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2023年12月10日20:45

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ヨコハマを徘徊する私

 12月10日日曜日。
 ランチもそこそこに家を出て横浜に向かう。といっても歩いて行ける距離じゃないので横須賀線上りに乗る。アジアフォーラム横浜主催の証言集会に出るためだ、
 去年も参加して中味はわかっている。が、主催者にいい顔をして図書館へ置きチラシをするなどの積極的な支持を表明しているので、行かざるを得ないだろう、お調子者の上にええかっこしい(神戸弁)ゆえ、自分で自分の首を絞めるような人生をこれまで送ってきたし、今後も信条は変わらないだろうよ。
 会場には午後1時10分着。参加者はざっと見たところ100名ちょっとか。枯れ木に山の賑わい、と言うが、私は一本の枯れ木である。それでよし。
 マレーシアから鄭来(ていらい)さんの証言中継を聞く。日本兵は鄭来さんの弟を母親から引き剥がすと空中に放り投げ、銃剣で刺し殺した。鄭来さん6歳の時の話だ。
 既に4度にわたって証言集会に参加していることもあって、鄭来さんは愚痴に近い嘆きを繰り返す。
「日本政府も日本人も決して私(たち)の話を聞こうとしないので、もう喋るのがいやになった」
「この80年、ずっと我慢しながら生きてきた」
「私たちの命なんて犬以下だった」
「アジアフォーラムの人たち以外の日本人は私たちを本当に気に入らないのだろう」
 これは最もわかりやすいセカンドレイプである。
 日本(人)はアジア各国の戦争犠牲者に対して、無視を決め込むか本当に知らないのか、昔のことを持ち出すなと逆に非難するかのいずれかで、こういう証言者は虐殺・虐待のあとも、ずっと苦しんでいるのである。
 証言のあと、高島伸欣教授の講演と質疑応答があって、集会が終わった。午後1時半から4時半まで、ちょうど3時間だった。
 今日はこれ以外に横浜でミッションが2つある。ひとつはビックカメラでカレンダーをもらうこと、もうひとつはパンケーキの店をロケハンすることである。
 香川県はうどん県、対して神奈川県はパンケーキ県である。アジア各国で日本が何人殺したのかは言えても、パンケーキについての情報をまったく知識がない。明後日、パンケーキを食べに横浜へ来られるかたのため、事前にパンケーキ店の内外観を現地取材するのがいい。
 会場を出てまず「モアーズ」に行って3階の「MARFA CAFE」へ。ヨコハマらしさなどなくてごくフツーのカフェだ。メニューを見せてもらったら、5種類のパンケーキがあった。値段もそれほど高くない。対応してくれた店員さんがとても親切で好印象。
 その足でビックカメラまで早歩き。店頭のカレンダーをいただき、丸めるのにひと苦労しつつなんとか筒状にしてビニールに収める。
 ビックカメラの前にそびえ立つファッションビル「ビブレ」に入る。
 4階に女子高生の殿堂と呼ばれるスイーツ食べ放題の、そのまんまのネーミング「スイーツパラダイス」へ。1500円前後で、スイーツ(と軽メシ)食べ放題、ソフトドリンク飲み放題で、人間自棄になるとこういう店でガキみたいに大食いして鬱憤晴らしをするのがいいのではないか、と私は考えたのだった。ヨコハマのイメージとはずいぶん違いますけど。
 受付に新宿のホストまがいの若者が立っていて、既に笑えたのだが、店内を見渡すと昭和の不二屋っぽい、というか、時代遅れのファミレスみたいで、はっきり言って私はこんなに安っぽいカフェを他に知らない。
 一応パンフだけいただいて早々に辞し、駅の反対側に向かうことにした。
 横浜駅は西口が旧市街、東口が新市街で、東はいかにもヨコハマという景色が広がっている。海とみなとみらいの夜景は、ニューヨークが好きだとかクリスマスのイルミネーションが好き♡というような安っぽい女をこますには最適だ。学生時代、みなとみらいなんてなくて、海はあれほどただの真っ暗な海で、安っぽい女と知り合うチャンスもなかったので、こういう偉そうな口を叩くな、と自分に言いたい。
「ベイクォーター」にはほうほうの体で着いた。横浜駅エリアは異常に人が多いこともあって、人とぶつからないように歩くには五輪のスキー回転くらいの技術が必要。ビブレから10分かかった。
 4階の「クアアイナ」。ああ、いかにもって感じの家族連れ(犬連れ多し)、若いカップルで溢れ返っていて、しかも眼下にきれいな夜景が広がっている。
 あれっ、既視感が……、この一郭にある(昼間は安い)カフェには何度か来たことがあった。ここかあ、本場のハワイアンスタイル・カフェ。
 3階に降りて「URTH CAFFE」。ここもさっきと似たようなもので、この安直なイルミ演出はどうも私の感性に合わぬ。しかし、大多数の日本人はこの都会観であるし、そもそもパンケーキという名詞を出した時点で、悔しいけれど私の本性も安っぽいことを物語っている。そうなのだ、思い出せ、芝にあった東京プリンスのガーデンにあったレストランを、青い照明が綺麗だからと言って頻繁に接客用レストランとして使っていた私を。
 2階に降りて、「Butter」という名店に回ってみたら、これがドブ川に面した貧相きわまるロケーションで、こんな薄暗いところで食べるのが似合うのはガースー元総理くらいなもんだろ。おれはイヤだね、女子高生の殿堂スイパラのほうが10倍いいわ。
 とにかくこれほど真面目にロケハンしたのは、社員編集者の時代でもなかったかもしれない。いつのまにかスマートウォッチの歩数が1万歩に達しようとしていた。
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