗りきることを考えた方が良い、という趣旨を『資源世界大戦が始まった』(ダイヤモンド社)で述べている。

 我々は愛知県の「愛・地球博」でロボットがどこまで進化したのかを見てきた。日高氏が言うように、やがて3Kの仕事もこなすようになるかもしれない。

 或いはそこまで行かなくても、若い女性トラック運転手に「パワースーツ」を身につけさせ、通常の倍の腕力がつくようなスーツ(実際に開発中)を市販化するところまでは直ぐに出来るかもしれない。

 ということは、人口減が経済に影響を与える場合もあれば、逆に経済状況が人口の推移に影響を与える場合も少なくないといえるかもしれない。実際、日本人の民間企業の年収は2012年には408万円に落ちた。この数字は2000年に比べて50万円も少ないのである。それどころか、昭和62年頃の水準なのだ。一方で、「婚活女子」と呼ばれる人達の希望は最低で年収400万円以上だという。適齢期と呼ばれる男性が民間の平均給与も貰っているはずがないことは誰もが見当がつきそうなものだが(笑)、彼女たちをそうさせているのは、経済に不勉強だからでもなければ、バブル期からえんえんと続く「条件闘争」でも、背景は全く異なり、生活不安だからだろう。確かにバブル期に社会に出た人達に比べ、それ以後の就職氷河期世代は年収でいえば200万円も低い(三菱総研、労働力調査、2007年と1997年参照)。

 これでは結婚しました、でもリストラされました、職がありませんでした、これでは一家でホームレスをしなければならない、だから少しでも傷を少なくするために、結婚しないというのも、合理的な選択肢にすら見えて来るのである。

 日本の場合、少子高齢化を防ぐためにしなければならないのは、託児所を増やすとか、子ども手当ではない。勿論お見合いを復権させろ、ということでもない。

 それ以上にもっともっと大切なことが見えて来る。

 実際、結婚した人達はバブル世代よりも年収が200万円も低い。経済状況、雇用状況の悪さはバブル世代とは雲泥の差だ。しかし多くが出産している。ある地方では20〜35歳の男性の実に70%は非正規だと聞いた。それも殆どが年収で200万円未満だという。これでは生きていくのが精いっぱいで、結婚どころではないだろう。バブル時代と異なり、今は経済的理由から結婚をパスする人が殆どである。

 しかし生産年齢人口はバブル期の平成3(1991)年は69.2%あった。それが今年の9月には60.3%にまで落ちている。大体「空前の人手不足」は60%を切ると顕在化してくるといわれている。もう直ぐその時は迫っている。

 これだけ今後ロボット化が進む日本でもそうなのだ。生産年齢人口の激減にはそれでも追いつけない。

 電通で過労死自殺した東大卒の新卒女性がいたが、こういう事件は今後激減してくるどころか、「ブラック企業」は淘汰され、勤労者が宝になる時代が確実にやって来る。

 但し、絶対条件として、これらの事実から外国人を安易に入れるのではなく、我々日本人で何とかしようと思うことである。高度経済成長〜1985年くらいまでは生産年齢人口が60%を割り込んだ状態で、外国人労働者を入れずに日本人だけで何とかしようと考えたから、経済成長の恩恵に日本人の大半が浴することが出来た。

 政府が余計なことをしなければ(例えば消費税を10%にあげるとか、外国人労働者を入れるとかしなければ)、ひとりでにこの非婚化の問題も解消に向かうはずだ。

 この問題は所得問題だからである。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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