昨日につづき、「拡大するシュルレアリスム展」ねた。
「拡大するシュルレアリスム展」では、写真・ファッション・広告・インテリアという分野までシュルレアリスムが拡大していったムーブメントを展示していたが、ルイス・ブニュエルの映画「アンダルシアの犬」も特別上映されていた。
この映画はシュルレアリスムを学んでいると必ず出てくる課題なので、昔から気になってて、実際に見たいと思っていたので、九条シネヌーヴォでの「ルイス・ブニュエル監督特集」を見に行ったことがある。
◆「アンダルシアの犬」
学友であったサルバドール・ダリとルイス・ブニュエルの合作で、冒頭から女性の目ん玉をナイフで切り裂くという衝撃的な映画だ。実はこの目ん玉は牛の眼球を使っているらしく映画の中盤で眼球のない牛が2頭グランドピアノに司祭と一緒にくくりつけられ、主人公の男性がそれを縄で引っ張るという場面が出てくる。他にも女性のワキ毛が男性の顔から生えてきたり。手のひらに蟻の巣穴があってそこから蟻がウジャウジャ出てきたり、切り落とされた手がいきもののように路上に転がっていてそれを少女が棒でつついたり、部屋のドアをあけたら海岸に通じていたり…
意味のわからない映画だが当時にしてはすごい実験的でスタイリッシュな映像ばかりで斬新だったろう。
ギレルモ・デル・トロも大ファンだというルイス・ブニュエル。
ブニュエル監督映画特集では、「アンダルシアの犬」「砂漠のシモン」「ヴィリディアナ」の3本をみた。
この3作とも主演しているのがシルビア・ピナルという女優。「昼顔」のカトリーヌ・ドヌーブを彷彿とさせる金髪の凛とした美女で、聖女にもなり悪女にもなる。
◆「砂漠のシモン」〜神か悪魔か、狂おしい誘惑〜
歴史上実在した柱頭修行者「聖人シメオン」の伝説を描く。ブニュエルのメキシコ時代最後の中編。唖然とするような幕切れは必見。
◆「ビリディアナ」〜聖女の受難、孤独の果てに〜
ブニュエルが20数年ぶりに祖国スペインで撮った作品。ブニュエル自身「もっとも大きな自由を感じつつ監督した」という。カンヌ映画祭パルムドール受賞。一方でカトリック教会から批判をあびるスキャンダルとなり、スペインやイタリアで上映禁止となった問題作。
映画に一貫しているのは、宗教と人間。人間の弱さと醜さ。特に醜い人間の象徴として、障害者や奇形の人間を多く登場させている。彼らを完璧な容姿と清らかな心をもった聖女や聖人と対比することによって人間のさがや不条理がより強調される。不遇な彼らは完璧な人間の同情を集め、完璧な人間から上から目線で庇護されるべきものと思われているが、実は誰にも束縛されない自由なしたたかさを持っている。一見不自由に見える彼らこそ自由であり、一見自由に見える格上の人間こそ不自由な存在だ、とブニュエルは言いたいのかもしれない。
ブニュエルにとって性善説というものはありえない。人間はうまれながらにして罪深く「人間は永遠に自由ではない」のだ。
ログインしてコメントを確認・投稿する