電話2本

　昨夕、山中湖の友人から突然電話がかかってくる。彼は某新興宗教の信者で、親の代から一族郎党全員が熱心な殉教者。そもそも山中湖にある公共温泉施設で彼とその友人2人から声を掛けられて友だち付き合いが始まった。
　生誕時点からの宗教二世ゆえ、人生観や価値観は100パーセント、その宗教に染まっている。が、もし彼から偏狭となる宗教を取り除くと、こんなにいい奴はいないと思えるほど、清々しい男。しかも、敬虔な宗教者のくせに度を越した酒好きで（一週間に10日深酔いしている　笑）、酔っぱらった時しか電話をしてこないほど、実のところ気も弱い。世間的に見ればどうしようもない男なのだが、私自身がサイテー最悪の落魄者ゆえに、軽蔑心はない。
　彼を見ていて思う。宗教は哲学より心的影響が小さいのではないか、と。新興宗教に限らず、キリスト教もイスラム教も人間を真っ当な道へと導くことなどまずない。
　この世界からいっさいの宗教がなくなっても、世界にとってなんらの痛痒もないだろう。
　今日5日、友人からの電話があった時とほぼ同じ時間に電話が掛かってきた。
　近所の地方銀行で私を担当してくれていた女性行員から、「一昨日、異動の辞令が下りたのでご挨拶を」ということだった。彼女は欅坂グループのメンバーと言ってもおかしくないお姉さんで（←こういう形容自体がセクハラ）、さらに容姿以上に魅力的なのが、親身な対応力だった。いや、親身という言葉はちょっと違うな。3年前その地銀をいきなり訪ねた。コロナもウクライナ侵攻も現れていなかった頃だ、彼女が既に持っている投資信託を尋ねて同じ銘柄の投信を買ってみた。個人的に選んだ銘柄をこっそり教えてくれたのである。その投資信託はこの6月、いったん現金化した。まだそのお金は銀行の普通口座にそのままある。想定外の利益だった（額が小さいので投資家から見れば雀の涙）。
　地方銀行ってメガバンクより自分の性に合っている。これは医療機関なんかにも言えることだが、大きな病院より中くらいの病院のほうが居心地いいのと同じだ。
　
　ずっと翻刻原稿の見直しを飽きずにやっている。あと10日くらいで終わりそう。ゴールが見えてきた。長旅だった。あ、今、3年を過ぎたところだ。