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2008年09月16日08:22

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【バレエ】東京バレエ「ジゼル」(13日ソワレ)

前回に続き、またまた師匠の感想です。(^^)

視点や着目ポイント、とても参考になります。
...ジゼルのお家の煙、気づかなかったぁ。f(^^;)

       *     *     *

● 第1幕

今日のオケは、初日とは音が違う。
ちゃんと音が出ていて、幕が開くのが楽しみになる序曲。
今日はマチソワだからオケも2回目、
疲れもありそうなのに頑張るなぁ。シティ・フィル、好印象。(^-^)

本日の後藤ヒラリオンは、ちょっと天然さんが弱まってオトナになってた。
吉岡ジゼルに合わせて、年齢設定やキャラクターを
マイナーチェンジしたみたい。
(パロ:後述のように、11日は幼い雰囲気のジゼルに合わせ、
少年に近いヒラリオン、というのが師匠の解釈です。)

マラーホフ@アルブレヒトは、今日も恋する青年。
ウィルフリードに諫められても、
「何をカタいこと言ってるんだよ。野暮だなぁ。」と、ウキウキ。

野辺ウィルフリードの走り寄り方も勢いがよくなった。
急いで止めないと、ジゼルの家のドアをノックしてしまう!
という臨場感が出てきた。いい感じ。
このまま研究して当たり役にしてほしいな。

欲を言えば坂道を登りかけたところでもう1回振り向いて、
「若様を一人にする心残り」を強調してほしい。
マラーホフさんは「ちゃんと行ったかな〜?」と、
しばらく見ているから、演技を受けてくれると思うんだよね。
(パロ:「早く行け」って追い払うとか?(^o^))

吉岡ジゼルは村娘には見えなくて、
他の村娘とは違うからアルブレヒトの目にとまったのかな?
というきれいなお姉さんジゼル。
以前に観たときは、透明感があって儚げで薄幸そうな感じだったけれど、
今回は薄幸そうな感じはなく、明るい普通の女の子。
ただ、素朴というより気品さえ感じるので、
貴族がベルタに産ませた子では? という妄想が膨らむ。(^^;)

アルブレヒトとのやり取りも、
小出ジゼルが初恋っぽかったのに対し、
同等に恋を楽しむ女の子。恋愛経験はありそう。

ジゼルに触れようとするアルブレヒトをすり抜けるのも、
二人で遊んでいるだけだし、家に帰ろうとするのもフリだけ。
花占いも信じていないのかも。
アルブレヒトがどう言うか、興味があったのかな。

でも、「スキ」の花びらは自分のスカートの上に、
「キライ」の花びらは地面に落としていたから、
やっぱり少しは気になるのかも。

後藤ヒラリオンは、今日はちょっとオトナなので
アルブレヒトにライバル心を持っている。
けれど吉岡ジゼルはイヤそう。(^^;)

「あなたのことは、好きじゃないわ。」
気にせず気持ちを押し付けるヒラリオンに、
「どうして解らないのかしら。」
好きじゃないというより、キライなのか。吉岡ジゼルの演技に、
後藤ヒラリオンがウザいヤツに見えてきた。(^^;)

ヒラリオンがアルブレヒトの手を払いのけるのも少し強め。
追い払われる時も、納得いかない悔しそうな表情が見える。

吉岡さん、ヴァリエーションではミスもあり少しハラハラしたけれど、
村娘達が登場し、ジゼルを中心に踊ることになると、
マラーホフさん、「僕はどうすればいいの?」
「ん〜。あの椅子で見てて!」
でも途中で、「やっぱり一緒に踊りましょう!」
「えぇ〜?! ムリだよ〜。」
「大丈夫よ。さぁ、来て!」
いつもこんな芝居をしていたっけ? 覚えてないなぁ。
他にもこんなことしていた? という場面があった。

腕を組んで同じステップをふむ場面、
小出ジゼルは恥じらいながらそっと手を添えるだけだったのに、
吉岡ジゼルはしっかりと腕を絡ませて
アルブレヒトの肩に頭を預けて時々視線を上げる。
アルブレヒトも嬉しそうで、周りの村娘達が羨むほどの仲の良さ。
これが嫌味にならず、美しく絵になる。

