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2015年06月20日16:29

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デフレカルト

 ■やる気が無い経済成長を伴う財政再建

 

 経済財政諮問会議で、安倍総理は6月末までに歳出削減をメインとした財政健全化計画を取りまとめることを決めた。財政再建健全化計画の流れは次の通り。

 プライマリーバランス(基礎的財政収支、単年度で)

2015年現在・・・GDP比▲3.3%。

 2018年(中間目標)・・・GDP比▲1%。

 2020年の黒字化
 
 数字の上では大変勇ましいが、必要の意義があるのだろうか?

 まだ結論は出さなくて良い。

 先日「国の借金ひとりあたり830万円」という記事が各社踊った。

 日銀のホームページの外国向けを読まれた方はご存じだろう。「国の借金」ではない。「政府の借金」と書かれている。財務省は大増税をしたいが為に見出しを国内向けには詐称し、このような記事を煽っているに過ぎない。

では事実はどうなのか?

誤解を恐れずに言えば、日本(国)は、対外純資産世界一の大金持ち国家である。

「そんな、馬鹿な」

と思われた方。事実だから仕方が無い。考えてみれば分かるが、借金しかない国だったら、対外純資産など生まれるはずもない。しかもその金額はリーマンショック以後も増え続けていて、300兆円を越えている。

 更に「国(正確には政府)の借金ひとりあたり830万円」とあるが、去年はいくらだったかご存じだろうか?

 「ひとりあたり900万円」

 だった。70万円「減った」のである。名目経済成長率がゼロ成長下で、70万円も減ったのである。果たして消費税増税は必要だったのか?

 その前にでは一体なぜ70万円ほど減ったのか?

 そのからくりをご説明する。

 日本の国債の場合、次の特徴がある。

 (1)1985年以降、100%日本円で運営されていること

 (2)購入している人達の94%が日本の個人または日本の機関投資家

 減ったからくりはすごく簡単なことで、この状況下では単に「政府の借金」を減らしたければ、日銀に買い取らせればそれでチャラになる。連結決算でそれが出来てしまう。実際政府の借金が減ったのは、日銀の買い取り金額が増えたからである。

プライマリーバランスに拘る必要はどこにもない。この状態で財政問題は「存在しない」し、ハイパーインフレに「なることも出来ない」からである。

 政府は歳出削減に主眼を置いているが、パイの分け前(GDP)を増やす気は無いのだろうか?

一応名目3%、実質2%を目指しているが、名目5%、実質3%程度にならないとデフレ脱却には繋がらないだろう。インフレ目標は2%と謳っているのに、こんな低い数字ではやる気が無いと云われても仕方が無い。


■被災地に対する残酷な措置



東日本大震災が出来てから既に4年が経った。2015年まで政府が主に被災地復興の予算を負担してきた(26.3兆円)。が、安倍政権は2016年からは復興創世期間と位置づけ、6兆円の予算を計上している。が、その内容は2%にあたる1千億円を被災地に負担させるというのである。

しかも5月13日(この日も特異日ではないか!)にM.6.6の中規模の地震(注・M.7以上を大地震という)が起きたばかりである。あの時、自分も311と似たような揺れでヒャっとしたのを覚えている。一先ず死者も出ていないし、津波も起きていないのはひと安心だが、そのような時期に被災地に復興予算を負担させていいものだろうか。


■学校教職員削減と救急車の有料化



歳出削減で不安に思う事はまだまだある。財務省は2024年までに小中公立学校の教員4万2千人を削減すれば780億円の歳出削減につながるという試算をまとめた。

政府のすべき主な仕事は医療、介護、教育である。GDPのうち、「政府消費最終支出」という項目がある。この仕事に予算を掛けると、GDPが増える。

主要国では不景気、特にデフレになると、この分野を増やすことに力を注ぐのである。政府しかおカネを使わなくなるからだ。

しかし日本のしていることは全く正反対。救急車については、現役世代が利用を減らして居る一方、それを上回る数で高齢者が利用しているのは事実で、タクシー代わりに利用している不埒な高齢者もいる。こういう輩の多くは常習犯であり、罰金を設けるなどして厳しく取り締まれば良いことで、そういう努力もしないで銭をふんだくれば良いという話は短絡的である。教育については不景気であれば本来増やして雇用を創出することで、「政府消費最終支出」に貢献することで、デフレ脱却に貢献出来る。利用する子どもたちについては少人数で教員が多い方が教育はマンツーマンになるから、充実するに決まっている。

