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2010年01月25日09:37

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【バレエ】新国立バレエ「白鳥の湖」(23日)


23日の主役はさいとうさんとマイレンさん。
暮の「くるみ」の出来が予想以上に良かったので、
土曜日は足どりも軽く初台へ向かいました。(^^)

オケ(東京交響楽団)の出来も良いとの噂だったので、
それも楽しみでした。(^^)
指揮者は誰かな〜? と思っていると...。
あのエラの張った四角い顔のガイジンさんは、バクランさんだ〜。(^O^)/

実際、国内のバレエオケとしては良い演奏でした。(^^)
新国の広いオケピが窮屈に見える編成ということもあって、音圧も及第点。
...マールイ・オケ、この半分であの迫力をだすのか。(^^;)

新国の現在の「白鳥」は、従来のセルゲイエフ版ではなく、
2006年に採用された牧版で、最近流行のプロローグ付き。
お師匠さまに初めて「白鳥」に連れてってもらった時、
前奏を聴きながら「アレ? この曲に振付はないんだ」と不思議に思い、
その後ブルメイステル版を観て膝を叩いたくらいですから、
プロローグのあることに異論はないのですが...。

編み物をしているオデットの部屋には、
どうみてもペリカンとしか思えない白鳥の彫像が並んでいます。
なぜ制作中に誰も止めなかったのか、ということはおいといて、
同じペリカン像が王子の宮殿にも並んでいます。

これって、よく考えてみれば、ヘンですよね。
ブルメイステルさんに敬意を表し、
オデットは妖精と人間のハーフでしょ、というツッコミはしませんが、
これでは王子とオデットが同じ城の出自ということになってしまいます。
(さすがお師匠さま、いつも冷静にご覧になってますね。(^^;))

そこで思い出したのが、お師匠さまの「オデットになってからの時間」説。
もしかしたら牧版のオデットは、王子のお婆さん世代の親戚女性で、
ロットバルトの呪いが解けると、浦島太郎のように、
お婆さんになってしまうとか。

...あ、だからエピローグがないのか。(^O^)

もひとつヘンだなと思ったのは、
お城にあれだけの数を飾ってあるということは、
白鳥は一族の象徴にして神聖な生物ということになります。
それを狩りに行く王子って...。
ということは、やはりあれは白鳥ではなくペリカンだったのか。
ううむ、牧版、奥が深い!(^O^)

彫像がペリカンか白鳥かはおいといて、
舞台装置や衣裳のデザインは良いですね。
派手ではありませんが、品があって色彩も日本人好み、かな。

1幕の群舞、足音がしません。
おー、鍛えたのか!? と喜びも束の間、
ポワントではなくバレエシューズでした。なーんだ。(^^;)

牧版には道化がいます。
今回は八幡さんと福田さんで、私の観た日は福田さん。
「くるみ」のトレパックが良かったので、楽しみにしていました。
まだ踊りこみ不足なのでしょう、雑に見えるところがあるのと、
牧版は振付がつまらないので、個人的には盛り上がりませんでしたが、
彼自身のポテンシャルはもう少し高いと思われます。(^^)

トロワは本島さん、長田さん、江本さん。
江本さんと本島さんは、小野さんくらい若ければ、
今後に期待、と言えるのですが...。

配役表を見て、今日は長田さん、大活躍だ〜!(^O^)/
と喜んだのですが(他に4羽の白鳥やハンガリーも担当)
踊りが小さく、キレもありません。
体調でも悪かったのでしょうか。心配です。(=.=)

1幕2場の白鳥群舞、あいかわらず綺麗に揃えてきますが、
舞台が妙に広く感じます。
ヨソで演ってたマールイの群舞は窮屈そうだったのに。
新国ってそんなに広いのかぁ。(@_@)

どれどれ、と調べてみたところ、間口×奥行き×高さ(m)は、

新国 16×18×12
上野 18×24×11
厚生 20×13×11
国際 24×16×12
県民 20×18×10

...間口、いちばん狭いじゃん。 ( ̄へ  ̄ )

2幕の見せ場はもちろんオディールですが、
キャラクターダンスも見逃せません。

にもかかわらず、前回観た時は、つまらないキャラダンだなぁ、
ダンサーたち、もっと勉強しなさいね、と思ったものですが、
今回改めてよく観ると、つまらないのは振付でした。
単調で変化に乏しく、音楽のイメージとまったくあっていないのです。

中でも酷いのが、売り物にしているルースカヤ。
あんなものをルースカヤと言ってほしくないです。(=.=)
初演の時から指摘していますが、
そもそもルースカヤだけ特別扱いする意味がわからん。

というわけで、
キャラダンのダンサー個々については敢えて触れませんが、
でも、この2人には一言言いたい。
「ロットバルトと家庭教師、もっと演技せんかいっ!」 (`ヘ´#)

牧版は、王宮場面と最後の湖畔場面の間に休憩がないので、
群舞たち、着替えのためにそそくさといなくなってしまいます。
そのためオディールたちが去った後は、
がらんとした王宮にお后様が寂しそう。
キャラダンはロットの手下なので一緒に去る、という版もありますが、
ここのはそうじゃないから...。(^^;)

