よって件のごとし＠読書感想文

　職場の年配の先輩（今は別の部署になってしまったが）に
「宮部みゆきどうっすか？」
と訊いた事がある。応えは
「なんでもありで、自分の好みには合わない」
とのこと。

本作はまさに「なんでもあり」だ。
　3話収録されている。1話目は「千と千尋の神隠し」のパクリ、いやステッピンアウトと浪漫飛行くらいには改変されているからパクリではない。
　3話目の表題作はゾンビ物である。時代小説の体裁をとっているから＜ひとでなし＞とか「腐れ鬼」という単語を用いているがまさしくゾンビ物だ。屈強な村人がゾンビを撃退する痛快な既存のゾンビ物のエッセンスをちりばめつつ現代社会への風刺も効いている。
　私は「なんでもあり」でも面白ければ良いと思う。面白さは私が太鼓判を押す。何度か言っているが宮部みゆき氏はバケモノである、こんなにも面白い文章を書く者は。バケモノが化け物の話を書いている。
　ちなみにこの三島屋変調百物語シリーズ、最新作の九之続が発刊されたという。すかさず図書館に予約だな。買わないのかよ！