阿南光の吉岡君。このチームはもちろんこの吉岡君あってのチームだ。強豪校にありがちな豊富な投手陣というチームではもちろんない。しかしそれが魅力でもある。多くの人が思い出すのは第100回の夏の大会だ。準優勝となった県立金足農業はエースだった吉田輝星君によって他の選手ものびのびとプレーし春夏連覇の大阪桐蔭に屈したとはいえ、横浜や近江、日大三という強豪を破って決勝まで上り詰めた。
この阿南光にもその香りがする。182センチという恵まれた身体から投げ下ろすボールの威力以上にカット系の切れ味は抜群。近畿の強豪近江を破って甲子園初出場初勝利を挙げて意気上がる熊本国府打線から14もの三振を奪い被安打５の完封劇。
しかし熊本国府も堂々たる戦いぶりだった。近江を破った時と同じく坂井君から植田君への織り込み済みのリレーで立ち向かう。こちらも2人で被安打は５だ。
だが初回四球で出した走者を置いて福田君にライトへの3塁打を浴びて1点を失うと打ち取った高く上がった内野フライを坂井君が自ら取りに行って落球。初回に2失点と主導権を握られたのが大きかった。4回には安打と犠打で2死2塁から戸田君に2塁打を打たれて３−０。
吉岡君は毎回のように三振を奪い6回7回はともに先頭打者に安打を打たれたものの次打者を併殺にとった。両軍で四死球は1つだけ。好投手同士の投げ合いは1時間31分という短くも中身が凝縮された素晴らしい試合だった。
これまで私立が一度も甲子園に出たことがない徳島県。次の対戦は秋の王者星稜。もしかしたらあの金足農のように・・・・
2024年3月25日 第96回選抜高校野球 2回戦（於 阪神甲子園）
熊本国府
000 000 000 = 0
200 100 00x = 3
阿南光
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