Zoom-Zoomにブースターがついた

マツダが『アクセラ』に搭載した制御技術「G-Vectoring Control」とは
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=144&from=diary&id=4098767

　■スカイアクティヴＤへの絶大なる自信■

　記事では専ら安全装備について語っているし、これ自体は話題になっても良いのかもしれないが、それ以上に今回のマイナーチェンジで大変興味深いのは２．０Ｌのガソリン車がカタログから下ろされデミオに積まれていた１．５スカイアクティヴＤに選手交代したことである。
　
　２．０Ｌのガソリン車に乗ったことがある。それほど役不足には感じなかったが、今回それでも敢えてディーゼルに変えたことはマツダがこのパワートレーンに確たる自信を持っているからだろう。何しろトヨタも欧州では小排気量のディーゼルターボを販売しているものの（１．４Ｌ、９０馬力、トルク２０．２キロ）、日本市場で販売する気はさらさらなく、小排気量のディーゼルエンジン車ではマツダの独り勝ちが続いているだけに、独壇場の地位を獲得したい狙いがあるように見える。

　フォルクスワーゲン（以下、ＶＷとする）がディーゼルでミソをつけた今こそ、という思いもあるかもしれない。

　■アクセラ中、グッドバランス車になるかも■

　デミオのスカイアクティヴＤは日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、前年は総合部門でガイシャなのにＶＷゴルフにさらわれてしまった屈辱を晴らした。確かに乗ってみると速い（０−４００ｍで１７．０４秒、雑誌「ｄｒｉｖｅｒ」）、しかし、いかんせん、ガタイが小さいコンパクトカーゆえ、鼻先の重さはぬぐえない。普段使いだと乗っている人の話だと、ハンドルの微調整を一般道では始終余儀なくされると聞いた。その代わり、高速道路に行くと嘘のように安定するとか。また音質もいまひとつ。これはタイヤとマフラーを換えれば激変するのかもしれないが。寧ろ好印象は目立たないけど、１．３のスカイアクティヴＧ（ガソリン車）の方。こちらは音質も良いし、ハンドルも微調整を余儀なくされるＤとは違う。

　デミオだとまだマッチングという点ではこのディーゼルエンジンはオーバーパワーなのかもしれない。それを思うと、アクセラに載せるというのは良い企画ではないかと思う。

　アクセラ、一番廉価な１．５Ｌのガソリンエンジンにも乗ったことがある。車幅１７９５ｍｍは確かにこの排気量では結構な大きさに感じたが、ミラーｔｏミラーは２０５３ｍｍで、先代のトヨタ・プリウスと同等、５ナンバーサイズミニバンのノアよりも小さい。意外と乗りやすかった。１．５Ｌもなかなか捨てたものではない。ＣＶＴではなく、６ＡＴというのも効いているだろう。欧州車以上に欧州車、そんな雰囲気があり、どっしりとしている。変速ショックは注意していると分かる。「ボーン、ボーン」とシフトアップしていくのが分かるが、ＶＷのＤＳＧほど、直ぐにシフトアップしない点が好ましい。アクセラ、正直言って、トヨタ的な運転していることを余り意識させないような静かさは無い。寧ろトヨタ車ばかり乗って来た人からすれば、五月蠅い。しかし、それが決して不快ではなく、寧ろ響かせているような節がある。それでいて洗練されているのだ。スタイルも上々。振り向けば、このクラス、

　◆トヨタ・オーリス

　◆スバル・インプレッサ

　とこのアクセラの３つしかない。このクラスにいた、日産・パルサー、ホンダ・シビックは日本では売られていない。三菱・ミラージュに至っては別のクラスの車になってしまっている。アクセラのスタイルだが、ステーションワゴン的なインプレッサとヴィッツを大きくしたようなオーリスの中間的なフォルムはなかなか良い。

　エントリーグレードの１．５Ｌのガソリンエンジンは１１１馬力に１２６０ｋｇだから確かに遅い。０−４００ｍで１７．９秒程度かなという感じ。何か似ていると思ったら、５代目のゴルフＥの初期型である。排気量もあちらは１．６Ｌで、６ＡＴという点も似ている。ただ車重はアクセラ１．５Ｓは１２６０ｋｇ、ＶＷゴルフＥは１３２０ｋｇもあるため、アクセラの方が力感はある。遅さで現実に引き戻される為、もう少しトルクがあったらなあというのが正直なところだった。

　それが今回１．５Ｌのディーゼルターボエンジンが追加された。これは朗報である。ひょっとするとアクセラでベストバイになるかもしれない。

　アクセラに欠点があるとしたら、価格帯だろう。１．５Ｌのディーゼルの最廉価モデルＸＤでも２３０万円、安全装備がフルについたモデルになると２６８万円にもなる。内容を考えれば決して高過ぎるということではないのだが、マツダもペットネームを切り捨ててしまっている。アクセラの前進にあたるファミリアという名前を捨ててしまった。アピールしていかないと納得するユーザーはなかなか増えて行かないだろう。こういう時代だから、一気に売れて行くとは思えないが、理解したユーザーからじわじわと支持が広がっていくのは間違いない。