ツブ貝、ウミニナ

家内が以前食べたカメノテの話をしたので思い出したんだが（カメノテはポルトガルやスペインでも食べる。　西日本では鷹の爪と呼ぶのかな、、外房ではカメノテだけど、萩で食べたときも鷹の爪と呼ばれていた）、、パリに居たとき、とある寿司屋の女将と知り合って（このオバさんがスゴくて、昔日本政府の要人が海外で開く晩餐会等の料理人をしていたらしい）、彼女の店で晩飯を食った後（彼女が作るアラ汁とかスゴイ繊細で既に幸福）、店が退けてからモンパルナスのクーポールに出かけて酒を飲んでだべっていた。夏の一時期、毎週のように行ってたんだが、彼女は店でも丁寧に扱われていて（良い料理人だと知られていた？）、外の席に座ればすぐにバケツ一杯の塩茹でした巻貝が来た。これをツマミにして白ワインをグイグイ行く。オバさんが店を閉めるのが２２時頃なので、クーポールに着くのが２２時半とか。それで１時頃まで飲んで（バケツの貝もお代わりして）、気分良く酔って家に帰る。オバさんは近くに住んでたらしくいつも徒歩で帰ったが、僕は一緒の人の車で送って貰ったり、タクシーだったり、時には歩いて帰ったり（小一時間、パリは小さいから）。大抵金曜とかだったから、夏の夜を良い気分でフラフラ歩いたりして、永井荷風もこんな風に歩いてたかな、などと想像してみたり、、で、この巻貝、バケツで来るくらいだから安いんだが、ツブ貝ではなくってた分ウミニナみたいなやつだった。今思うと何か幸せな時間だったと思う。