ベルタが出てきた時に、「お母さんに怒られる!」
と咄嗟に隠れる小出ジゼルとは違い、
隠れて驚かせようというイタズラ心が二人に見える。

木村公爵と川島バチルド姫登場。
木村公爵の衣装が少し大きいのは、後藤さんと兼用なのかな。
初日は気にならなかったけど、ちょっと衣装に着られてる感じ。

そういえば、後藤ヒラリオンは帽子を被らず、
くせ毛をいかしたモシャモシャ頭に髭面だし、
結構細かい所を見逃してる。
たとえばジゼルの家、ちゃんと煙突から煙がでてるんだね。
今まで知らなかったよ。何回見逃してるんだ。(> <)

バチルド姫の衣装に気を取られている吉岡ジゼルは、
飲物の給仕はしない。そして結構大胆に衣装を持ち上げて触ってる。
なかなか恐い者知らずかも。

今日のパ・ド・ユイットは、
乾さんが抜けて小出さんが入ってる。小出さん、働き者〜。
小出さん、高村さん、佐伯さんの中に入って、
吉川さんはかなり健闘していたと思う。

男性陣は、
照明さんが間違ってスポット当ててる? というくらい、
今日も中島さんの一人勝ち。
初日を終えて緊張がとけたのか、満面の笑みだった長瀬さん。
若いな〜と微笑ましかったけど、ちょっと控えめになってた。
残念ながら、踊り自体はそんなに満面の笑みになるほど、
素晴らしい出来ではなかったよ。

ジゼルとアルブレヒトの間に、
「ちょっと待った〜!」と割って入るヒラリオン。
初日より勢いが良い。
事の重大さに意を決している雰囲気が出てる。
アルブレヒトの身分が貴族だと知って、
アルブレヒトに対しては少し怖じ気づいてる感じ。
お辞儀をするのも、不躾に割って入った非礼を詫びている様子。
当時の身分差を考えると、これが普通かも。

木村ヒラリオンは慇懃無礼で、
これから正体を暴く策略を匂わせる不遜な態度満載。
ツボだけど。

ヒラリオンの気持ちが解らないジゼルは少し不機嫌。
「待ってて!」と走り去るヒラリオンには、
ジゼルを想う気持ちだけで、アルブレヒトを陥れる感じは見えない。

剣を持って再び割ってはいる後藤ヒラリオン。
「これは彼の持ち物なんだ。彼は貴族なんだよ!」
木村ヒラリオンは「アイツ」って言ってる気がする・・・。

今日も、アルブレヒトはバチルド姫の手にキスをしなかった。
それよりも駆け寄ってくるジゼルを抱き留める方を選んだから。

吉岡ジゼルの明るさが消えて、儚げな透明感が増してくる。
明るく見えたのは、ガラス細工に光が当たって輝いていたからなんだね。
衝撃を受けた後は繊細さだけが際だっていき、
観ている方が切なくなってくる。半分ウィリになっているような透明感。
激しい狂乱の末に絶命というよりは、
力を振り絞ったけれども命の灯が消えてしまった、
ウィリに魅入られ連れて行かれてしまった、という印象だった。

そして、マラーホフ@アルブレヒトも、
衝撃を受けて壊れてしまいそうな雰囲気。繊細さが似てる。
このままアルブレヒトも命を落としてしまいそうな感じ。
この人を観ていると、どちらが悲劇の主人公なんだか・・・。
ロミ&ジュリみたいに、二人が周りに翻弄されているように見えるよ。

後藤ヒラリオンの嘆きも今日は情熱的。悔恨の想いも深い。
やはり初日は設定年齢が低くて(せいぜい10代半ば)、
結婚まではまだ考えてなく、好きな女の子を連れて行かれちゃった、
でも本当のことを知らないから教えてあげなきゃ、
そうしたら結果的に死んじゃって悲しい・・・という流れだったんだな。

今日は二十歳前後くらいの感じだから、
結婚も意識しているし、身分差のことも、
自分の犯してしまったことの重大さも認識してる。

初日も今日も、やっぱり悲しいな。


● 第2幕

初日は暗い森に怯えながら入ってきた後藤ヒラリオン。
今日は成長して強くなっているので、怯えずに入ってくる。
ジゼルの墓石の前で祈りを捧げる時にも、
ジゼルへの想いと申し訳なさだけが心にあるみたいだ。
さすがに人魂には怯えて逃げるけど。

それにしても、立派な墓石だよね。
公爵の計らいなのかな。

今日のミルタ様も井脇さん。
初日よりは調子が良いかな? ちょっと安心。
怪我にもかかわらず無理して踊っている、
ではないといいんだけど。

群舞は今日もやはり足音がしてしまうし、静謐な美しさとは言い難い。
揃っているし、丁寧に踊っていると思うんだけどね。
何をどうしたらいいものか。
小林BTみたいな、たおやかな群舞と何が違うんだろうな。