たしかに最終幕は短いですから、
くっつけたくなる気持ちもわからないではありませんが、
主役をはじめとするダンサーたちの着替えや舞台転換、
そして観客の気持ちの切り替えといった、時間が必要なのです。

一応薄幕の前で、王宮を飛び出したジークが、
時間稼ぎのためうろちょろしますが、
「そこは一直線にオデットの元へ走る場面でしょ!」
と、お師匠さまがお怒りでした。(^o^;)

最終幕の2羽の白鳥は寺田さんと堀口さん。
第1ヴァリはどちらだったのかな。良かったよ〜。(^^)
がっかりすることばかりだったこの日の公演の中で、
数少ない希望の光でした。(^^)

ラストは一応ハッピーエンドですが、
舞台奥でロットが寂しく奈落へと沈んでいき、
盛り上がるは音楽のみ。ここまでイジリ回したのだから、
ゴールスキー版ののたうちまわるロットも取り入れてしまえばいいのに。

...牧版は、どこをとっても詰めが甘いなあ。(^^;)

       *     *     *

今回主役を務めたさいとうさんとマイレンさんには、
スタイルには恵まれていないという共通項があります。
しかしその技量は、他のダンサーを凌ぐものがあります。(^^)

しかも最近は舞台慣れしてきたのか、余裕と風格も見えはじめたので、
2人の「白鳥」には大いに期待していました。

...けれど、結果はマイレンさんが、ひとり別世界でした。

派手なダンサーではありませんが、
ルジさんに通ずる見栄の切り方というか、
実に「かっこいい」踊りをする人です。
また最近の安定感は、観ていて頼もしく思います。(^^)

役造りについても真面目に取り組んでいるのでしょう。
単に振付をなぞるのではなく、自分がいま演じている役を、
きちんと描こうとしている様子が観てとれます。

今回の王子は、婚期を逃しつつある、ちょっと年上の王子。
でも、本人に焦りはありません。(^o^)

ジーク王子について、
東バ・ファンのお師匠さまが面白い話をしてくれました。(^^)
昨年、東バは年初に「眠り」を、その後「白鳥」をもってきましたが、
東バのベテラン・プリンシパル木村さんは、
「眠り」で4人の王子を、「白鳥」では王子を担当。
それを観たあるファンが、
「オーロラに振られた後も、まだお嫁さんを探してたのね」
と感想を記していたそうですが、
今回のマイレン王子も、まさにそんな感じ。(^O^)

次シーズン、彼はまだ「シンデレラ」にしか名前が上がっていませんが、
ぜひもっともっと配役してあげてくださいな、ビントレーさん。
彼はきっと、それに応えてくれることでしょう。(^^)

ジークの相方、さいとうさんですが、今回は「微妙」な舞台でした。
オデット/オディールは初役とのことですが、
どちらかといえば彼女、小心なところがあるようですね。
まあ、本番でそれまでの殻を破る人の方が珍しいですから、
悪いとはいいませんが、実力があるだけに残念ではあります。

とりあえず失敗しないことを心がけていたのでしょう、
踊りは丁寧で破綻はありませんでしたが、
その分萎縮してしまい、いつもの生彩がなく、
彼女の長所のひとつである音楽との戯れもありませんでした。
また表情も硬く、役作りをする余裕はなかったようです。

2幕の見せ場、32回転のフェッテも完遂できず力尽きてしまい、
アンチの人々はそこを突いてくるでしょうが、(^^;)
私は途中で切り上げた判断を評価したいと思います。
無理して明らかな失敗をするよりは、あの方がスマートだからです。

と書くとダメダメの舞台のようですが、
あくまでも彼女本来のポテンシャルと比べての話で、
場内は大いにウケていましたし、
なにより、2幕と3幕の間に大きな変化がありました。
(気づいた方、どのくらいいたかな? (^^))

まず、32回転が終わったところで、笑顔に変化が。
それまでのコンビニ店員笑顔から、柔らかな自然の笑みになったのです。
山場をふたつ終え、ほっとしたのでしょう。
安堵の表情が、あたかも王子を騙すのに成功して
喜んでいるかのようでした。(^O^)
そして肩から力が抜け、余裕ができたのか、
なんと3幕から、彼女のいつもの踊りが復活したのです!

ビントレーさん、小野さんののびしろは、たしかにこれからが楽しみですが、
彼女もまた、鍛えるなら今が旬の人ですよ。(^^)

       *     *     *

先日の次シーズン発表会で、ビントレーさんは「くるみ」と「白鳥」を、
「去年やった」「今やってる」という理由で省いたと語っていましたが、
もしかしたら、ださい牧版、
芸監としての自分の名前を掲げてやりたくなかったのでは、
とはお師匠さまの鋭い指摘ですが、案外図星なのかもしれません。(^m^)

次回は、ぜひビントレー改訂版「くるみ」と「白鳥」を希望します! (^O^)
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