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2024年03月31日20:06

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自分に足りないのは矜持と自彊

 3月31日日曜日、夏日。
 鎌倉の畏友が貸し画廊で個展を開いている。舞踏家は絵も描く!? 才人だ、と思うと共に、要は内発的な欲望はどんどん実現化させていく、という姿勢が大事なのだろう、と捉えた。どういう絵なのかは駅前のエクセルシオールでちらっと見せてもらった。
 朝10時半、画廊経由で予約本が届いた図書館へ行くことにした。
 画廊に着いたら、舞踏家は在アトリエで接客中だった。彼と話しながら絵を見るより、押し黙って眺めるほうがいいのでラッキーだ。
 それにしても繊細で細やかな線を描くひとだ。ソ連の滞在中にボールペンで描いたと聞いていたが、余技とは思えぬほど自信に溢れた線だ。この男を支えているのは矜持と自彊だろう。
 彼と話す前に、ひとりの女性から声を掛けられた。そのひとは大学生時代、小鷹信光の翻訳教室で学び、卒業後にハヤカワでミステリーの翻訳をされていた、という。こういう経歴を明かしたのは私が編集者であることを畏友から聞いたからだ。その後、ハーレクインロマンスの翻訳で糊口をしのいでいたのだが、家庭の事情もあって翻訳業から離れたのだそうだ。畏友も彼女もご近所さんだが、鎌倉の住人はどいつもこいつもまず自分ありきのひとが多く、日本全体を覆ってやまない横並び保守傾向から良きにつけ悪しきにつけ自らはみ出る傾向にある。私は平均的な住宅地で生まれ育ち、その後もフツーの高校大学を経て自分の趣向と能力に見合った道に進んでしまったので、中味が空っぽのままこんにちに至っている。これって恥ずかしいことではないか、という劣等感をうっすら覚えてしまう。
 画廊に30分強滞在後、図書館へ。予約本は太宰治賞受賞作品と車谷長吉を巡る妻・高橋順子さんの回想記。どちらも文学ど真ん中、という位置にあって自分にとっても必読の書だから、2週間以内で必ず両方とも読了しなければ。図書館本というのはプレッシャーになるのが利点だ。
 帰宅後、ペペロンチーノのランチ。
 で、パソコンの前に座ったら、編集者からメール添付で800ページ近くのゲラが届いていた。スクロールして眺める、というだけで結構な時間。
 今後の編集方針をメールにしたためて、返信した。
 今日は日曜日なのに担当編集者は休日出勤をして、なんとか年度内の最終日に仕事の成果を私に示した、ということになる。金曜日に電話を入れた際、感情をいっさい交えずいろいろと話をしたのだが、たぶんそういう私が怖かっただろうな、と思う。
 関係各位にもメールを書いて送って、今日は終わり。
 あとは名刺を作ってみたり、庭のみならず寺の境内を掃除したりして、テキトーに流した。
 夕方、大学時代の友人からメールが届く。45年に亘ってウツ病、働いたことが一度もない男で、私に表裏があるとしたら、彼が表で私がその裏ということになるだろうか。彼とはかなり異なった人生の道を歩んできたが、実際のところ、表裏一体であって、差は1ミリくらいしかない。
 丁寧に返事を書いて送った。
 私が彼の住む街へ「行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ」、早く死にたいとの主張に「ツマラナイカラヤメロトイヒ」、デクノボーたる自分たちを称え合うのがいいのかな。しかし、秋田は遠いぞ(笑)。
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