今年の六大学で主将が投手であるのは明治と立教・・・・
大学野球の雑誌の表紙にもなった明治の柳君と立教澤田君・・・・
そして、迎えたこの明治立教の優勝決定戦・・・・
勝ち点を挙げた方が優勝、早慶戦の結果を待つ必要はない。
その試合はいつものように始まる。エールの交換が終わると行け立教男児と紫紺の歌がお互いの手拍子とともに歌われ友好ムードの中で試合開始・・・
しかし、試合はそんなに友好ムードではなかった。
明治の先発は当然エースで主将の柳君、だが立教は違った。澤田君ではなく田村君だった。
立教は澤田君を温存して勝負に出たのか・・・
そして明治の柳君の調子は良くなかった。球速はなく、変化球は抜けまくった。立教の田村君は強気に攻めてリズムよい投球だった。
実際に1回表立教の攻撃は10分を要し、その裏の明治は5球で仕留められた。
しかし、ここからが見どころ十分だった。
柳君は多分怒っていた。なんに対して・・・
もちろん自分に対してだ。
ボールが走らず、変化球も決まらない。そんな中、マウンドコントロールを盛んに行った。チェンジの後、プレーがかかるその前にタイムを取りシューズの靴ひもを結びなおした。何度も牽制球を投げ、実際に一つアウトを取ってピンチを凌いだ。
テンポよく投げて調子を上げていく立教の田村君をあざ笑うようにゆっくりと試合を進めた。
結局根負けしたのは田村君だった。
4回裏、明治は先頭の牛島君がストレートの四球で出ると初球からエンドランを仕掛けた。打球がセカンド真正面の強いゴロ、いくらエンドランとはいえ、併殺が狙える打球だった。
しかし、そこで2塁手はボールを外野方向へそらせるエラーで無死1・3塁とする。
打球の前をランナーが通り過ぎたこともあるだろう。だが、間違いなく2塁への送球を焦ったエラーだった。
無死1・3塁、田村君はストライクを先行させたが、なんとワイルドピッチで1点を失う・・・・
なおも安打を浴び無死1・3塁は続く。だが次打者のスクイズを田村君はダッシュよく捕球しグラブトスで本封すると、次の柳君の初球で併殺を取って最小失点で抑えた。
田村君も意地を見せたが・・・・
6回の明治の攻撃では先頭の佐野君が2塁打。送って1死3塁としたところで立教の溝口監督はタイムを掛けた。背番号10の澤田君はブルペンに向かっていった。
続投。田村君も気合を入れなおしたはずだ。だが、吉田君の当たりはレフトへのファウルフライ。タッチアップは微妙だったが、レフトの佐藤君は捕球した。ランナーはスタート。クロスプレーになったが判定はセーフ。2−0となった。
8回裏の明治の攻撃。ここで立教は澤田君をマウンドに送った。恐らく第2戦の先発のはずだ。しかし彼は主将である。
先頭打者の詰まった当たりが澤田君の足元を抜けると2塁手が捕球した時には1塁はもう間に合わなかった。そして、打者は3番4番5番。この3人を澤田君はすべて三振に切って取った。
9回立教は反撃できず、試合は2−0で明治が先勝した。
試合はもう決まったかに思える終盤、明治のクリーンナップを3者三振に仕留めた澤田君はまだ明日があるんだと言っているように見えた。
明治の柳君は調子が悪いなりに苦心の投球で終わってみれば4安打完封だった。
二人とも立派な主将だった。
2016年5月21日 東京六大学野球 春季リーグ戦(於 明治神宮野球場)
立教
000 000 000 = 0
000 101 00x = 2
明治
ログインしてコメントを確認・投稿する