もう一つ、教育についてだが、財務省は国公立大の授業料を「所得に応じて」上げると歳出削減に寄与すると云われている。嘗て自分達の世代は親が中小企業にしか勤めておらず、予備校にも行けず、浪人にさせてもらえない、しかも公立高校、そういう子でも現役で東大に行くツワモノがいたという話はどの学校にもひとつくらいはあった。が、この制度が出来てしまうと、所得が低い世帯は永久に低い世帯ということになる。統計では既にS、A、Bランクの家庭の多くは年収800万円以上の皆高所得世帯である。高所得で無ければ「受験技術」を伝授してくれる予備校に行けないのだから当たり前だ。この傾向はますます強くなるだろう。行きつく先は日本の「階級化」である。貧しい子でも、能力があれば、東大なり、京大なり、阪大なり行けるようにしなければ、社会にダイナミズムを産むことは出来ないのではないだろうか。江戸時代、社会にダイナミズムが生まれなかったのは階層を固定化したからだ。「カエルの子はカエル」では無理である。

こんなことを云うと、「国際競争力が〜っ!!!」と言う輩が少なくない。こういう人間は概ね、リストラもない、賃金切り下げもない、ボーナスゼロの生活も知らない、更に高学歴のくせして庶民の生活などまるで知らないセーフティネットに守られた人間が多い。

では、この人達にお聞きしますが、国際競争力とやらは何ですか。ひとことで言って下さい。

・・・

はい。ひとことで言うならば、価格競争力です。

なぜ日本のように世界で最も高い資本ストックを持つ国が、わざわざ中国と賃金の切り下げをしなければならないのだろうか?

 資本ストック、聞き慣れない言葉かもしれないが、企業が抱える全設備のことで、流石に多々ある為、台数で勘定して比較することは無理で、金額で換算する。これを資本ストックという。大雑把な計算方法としては、

 前年の資本ストック+今期新たに導入した設備−減価償却

 となる。

 これが何を意味しているかというと、高ければ高いほど、高い資本設備で競争する分野では強いという結果になる。それを人口一人当たりで割り算した場合、その国の労働者の競争力が分かる。実はこの分野、日本が世界一で3,200億円である。以下2位、オーストラリア、3位、ドイツ、4位、アメリカ、5位、フランスと続く。

 中国は15位で、たった200億円でしかない。

 よくマスコミは

 「日本のように人件費の高い国が中国のような低賃金国と競争して勝てるわけがない」

 という報道をしている。が、日本の労働者は中国の16倍もの資本設備を使って競争しているのだ。高い資本設備を使う分野で競争すれば簡単に負ける訳がないし、中国に勝っている。労賃の差がまともに出てくる最終消費財の加工組み立てにいつまでもしがみついている企業が個別に負けているだけに過ぎない。
 
日本のバブル経済期、財政は単年度のプライマリーバランスでは黒字だった。景気が良くなれば、税収がひとりでに増え、財政は自ずと改善する。尤も厳密にはこの条件下の場合、財政問題は「存在しない」し、ハイパーインフレに「なることもできない」。それならば財政出動し、需要と実質賃金をどんどん拡大することが重要である。財政黒字は好景気の時期にしか達成は出来ない。簡単な理屈である。まだ分からないのは残念なことだ。ここまで来ると政府・財務省はデフレ中毒というか、最早デフレカルトの域に達しているといえるかもしれない。

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