吉岡さんのウィリが透明感があって、とても綺麗。
佇む風情が精霊そのもので、観客からもため息がもれる。
技術的には余裕が見えない時もあるのだけど、
こういう役では代え難いものがある。

アルブレヒトが花束を抱えて登場。
初日よりもしっかり花を握っている気がする。
(初日は一輪を舞台前方中央に落としてしまったから。
後でジゼルが投げた花と一緒に回収。)
よく一人で支えもなく森まで来られたな、という憔悴ぶり。

(ジゼルが寒くないようにと)お墓にマントをかける、という演出が観たい。
マラーホフさんには似合うと思うので、ぜひやってほしいなぁ。
テューズリーさんのアルブレヒトは、
観る度に遊び人の戯れになっていくから、
もうこの演出は観られそうにないんだもの。

ジゼルの気配を感じて顔を上げ、気配が消えては沈み、
夢うつつの中で束の間のPDDを踊り、
ジゼルの姿をみとめようと隣を見ると、
居たはずのジゼルが居なくなっている。
呆然と佇むアルブレヒトの元へ、再びジゼルが戻ってくる。
失ったはずのジゼルが居る悦びに溢れるアルブレヒト。

マラーホフさんから、アルブレヒトの心情が細かく伝わってくる。
本当にセリフなんて要らないね。存在そのものが語ってる。
それにしても、柔らかい、しなやかな背中だなぁ。美しい。

さすがにリフトは小出さんとの方が楽そうで、無理がない。
絵的にはどちらも甲乙付けがたい感じ。

後藤ヒラリオンは、踊り死ぬ場面が見事。
身体は踊ることを拒否しているのに踊らされている、という感じがリアル。
手足がバラバラに動き、頭もがくがくしている。
「踊り死」という非現実的な死に方に、現実味が加わる。
木村さんはあくまでも美しく踊るから。個人的にはそれもツボだけど。
どちらも当たり役だな〜。こうも甲乙付けがたいのも珍しい。
(あ、由良の介もそうか。)
今後も絶対ダブルキャストで両方観たい。

ウィリたち、今日もヒラリオンを始末した勢いでアルブレヒトへ。
吉岡ジゼルは儚げなのに、凛とした風情もあり、芯がある。
ミルタ様にお願いしつつも、絶対負けないという信念があり、
それがミルタ様への対抗に拍車をかける。アルブレヒトは蚊帳の外?

ジゼルが踊っている間、群舞の横でうなだれて見守りつつ、
お墓からこぼれた花を拾って戻すという作業までしていたとは。
それも自然で美しく、作業ではなく健気さに見せてしまうのは、
さすがマラーホフさん。

マラーホフさんのブリゼは何回観ても素晴らしい。
マラーホフ・ジゼルの白眉と思えるくらいで、
毎回これを観に来てるような感じ。
水面を渡れるんじゃないかと思えるよ。

初日は上手側の席だったので、
ミルタ様の心情の変化を観ることができたけれど、
今日は下手側の遠い席であまり表情を観ることができず、
そのために迷いや揺らぎが感じられなかった。
淡々としていたように見えた。
演技も違うかもしれないけれど、席が違うと感じ方も違うね。

ジゼルが花をアルブレヒトに渡して去る場面も、
結構茎の方を持って花だけ渡していた。
ジゼルとアルブレヒトは手が触れていない。
渡してから手を離すまでも、心持ち早め?

初日の「手を握っている、一呼吸そのまま」という感想も、
席の位置でそう観えたのかもしれない。
本当にそうしていたのかもしれないけれど、
自信がなくなってきた・・・。ウソついてたらゴメン。

今日も渡された花に頬を寄せて、悦びの表情から
居なくなったジゼルに気が付き呆然とする落差に涙腺がゆるむ。
本当にこのまま精神的ショックで衰弱死してしまいそうなアルブレヒト。
ジゼルのお墓から花を抱えて、
一直線にハラハラと落としていく演出が美しい。

今日の舞台も良い公演で、観に来て良かった。

お財布が許すなら、上野ジゼル&高岸アルブレヒトも、
斎藤ジゼル&ルグリ・アルブレヒトも観たかった〜。
全キャスト制覇したい公演って、そうは無い。
たくさんあっても破産するから困るけど。(^^;)
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