【人生は、後半生が大事】5445
境野勝悟(かつのり)
《人を看(み)るには、ただ後(のち)の半截(はんせつ)を看よ》
(人生は、前半より後半に勝負をかける)
人生を見る目を養うことは、すごく、大事なことだ。
若いときだけではなく、老後に至るまで、その長く偉大なる人生の流れを、ずーッと見極めることが大切だ。
人は、とかく、人生の始め、人生の前半だけに、関心を持っている。
高校や専門学校や、大学や、就職に、ひどく神経をとがらせている。
少しでも待遇のよい就職、名門の会社に勤務できれば、
それが、いちばん幸福だと思っている人が、九十パーセント。
人生は、前半がよければ、よい。
困ったことに、これは、まったく、逆だ。
人生は、前半がよくても、後半が悪ければ、なんにもならない。
いかに、新鮮な中トロの寿司をたくさん食べても、最後に、腐った大トロを食べさせられたら、どうか。
人生は、前半ではない。
後半に勝負をかけると、よい。
「人を看るには、ただ後の半截を看よ」
その人の値うちを見るには、「後の半截を看よ」。
その人の後半生だけを見ればよい・・・と。
世の中には、ごくまれに、一見、前半も後半もいいという人もいる。
が、よ く見ると、その人は、陰や裏側で、他人に知られたくない苦悩を抱えているものだ。
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マザーテレサは、「死を待つ人の家」を開設し、行き倒れの人や、道端で倒れている瀕死の病人を見つけると、ここに連れてきた。
マザーは、「たとえ、人生の99%が不幸であったとしても、最後の1%が幸せならば、その人の人生は幸せなものに変わる」と語り、最後の瞬間を安らいだ気持ちで過ごしてもらうよう手厚く介護した。
そして、ほとんどの人が、息を引き取るとき、「ありがとう」と言って亡くなったそうだ。
「終わりよければすべてよし」という格言がある。
これは、シェークスピアの戯曲の「All’s well that ends well」の和訳だと言われている。
物事の結末が大事であり、途中経過は関係ないということ。
まさに、人生も同じで、前半でどんなにいい学校を卒業し、有名な会社に入ったとしても、後半、特に定年後に、何もやることがなく、行くところもなく、朝からテレビばかり見ているような人生だ。
人から必要とされない寂しい人生。
「人生は、後半生が大事」という言葉を胸に刻みたい。
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