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2024年02月10日22:17

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今年に入って読んだ本

月/辺見庸・・・映画は殺人者がサイコパスにしか思えなかったので物足りなさを覚えたんですけども、原作はもっとカオスで、作者があの事件にインスパイアされて想像した観念世界が展開されていて、芸術というか文学的な物語世界がそこにはあるんですけども、現実に起きたあの事件、あの犯人の実相にどこまで迫れたか、というものではそもそも全然ないんですよね。そういう意味では、こちらも物足りなさがありました。
飛ぶ夢をしばらく見ない/山田太一
異人たちとの夏/山田太一・・・山田太一さんのドラマの再放送が思ったより全然なくて、がっかりしてるんですけども、それなら小説を読もうと思って読んでみました。うーん・・・まあ・・・どちらも怪談という体をとってるのが面白いなあと思いました。
列/中村文則・・・3部構成だったんですけど、1部と3部が完全にカフカの物語世界の再現というか、新たに構築してるような世界観で紡がれていて、びっくりしました。2部の猿の世界は何が言いたいのかさっぱりわかりませんでしたが。
花腐し/松浦寿輝・・・芥川賞を獲ったときにも読んでたと思うんですけど、全く記憶に残っておらず、今回映画を見て、とても好きになったので、再度入手して読んでみました。今読むと、何故これが芥川賞?という気がしないでもなかったですけど、あの映画の原作として、物語の根幹部分が全然ちがっているのが分かったりして、面白かったです。
東京都同情塔/九段理江・・・作品の感触が理知的というか、構築された物語世界も悪い意味で頭脳的というか、人工的で箱庭的な閉塞さを感じさせて、あまり面白くは読めなかったですねえ。
水車小屋のネネ/津村記久子・・・素晴らしかったです。心に火が灯るというか、心の支えになるというか、生きる希望を感じさせる作品でした。癒やされるという感覚を、小説で久しぶりに感じました。
八月の御所グラウンド/万城目学・・・めちゃくちゃよかったです。山田太一の『異人たちとの夏』よりも、こっちの方が断然よかったです!素晴らしかったです!評判の『成瀬は天下を取りにいく』よりも、この作品集の前半にある『十二月の都大路上下ル』の方が青春小説として圧倒的に感動しました!

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