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2014年11月17日12:32

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【コンサート】キエフ国立交響楽団「華麗なるロシア音楽」(16日)

先日のイスラエル・フィル公演と比べると、
聴衆の質が予想以上に酷かった。

隣の初老の夫婦は、会話の内容からすると、
クラコンには行き慣れているようだったが、
始まるといびきをかきだす。
寝るなら自宅でCDでも聴いてくれ〜。

反対側のオヤジは、
アンコール中に帰り支度を始める。
薄手のダウンだから、かさこそうるさい。
んなもん、外で着ろ、外で!

そのうしろの老婆、バッグの飾り鈴を頻繁に鳴らす。
しかも使ったティシュを足元に捨て、
あげく帰り際に爪先でシートの下に押し込む始末。
身なりはちゃんとしているのに...。

ほかにもチラシ類をがさごそさせる者、
消音? なにそれ? とばかりに
くしゃみや咳をする奴。

一部のバレエ・ファンが音に無頓着なのは、
良し悪しはともかく、理解できなくもない。
彼ら彼女らにとり、オケは添え物でしかないからだ。
しかし音楽を聴きに来るクラコンで、
雑音を出す連中は、いったい何を考えているのだろう。


不愉快な思いは忘れることにして、
オケは期待した通りの演奏だった。

そのへんのオケのコンマスや首席奏者級が
ごろごろいるイスラエルフィルやN響並みの
高度でエレガンスな演奏は最初から求めてはいない。
しかしロシア系のオケには、
ちょっとツボにはまる魅力がある。

たとえば前2者が、上品で理性的、
高度な訓練を受けた聡明なわんこなら、
ロシア系のオケは、最低限の躾けをされただけの、
雪を見ると我を忘れて駆け回るハスキー。(笑)

ビブラートをかける手の動きまでシンクロさせる、
抑制的、自制的な前2者に対し、
ロシア系のオケは細かいことにはこだわらないというか、
盛り上げる場面では羽目を外した酔っ払いのように、
音が爆発する。(笑)

だからと言って、先日の東フィルのように、
なげやりで雑な音にはならないところがいい。
おおらかで、荒々しい響きなのだ。

指揮者のパフォーマンスも対照的で、
メータさんが肘から先だけの省エネ型なら、
これまで出会ったロシア系の指揮者の多くは、
体育会系というか、そのうち脳卒中で
倒れるんじゃなかろうかと心配になる激しい動きで、
昨日のシレンコさんも指揮台の上で飛び跳ねていた。
ちなみに彼は、1991年来の、
ここの芸監にして首席指揮者である。

演目は、
「イーゴリ公」から序曲、
チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲1番」
そして同「交響曲5番」。

ピアコンのソロは、ウラジミール・ミシュクさん。
かつての紅顔の美青年も、
いまやすっかりスラブのおっさん。(笑)
指使いは相変わらず滑らかで美しい。
イソギンチャクの触手的な動きは、ちょっと笑える。
ミスタッチも少なくはなかったけど、
強弱緩急自在の演奏はさすがだ。

ただ、「俺の指捌きについてこれるか!?」
的な先走りは、「協奏曲」としてどうなのだろう。
それとも彼は普通に弾いていただけで、
もっとレベルの高いオケなら追随できたのだろうか。

彼のアンコールは、
チャイコフスキーの「四季」から「秋の歌」。
曲名がすぐにうかばず、脳内を男性のシルエットが踊っていた。
なんだったかなー、と休憩時間、我が師に訪ねたら、
「『オネーギン』のレンスキーのソロで使ってたでしょ。」

ああ、そうでした!
ではあのシルエットは、ラドメイカーさんだったのか。(笑)

オケのアンコールは、
スコーリクの「メロディ」と、「タラス・ブーリバ」の序曲。
5番の4楽章にも負けない大迫力の演奏に、
拍手する手にも力が入る。まさに音の嵐。
慌ただしい年末年始にむけて「気合い」を注入してもらった。
ボリショイにシェフチェンコにミハイロフスキー、
国内バレエ団もあるから、風邪などひいていられない。(笑)

チャイコの5番には、
穏やかな暮らしをしていた国の人々が、
突然の災厄に見舞われるも団結して立ち向かい、
最後には平和を取り戻す...
的な物語をイメージするものだから、
奏者たちは祖国の現状をどのように憂いつつ、
演奏しているのだろう、と考えているうちに、
勝手にうるうるしてしまった。

コントラバス奏者のひとりが、
譜面台に小さなウクライナ国旗を立てていた。
キエフオケは、その成り立ちを語る時、
チャイコフスキーの名が出てくるくらいだから、
嫌悪の感情はないと思いたいのだが...。

彼らの故郷に、再び穏やかな日々が訪れますように。
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