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2024年03月24日23:34

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アネックス

 今月も目黒ゆたか会アネックスに参加。上映作品は岡本喜八監督68年作品「斬る」。すさまじい上州のからっ風の中、登場人物たちが1人ずつ現れる冒頭から掴まれる。バックに流れる佐藤勝のマカロニウエスタン風の音楽もいい。藩政の腐敗に決起した若侍たちと、それを支援する渡世人の構図は「椿三十郎」を思わせる。他にも黒澤明監督オマージュが多く見られる。
 しかし岡本監督は、独自の面白さを出している。仲代達矢の主人公は、三十郎と違い飄々とした物腰。そして過去の事件で友人を斬り、士分を捨てたとわかる。若侍たちを助けるのは、過去の自分への落とし前だろう。
 それとは反対に百姓から侍を目指す男高橋悦史は、当初敵方に付くものの、次第に主人公に惹きつけられる。この過程もいい。
 若侍たちを討つため雇われた浪人たちのリーダーである岸田森は、愛情のため仕官先を捨てるかっこよさ。逆に若侍たちが女と酒から結束が崩れる弱さが切ない。
 捕らえられ怪我をした主人公が、「藩一番の使い手」である敵をどう倒すのかと思ったら、狭い茶室での闘いに持ち込む。これも面白かった。38年ぶりの再見だったが、当時より楽しめた。ちなみに英語題名は「KILL」だとか。
 「ガンパウダー・ミルクシェイク」は、ナヴォット・パプシャド監督22年作品。組織に裏切られた女殺し屋が、殺した男の娘を連れて同じ殺し屋だった母親の仲間とともに闘う。
 典型的な話だが、アクションの見せ方が面白い。特に両手を使えなくなったヒロインの闘い方は他では見たことがない。そして子どもカーアクションや長回しのスローモーションなど楽しめた。
 タランティーノのフォロワーのであるパプシャド監督は、図書館が女殺し屋たちの本拠地、武器を持ち込めないダイナーなど奇抜な設定と、母と娘、シスターフッドを入れて見せる。
 主演のカレン・ギランは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のメンバーだが、あの作品以上に印象に残る。最初の黒ずくめの格好は、「女囚さそり」か。
 レナ・ヘディは「ジャッジ・ドレッド」「スティーラーズ」の悪役しか知らないが、今回が最大の儲け役。
 子役のクロエ・コールマンは「マリー・ミー」のオーウェン・ウィルソンの娘役で記憶に残る。女殺し屋たちに「誰?」と聞かれ、ギランを見て「この人の弟子」の台詞が良かった。
 パプシャド監督は、キネカ大森の企画「ホラー秘宝」で上映された「ABC・オブ・デス2」で観ている。しかし26人の監督のオムニバスなので、どれがパプシャド監督作か覚えていない。今回はかなり腕を上げた様子。
 次回作は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・パレスチナ」と発表されていたが、どうなったのか。イスラエル人のパプシャド監督が、パレスチナをどう描くのか興味深い。
 今回も面白い2本立てだった。上映に感謝。
 
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